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K-one Racing with TOYO TIRES、「ランクル250ラリーバージョン」初披露 ダカールラリー5度優勝の三浦昂選手で全日本ラリーに挑戦

2025年5月7日 発表
K-one Racing with TOYO TIRESの「ランクル250ラリーバージョン」

 K-one Racingを運営する共栄タイヤサービスは5月7日、愛知県にあるオフロードコースを有する総合アウトドア施設さなげアドベンチャーフィールドにて、「K-one Racing with TOYO TIRES」としての2025年全日本ラリー選手権への参戦発表会を実施した。

 参戦するのは、北海道で開催される「XCRスプリントカップ北海道」のSUVクラスの設定がある第3戦「ARKラリーカムイ」および第4戦「RALLY HOKKAIDO」で、ドライバーはトヨタ車体の社員で、TLC(チームランドクルーザー・トヨタオートボデー)の「ランドクルーザー300 GR SPORT」にて、TLCのダカールラリー市販車部門12連覇達成に貢献し、自身としてもダカールラリー5度の優勝実績を持つ三浦昂選手。助手席でドライバーへ道をナビゲートするコ・ドライバーは、羽琉(うりゅう)選手が抜擢された。

チームクルーたちは「初戦から1位を獲る!」と記念撮影で鼓舞していた

 参戦発表会には、共栄タイヤサービス代表取締役社長の小菅英久氏、TOYO TIREグローバルマーケティングの吉川誠部長、ラリードライバーの三浦昂選手、コ・ドライバーの羽琉選手の4人が登壇。

 共栄タイヤサービスは、その名の通りタイヤを扱う販社で、愛知県内でカーショップ「カーライフレボリューションK-one」を5店舗運営しているほか、1990年代からモータースポーツにも積極的に参加し、カー用品の開発やレース車両の開発も行なっている。2025年は全日本ラリー選手権をはじめ、ワンメイクレースのGR86/BRZカップ、全日本ジムカーナ選手権、全日本ダートトライアル選手権と、さまざまなカテゴリーに参戦している。

 小菅社長は、「ランクル250を使って全日本ラリーに挑戦したいと、ドライバーの三浦選手と一緒にTOYO TIREさんへお願いしにいったら、即答で了承していただき大変うれしかったです。しかし、車両がなかなか納車されなかったため、この日を迎えるのに3年かかってしまいました」と、ここまでの足どりを振り返った。

共栄タイヤサービス株式会社 代表取締役社長 小菅英久氏。2021年にダカールラリーに参戦しているTLCのスポンサードを開始している

 TOYO TIREは、TLCと一緒に耐久性と悪路走破性を備えた「オープンカントリーM/T-R」を開発し、2022年よりダカールラリー参戦用タイヤとして供給を行ないサポートしている。TOYO TIREのグローバルマーケティング吉川部長は、「K-oneさんとは長いお付き合いがありますし、三浦選手の乗るTLCのランドクルーザー300 GR SPORTにもタイヤを供給していることもあり、今回の挑戦もぜひサポートさせていただこうと思いました」とあいさつ。

TOYO TIRE株式会社 グローバルマーケティング部長 吉川誠氏
オープンカントリーシリーズのポジショニングマップ

 また全日本ラリーでは、M/T(マッドテレーン)タイヤは、溝が深くコースを掘り起こしてしまい後半スタートする選手が不利になることから使用が禁止されていることもあり、今回ランクル250ラリーバージョンには、2024年12月に発売した新製品「オープンカントリーR/T TRAIL」を供給するという。

 吉川部長は、「オープンカントリーR/T TRAILは、オフロード性能とタフネスさを兼ね備えたラギッドテレーンタイヤで、挑戦的な印象を演出したサイドデザインと磨き上げたパターン技術による高いトラクション性能、ノイズ抑制による快適性を両立させつつも、再生ビードワイヤーなど環境に配慮したサステナブル素材も使用しております。ダカールラリーのようなコースはM/Tが必要ですが、北海道のようなコースであればむしろR/Tのほうが向いていると思います」とコメント。

オープンカントリーR/T TRAILの構造
オープンカントリーR/T TRAILのパターンデザインの特徴
オープンカントリーR/T TRAILのサイドデザインの特徴

 続いて、ドライバーを務める三浦選手は、「ダカールラリーの参戦は長いことやっていますが、全日本ラリーにも参戦したいとずっと思っていたので、このチャンスをいただけたのは本当に光栄です」とあいさつ。また、トヨタ車体の社員としてランドクルーザーシリーズの開発にも携わっていることもあり、「ランクル250は、ランクル300と比べると車重がかなり軽いことが大きな違い。ボディ自体もひとまわり小さいので、全日本ラリーにもピッタリかと思います。今回の車両はガソリンエンジンで、ディーゼルエンジンはダカールラリーでも使っていますが、ガソリンエンジンは初めてなので、どんなパフォーマンスを発揮できるか、自分の経験値にもプラスしていきたい」と意気込みを語っていた。

ラリードライバー三浦昂選手。過去にはコ・ドライバーとしてTLCからダカールラリーに参戦していて、2015年に自ら志願してドライバーへ転身。2016年のダカールラリーに初参戦し5位。2017年は2位、2018年に初優勝。その後も2019年は2位、2020年も2位、2021年~2022年は優勝、2023年は2位、2024年~2025年は優勝と功績を残している

 コ・ドライバーを務める羽琉選手は、過去にK-one Racingから全日本ラリー選手権のJN-3クラスにトヨタ「86」で参戦する織戸学選手のコ・ドライバーを務めた経験を持ち、「再びK-oneさんと一緒に戦える機会をいただけうれしい限りです。少しでもいい成績を残せるように頑張りたいと思います」と一緒に挑戦できる歓びをかみしめていた。

羽琉選手はカー用品店イエローハットのラリーチームにも所属しているほか、モデルとしても活動している

参戦マシンはトヨタ「ランドクルーザー250ラリーバージョン」

カーライフレボリューションK-one日進店 冨田裕一店長

 カーライフレボリューションK-one日進店の冨田裕一店長は、今回新たに制作したランクル250ラリーバージョンについて、「全日本ラリーの規定に沿って制作したマシンで、主な変更点はKYB(カヤバ)製サスペンションのK-oneオリジナル仕様、プロジェクトμ製ブレーキ関連パーツ、レイズ製ホイールなど。フロントにはオリジナルの4灯ランプを追加しています」と解説してくれた。

全日本ラリー選手権参戦用「ランドクルーザー250ラリーバージョン」
ボディサイズは4925×1980mm(全長×全幅、全高は未公表)、ホイールベースは2850mm、エンジンは直列4気筒2.7リッターガソリンエンジン(2TR-FE)で、最高出力163PS/5200rpm、最大トルク246Nm/3900rpmを発生。トランスミッションは6速ATのまま
フロントには4連の追加ランプを装着
「K-one DUNE」はK-oneの4×4向けパーツブランドで、小菅社長は今回のランクル250ラリーバージョン制作にあたり、チューニングパーツの市販化なども前向きに検討していると明かした
ホイールはレイズのボルクレーシング「TE37」で前後とも18インチ×8.5J。タイヤはTOYO TIREの「オープンカントリーR/T TRAIL」サイズはLT275/70R18

 内装はフロアやルーフの内張は剥がされているものの、ドアパネルなどはそのまま。シートはBRIDE製のフルバケットシートで、6点式ベルトも装備。ロールケージは完全なオリジナルで、レギュレーションに沿った部材と直径のパイプを使用している。後席にはヘルメットを置くネットと、スペアタイヤやジャッキなど工具も搭載されている。

通常ナビのあるディスプレイは外されパネルになっている
青いのはヘルメットを置くためのネット

同乗走行で異次元の走りを体験

 この日の最後には、メディア向けの同乗走行も実施。さなげアドベンチャーフィールドの林間コースを助手席で体験させていただいた。サーキットでの同乗は何度も経験があるが、オフロードコースの同乗は初めて。あくまで体験走行なので実際のレースよりもかなりペースを落としてくれているとはいえ、かなりの速度。途中で「え? この先ってコースなの?」と思うような狭い場所にもの凄い勢いで入っていき、まさにジェットコースターに乗っている感じ。動画を夢中で撮影したのであまり恐怖を感じなかったなぁと思いきや、クルマを降りたら膝がガクガクしていました。

コースのところどころに水たまりがあり大迫力の走りを見せてくれた
ヘアピンコーナーでは内側のタイヤが浮くほどの旋回Gを発生していた
さなげアドベンチャーフィールドの林間コース(黄色線)で同乗走行を体験
【K-one Racing with TOYO TIRES】「ランクル250ラリーバージョン」デモ走行@さなげアドベンチャーフィールド(2分23秒)
さなげアドベンチャーフィールドにはオフロードコース以外にもバーベキュー場やデイキャンプ場、喫茶店などもそろっている
車両が逆さまになるのを体験できる「てんとうくん」は休止中だった
発表会場には、2022年に新開発のオープンカントリーM/T-Rを履き、ダカールラリー2022で優勝したTLCのランクルも展示されていた
ぜひK-one Racing with TOYO TIRESの活動に注目してほしい