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メルセデス・ベンツ、2016年は「SUVイヤー」。まずは2月9日に新型「GLC」クラス発表

年頭記者懇談会で2015年の振り返りと、2016年の導入車種などについて上野社長が語る

2016年1月25日開催

Gクラスとメルセデス・ベンツ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏

 メルセデス・ベンツ日本は1月25日、都内で年頭記者懇談会を開催し、メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEOの上野金太郎氏が2015年を振り返るとともに、2016年の導入車種などについて紹介を行なった。

2015年の新車販売(日本)は7.1%増の6万5159台

2015年の新車販売状況について振り返る上野社長

 上野社長は冒頭、2015年の新車販売状況について触れ、メルセデスブランドはグローバルで187万1511台、日本で6万5159台を販売。それぞれ対前年比13.4%増、7.1%増となり、「グローバルでは5年連続、日本では3年連続で過去最高を記録することができた。日本市場としては、中国、アメリカ、ドイツ、イギリスに次いで5番目のマーケットだった」と報告。そして2015年は6万台という販売台数を維持しながら前年を超えるという目標を達成することができ、加えて国内で販売されている純輸入車およびプレミアムブランドとして、16年ぶりに首位を獲得した年になったことから、「バタバタと忙しいながらも、大変充実した1年になった」と振り返る。この成功要因については、「もちろん新型効果があり、商品を最大限に拡充し、お客様の多様なニーズにお応えできるようになったラインアップ構成により、既存のお客様に加え新しいお客様に選んでいただけたからだと思う」とコメントしている。

 その多様なラインアップについて、同社は2015年を「エンジン革命」の年と称し、クリーンディーゼル「BlueTEC」、プラグインハイブリッド車、日本初のクリーンディーゼルハイブリッド車など、燃費効率に優れる最新のパワートレーン搭載モデルや新世代コンパクトモデル群(A/B/CLA/GLA)の新型ステーションワゴン「CLA シューティングブレーク」、最高級モデル「メルセデス・マイバッハ Sクラス」、新型スポーツカー「メルセデスAMG GT」を投入するなど、積極的に商品構成を拡充した。これにより、2016年1月25日現在で26車種127モデルという数多くのモデルを展開している。

 2015年の販売をけん引したモデルとしては、第一に2014年にフルモデルチェンジした「Cクラス」を挙げ、「発売から1年以上を経過してもなお高い人気を博し、2015年は総販売台数の1/3を占める約2万1000台を販売した」として、2015年の立役者に位置付けた。

2015年のメルセデスブランドはグローバルで187万1511台(対前年比13.4%増)、日本で6万5159台(対前年比7.1%増)を販売。スマートブランドはグローバルで11万9398台(対前年比32.9%増)となる一方で、日本では1012台と対前年比9.2%減となった
2015年を「エンジン革命」の年と称してさまざまな新モデルを投入した
2016年1月25日現在で26車種127モデルを展開
2015年のメルセデスブランドをけん引したCクラス。約2万1000台を販売した

 また、マーケティング活動として新型Aクラスでテクノポップユニット「Perfume」をパートナーに起用し、Perfumeの3人を「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズなどを手掛けた貞本義行氏がキャラクターデザインを担当して3Dアニメーション化するといった取り組みを行なったほか、同社の新車整備センターが累計100万台を達成したこと、その整備センターの1つである豊橋新車整備センター(豊橋VPC)にナンバープレートの封印作業まで完了させ、直接オーナーに引き渡すことができる「デリバリーコーナー」を設置したことにも触れ、「2015年は44台の車両を納車することができ、お客様には大変喜んでいただくことができた」と紹介を行なった。

 一方、中古車についても正規販売店での販売台数(サーティファイドカー)は対前年比31%増の1万508台と好調に推移したほか、アフターセールスでは「昨今の新車販売増により保有台数は66万台を超え、サービスの出庫台数は増加傾向にある。また、弊社の部品売り上げ金額は過去10年で最高の伸びを見せ、対前年比7%増を記録」(上野社長)。メンテナンス部品の需要拡大をはじめ、アクセサリー類などの拡販が要因としている。

新車整備センターでは累計100万台を達成。直接オーナーに引き渡すことができる「デリバリーコーナー」を設置したほか、見学ツアーも行なっている
マーケティング活動として新型Aクラスでテクノポップユニット「Perfume」をパートナーに起用
正規販売店での中古車販売台数(サーティファイドカー)は対前年比31%増の1万508台と好調に推移

2016年は「SUVイヤー」

2016年はダイムラーが130周年を、メルセデス・ベンツ日本は創立30周年を迎える

 そして2016年について、まず上野社長はダイムラーの未来に向けて検討している方向性について触れ、「私たちは自動車を発明した企業として、発明した責任としてエミッションフリーなクルマ、アクシデントフリーな社会を目指している。そのソリューションの1つが燃料電池で動く完全自動運転車の開発で、2015年の東京モーターショーでは2030年以降のクルマ社会を想定して開発されたF 015 Luxury in Motion、東京モーターショーのために特別に作られたVision Tokyo(どちらも自動運転のコンセプトカー)を披露した。これらのクルマが街を走るころには人とクルマの関係は大きく変化し、自動運転は技術だけでなく人や周囲の情報とクルマが自らコミュニケーションする段階にあると考える。ダイムラーも自動車メーカーからネットワークにつながったモビリティサービスを生み出す企業へと進化すると宣言している」と自動運転について触れるとともに、2016年は6万台超という販売台数を維持しながら、年間の総販売台数で2015年を超えることを目標とし、「弊社のネットワークの規模から考えると6万台というのは決して楽な数値ではないが、その6万台を販売できる体制作りに注力し、販売店とともに引き続き可能になるよう努力したい」とコメント。引き続きプレミアムブランドとしてNo.1の座を維持したいとしつつ、「単に台数だけを追いかけるのではなく、お客様にご満足いただいてクルマに乗っていただく、クルマを買っていただくことに全力を注ぎたい」(上野社長)とも語っている。

2016年の目標

 具体的な投入モデルについては、2016年に10車種以上の新型車を投入すると宣言。2015年は「エンジン革命」をテーマに掲げたが、2016年は「SUVイヤー」としており、「メルセデスというとセダンやステーションワゴンが強いと思われがちだが、昨今はSUVに力を入れており、現時点でプレミアムブランド最多の5車種(Gクラス、GLクラス、GLEクラス、GLKクラス、GLAクラス)を展開している。2015年のブランド内構成比率でSUVは16%だったが、今年は20%に引き上げたい」とし、2月9日に新型「GLC」クラスを発表することを明らかにした。

 これに加え、今年は新型Eクラス、数々の2ドアモデルの投入を控えることを紹介するとともに、ハイパフォーマンスモデル「Mercedes-AMG」の商品・活動にも注力するとし、一例として「高レベルの走行性能を実現するAMGテクノロジー」「モータースポーツを想起させるエモーショナルなAMGサウンド」「スポーツマインドを刺激するAMGデザイン」という3点を特徴とするAMGスポーツモデルでは、2015年に第1弾として導入した「C 450 AMG 4MATIC」に続くモデルを複数導入すると述べた。

メルセデスはプレミアムブランド最多となる5車種(Gクラス、GLクラス、GLEクラス、GLKクラス、GLAクラス)のSUVを展開
「Mercedes-AMG」では顧客向けイベントの拡充を図る
4人乗り仕様の「スマート forfour」は1月に発売。2人乗り仕様の「スマート fortwo」はすでに2015年10月に発売している
新世代コンパクトモデル群(A/B/CLA/GLA/CLA シューティングブレーク)の販売台数寄与にも期待を寄せた

 そのほか、ユーザーにリアルなブランド体験をしてもらうためいくつかの取り組みを準備する。そのうちの1つが、2016年は車種が増加すること、車両の多機能化により複雑な操作が必要になっていることなどから、全国の正規販売店に新たに「プロダクトエキスパート」を導入する。プロダクトエキスパートは販売員とは異なり、ユーザーの疑問などを払拭するための専門スタッフに位置付けられ、こちらは年齢問わず、自動車セールスの経験問わずで2月からスタッフ募集を開始するとのこと。

 また、ネットワークの強化として新規店舗を約5拠点、AMGパフォーマンスセンターとサーティファイドカーセンターをそれぞれ約10拠点開設するほか、2013年に提携を開始したメカニック養成専門学校 小山学園に、今年の4月から小山学園が運営する東京工科自動車大学校 世田谷校に日本で初めて「メルセデス・ベンツコース」(定員25名)を開設。講師、車両、故障診断機、工具類などをメルセデス・ベンツ日本が提供するなど、全面バックアップをするとし、「若い卒業生がメルセデス・ベンツ正規販売店に就職し、メルセデスファミリーの一員として戦力になってほしい」(上野社長)と期待を寄せた。

 さらに「メルセデス・ベンツ コネクション」「メルセデス ミー 東京羽田」といったブランド情報発信拠点にも注力するとし、2月9日から東京 六本木のメルセデス・ベンツ コネクションに隣接する形で「メルセデス・ベンツ コネクション NEXTDOOR」を開設する。とくに2016年はSUVが多く導入されることから、開設後4カ月はSUVの体験型プログラムが用意され、その後もさまざまな体験型プログラムを用意する予定になっている。

全国の正規販売店に新たに「プロダクトエキスパート」を導入
販売ネットワークの強化も図り、2016年に新規店舗を約5拠点、AMGパフォーマンスセンターとサーティファイドカーセンターをそれぞれ約10拠点開設する
サービスプログラムの強化も行なう
ポータルサイトの強化も実施
小山学園が運営する東京工科自動車大学校 世田谷校に日本で初めて「メルセデス・ベンツコース」を開設
ブランド情報発信拠点では、2月9日から東京 六本木のメルセデス・ベンツ コネクションに隣接する形で「メルセデス・ベンツ コネクション NEXTDOOR」を開設する
1月25日にカルチュア・コンビニエンス・クラブとTポイントサービスの導入において契約を締結。オーナー向けオリジナルデザインのTカード発行や、「メルセデス・ベンツ コネクション」などでTポイントサービスを導入するなど、具体的な取り組みについて今後協議、検討が行なわれる
2016年の主な取り組み

 最後に上野社長は、「本年はダイムラー創立130周年、メルセデス・ベンツ日本創立30周年という記念の年。先進性のあるプロダクトの展開、お客様が満足できる体験という2つの軸を中心に活動を進めていきたいと考えている。しかし、商品強化やインフラ整備を実施するなかで、一番大切なのはサービスを提供する我々メルセデス・ベンツ日本の社員一同、販売店全社員の意識と行動。カンパニービジョン“メルセデス・ベンツ 最も愛されるブランドへ”に向けて一歩前進するにあたって、どうすればお客様に選んでいただけるのか、愛されるのかを常に考え、1人ひとりが自ら考え進んで行動するカルチャーをブランド全体で構築していきたい。メルセデスファミリー全員が一丸となって最も愛されるブランドへ向けて邁進していく」と抱負を述べた。

 なお、同社は6月から各モデルの希望小売価格を平均で約2%値上げする。これについて上野社長は、「新技術、新素材の開発などが理由だが、お客様にはこの値上げに値するブランドバリューおよび商品バリューを提供させていただく」としており、モデル別の改定金額は5月下旬にアナウンスするとしている。

(編集部:小林 隆)