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アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの物流子会社4社、T2の自動運転トラックで長距離幹線輸送を実証
2025年6月5日 18:04
- 2025年6月5日 発表
酒類・飲料メーカーのアサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの物流子会社4社と自動運転システムの開発するT2は6月5日、T2が開発した自動運転トラックを用いて、関東から関西までの高速道路の往復路で、4社の製品をそれぞれ幹線輸送する実証を2025年6月9日より開始すると発表した。
実証は、横浜〜神戸、吹田〜茨木、千葉〜大阪、宇治川〜海老名といった、関東・関西間の高速道路上の一部区間で実施され、2025年6月~11月の期間中、計16回(8往復)を予定。実証により輸送の有効性と具体的なオペレーションが検証される。
6月に実証されるルートと日程としては、6月9日に往路としてキリンビール横浜工場からキリンビール神戸工場。6月10日に復路として、アサヒビール吹田工場からアサヒビール茨城工場。6月12日には、往路としてサッポロビール千葉工場からサッポロビール大阪物流センター、6月13日に復路としてサントリープロダクツ宇治川工場からサントリー海老名配送センターの輸送を予定している。
「2024年問題」を背景にトラックドライバー不足が深刻化し、2030年には輸送能力の34.1%が不足する可能性があるとの指摘があり、また酒類・飲料業界では他業界に比べて輸送量およびトラックの運行数が多く、特に需要が高まる季節はドライバーの確保が困難になる事態も予想されるという。
今回、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーの4社は、こうした社会問題の解決につなげるため、T2が開発したレベル2自動運転トラックを用いて4社の製品を幹線輸送する実証を実施。関東から関西までの高速道路の往復路で4社製品の容器・重量を変えてそれぞれ幹線輸送し、実証を通じて、「2024年問題」への対応を強化することで、持続可能な輸送体制の構築を目指すとしている。
同日開催された記者会見には、T2代表取締役CEOの森本成城氏、アサヒロジ代表取締役社長の児玉徹夫氏、キリングループロジスティクス代表取締役社長の小林信弥氏、サッポログループ物流代表取締役社長の服部祐樹氏、サントリーロジスティクス代表取締役社長の髙橋範州氏が参加、同実証についての狙いを話した。
T2では、2027年からレベル4自動運転トラックによる幹線輸送の開始を目指している。
現在の高速道路で約6時間かかる東京〜大阪のトラック輸送を想定した場合、現状の有人による輸送能力では、1日最大15時間と定められているドライバーの拘束時間により、ドライバー1人あたり片道の1日1運行が限界だった。無人のレベル4自動運転トラックの場合、ドライバーの拘束時間と無関係に運行が可能なため、1日で東京〜大阪を往復することができ、将来的には輸送能力を2倍まで高めることができるとT2では見込んでいる。
レベル4自動運転が実現した社会について、T2の森本氏は「現状、東京〜大阪間を1往復するのに2日強かかってます。それが自動運転になると完全無人なのでドライバーの休憩が不要ということになり、1日で東京〜大阪間を1往復していく。つまり輸送キャパシティは2倍になるというのが、実現した際の輸送能力に対するインパクトであります」と説明した。
今回の実証では、運転手が乗車して何かあった時に対応できる状態のレベル2自動運転トラックでの輸送実証が実施される。
森本氏は「2027年の10月からレベル4に徐々に移行していく。この2年間は、やはりわれわれ運送会社としての足腰を鍛えていき、かつ自動運転の輸送のオペレーションというのは通常のオペレーションと少々異なりますので、そのオペレーションの改善をしていく。それで1番重要なのが、完全無人でレベル4で10tトラックが走るというところに関して、やっぱり安心感というのが必要ですので、この2年間でしっかりとデータを世の中に開示していき、社会の受容性を高めて、レベル4にスムーズにつなげていきたいと考えております」と、今回の実証に対する考えを示した。
将来的にT2では、高速道路や専用道路における自動運転区間で遠隔監視型のレベル4自動運転車を走行させる事業イメージを想定しており、自動運転区間のある高速道路や専用道路に隣接する場所に、荷物を集約する拠点や、有人運転と無人運転を切り替える切替拠点を展開していく計画。
森本氏は「レベル4に移行した後は、やはり距離が長ければ長いほど自動運転のニーズが高まるというところで、中国、四国、九州に延伸するとともに、高速道路出入口付近に輸送拠点というのがありますので、そこまでは一般道も含めて自動運転ができるように開発していきたいと考えております」と将来に向けた意気込みを話した。