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ダイハツの歴史&クルマ作りを知れる史料展示館「ヒューモビリティワールド」を見学してきた

「ヒューモビリティワールド」(大阪府池田市ダイハツ町1-1)を見学してきた

平日は小学校の社会科見学、土曜日は一般見学も可能!

 ダイハツ工業の本社敷地内にあるダイハツ史料展示館「ヒューモビリティワールド」。「くらしを考える、軽を考える」をテーマとした体験型展示を中心に、“楽しみながら学び、体験・発見できる施設”として、ダイハツの創立100周年を記念して2007年にオープンした。

 以降、平日は小学校の社会科見学を受け入れており、毎週土曜日には一般にも開放され、誰でも見学できるようになっている。

 今回、このヒューモビリティワールドを見学できたので紹介する。

ヒューモビリティワールドは、毎週土曜日のみ事前予約不要で無料一般公開されている。開館時間は午前の部が9時30分~12時(最終入館11時)、午後の部が13時~17時(最終入館16時)。ガイドツアー(当日申し込み)も行なわれており、午前の部は10時30分から。午後の部は14時からと16時からの2回実施される。平日は小学校向けの見学のみを受け付けているほか、ゴールデンウィーク、夏季休暇、年末年始は休館となる

ダイハツの始まりはエンジン製造から

 ヒューモビリティワールドに入ると、まずは巨大な産業用エンジンがお出迎え。三輪自動車とともに、ダイハツの原点として展示紹介されている。

実際に使われていたというダイハツ製ディーゼルエンジン。展示されている「LH-25型」は現存するダイハツの最も古い発動機で、実際に滋賀県で利用されていたものだという。いまだにオイルが漏れることがあるといい、オイルの受け皿が置かれていた
1930年に三輪自動車の初代“ダイハツ号”が誕生。展示されているのは、ダイハツ号とは書かれているものの、“ツバサ号”の名称で販売された「HD型三輪自動車」。プロペラシャフトとデフを用いて後輪を駆動する四輪自動車と同じ機構を採用した国内初のモデルとなる

 先へ進むと企画展として、期間によってテーマに沿ったさまざまな車両が展示されるスペースが広がる。取材時は「なつかしのクルマ展IV」として、1970年代に活躍した「シャルマン」「4代目ハイゼットバン」「フェローMAX SL」が展示されていた。

企画展コーナー。軽ライトバンとして初めてスライド式ドアを採用した「4代目ハイゼットバン」や、E20型カローラをベースとした「シャルマン」、当時の軽自動車として最もパワフルなエンジンを積んでいた「フェローMAX SL」を展示。定期的に企画展は切り替わるため、展示車両も変更となる

 1つフロアを上がると、戦後から現代までの暮らしの様子を摸したセットやパネルとともに、それぞれの時代に販売された「ミゼット」「フェロー」「シャレード」「ミラ」「ムーヴ」「コペン」「タント」「ミライース」といった車両を展示。また、海外での現地開発や生産事業を紹介するコーナーもあり、「アイラ」が展示されていた。

1957年に生産開始された初代「ミゼット」(DKA型)。オートバイ並みの低価格に加え、維持が簡単であったことから多くのミゼットが町を走り回り、“町のヘリコプター”とも呼ばれていた
こちらは後期型のミゼット(MP5型)。展示車両は輸出モデルとして開発された丸ハンドル型で、スチール製のバンタイプ
1966年に生産開始となったダイハツ初の軽乗用車「フェロー」。エンジンは商用車からコンバートされた2サイクル2気筒356ccを搭載し、最高速は100km/hを誇った
初代「シャレード」は、直列3気筒の1.0リッターCB型エンジンと、やや背の高い2ボックスハッチバックの車体を組み合わせ、従来の日本における大衆車とは異なる世界観を持って登場。新たな小型車の方向性を打ち出した
1980年に生産が開始された初代「ミラ」。当時は乗用モデルとして「クオーレ」がラインアップされていたが、商用車(軽ボンネットバン)のため税金が安いなどの理由により、乗用モデルよりも販売台数が多かったという
軽ハイトワゴンブームを牽引した初代「ムーヴ」。発売後の1か月受注が3万6000台あったといい、発売開始から8か月となる1996年4月には10万台受注を達成した
本格的な軽オープンカーとして誕生した初代「コペン」。2002年の発売以降、ダイハツのシンボルともなっている
限られた寸法で広さを稼ぎ出し、スーパーハイトワゴンブームを作り出した初代「タント」
初代「ミライース」は“第3のエコカー”として、JC08モードで30.0km/L(2WD)というガソリン車トップの低燃費とともに、79万5000円からという低価格を実現
ダイハツの海外での取り組みを紹介するコーナー
アストラ・ダイハツ・モーターが参画した開発体制のもと、インドネシアでのニーズを徹底的に追求した海外モデル「アイラ」を展示、紹介している

 最後のフロアは、クルマの原理が実際に体験できるコーナーとなっており、「走る・曲がる・止まる」というクルマの基本原理はもちろん、軽自動車の設計をゲーム感覚で楽しむことでコンパクト化の技術を知れるようになっている。さらに、「タント カスタム」のカットモデルが展示され、普段はなかなか見られないクルマの内部を見て学べるのもポイント。子供だけでなく、大人もしっかり楽しめるのではないだろうか。

「タント カスタム」を大胆にまっぷたつにしたカットモデルを展示。クルマの構造が分かりやすい
ダイハツ車に搭載される予防安全技術「スマートアシスト」を学べるコーナー。街のジオラマが作られている
エンジンのカットモデルなども展示されている

 なお、ヒューモビリティワールドのあるダイハツ本社の1階ロビーにもダイハツ車が展示されている。こちらは誰でも見ることができ、適宜展示車両の入れ替えを行なっているとのこと。

初代のボンネット型からキャブオーバー型になった2代目「ハイゼットキャブ」
国産車で初めてフルシンクロの4速MTを標準装備した「コンパーノ ベルリーナ」
「フェロー・バギィ」は、フェローピックアップ用のエンジン、シャーシー、ドライブトレーンを流用し、外板を外した上に軽量なバスタブ型FRPを換装した100台限定のレア車
1990年~1997年に発売された「ロッキー」。本格的なラダーフレームを採用して高い走行性能を確保した

ダイハツ創業以来の車両を一挙に見られる日が来る……かもしれない

 ダイハツは3月1日が創業記念日となり、2025年で創業118年を迎えた。

 実は今回紹介した以外にも、三輪自動車や市販車はもとより、モーターショーや過去の万博で活躍したコンセプトカー、ラリーカーなど、かなりの台数のヒストリックカーがダイハツ社内に保管されているという。

 しかし、ダイハツはミュージアムやギャラリーのような施設を保有していないため、なかなか一般向けに展示ができていない状況。現在、ダイハツ社内ではこれを変えるべく取り組みが進められているということなので、100年以上蓄積されたダイハツのDNAとも言えるヒストリックカーを一挙に見られる日が来ることを楽しみに待ちたい。

いつかダイハツ車を集めたダイハツヒストリックミュージアムができるかもしれない