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村田製作所、世界初の「絶縁型パワー半導体用温度センサー(NTCサーミスタ)」を人とくるまのテクノロジー展2025横浜で公開
2025年5月22日 14:10
- 2025年5月21日~23日 開催
- 入場無料(事前来場登録制)
村田製作所は、開催中の「人とくるまのテクノロジー展2025 YOKOHAMA(会場:パシフィコ横浜、会期:5月21日~23日)」にて、世界初となる樹脂モールド構造かつワイヤーボンディングにも対応した絶縁タイプのパワー半導体用温度センサー(NTCサーミスタ)の「FTIシリーズ」を公開した。
自動車の電動化や高機能化が進む昨今、高出力かつ高効率なパワー半導体の重要性がさらに要求されているが、パワー半導体は発熱量が大きく、高温による破損リスクが難点。そこでパワー半導体の温度上昇を検知するNTCサーミスタ(温度が上昇すると抵抗値が減少する性質を持つ抵抗器)を設置することで、冷却や動作制限を行なう手法が採用されている。
しかし半導体の実装基盤には高電圧がかかっていて、従来のNTCサーミスタはその電圧に耐えられないため、半導体から離れた場所に設置するしかなかった。場所が離れているため、半導体の正確な温度検知が難しく、高温による半導体の破損を防ぐためには、実際の耐熱温度より低い温度で動作制限をかけることで対策を講じるしかなかったという。その結果、半導体の持っている性能を十分に発揮させられないという課題が生じていた。
そこで村田製作所は、樹脂モールド構造により絶縁性を確保しつつパワー半導体用のパッド上に直接配置できるほか、ワイヤーボンディング対応によりNTCサーミスタ用パッドと接続できる製品を世界で初めて開発。これによりパワー半導体近傍での正確な温度検知を可能とし、半導体の持つ性能を十分に引き出せるようになるという。
開発スタッフによると、「もともと技術としては10年近く前に、電子タバコに使用する部品として類似品があったが、自動車の場合は安全基準要件がかなり厳しくなるため、その部品を転用することはできず、6~7年かけてやっと完成させた。すでに自動車メーカーの採用も決まっていて、2025年から量産を開始している」とのこと。
端子間放電を軽減する新型コンデンサ
また、村田製作所のブースには、新製品の「積層セラミックコンデンサEVAシリーズ」も展示。2018年に発売した従来品「KCAシリーズ」は、端子と端子の沿面距離が4mmだったが、EVAシリーズでは樹脂モールドで本体を覆ったことで、外曲げ品で沿面距離および空間距離ともに10mm以上の確保に成功。内曲げ品でも沿面距離、空間距離ともに6mm以上を確保した。これにより、高出力化する電動車両でも、コンデンサの端子間で放電する可能性が大幅に低減した。