KDDI、中古車の価格表示をDX化する「KDDI AIデジタルプライスボード」提供開始

中古車の価格を表示する「電子ペーパーデバイス」は、SIMを内蔵していて24時間365日データ通信が可能。店舗全体でのWi-Fi工事などの初期費用も不要。またマイナス15℃～85℃までの耐熱性能を備えていて、夏季の車内温度上昇にも対応するという

　KDDIは10月20日、中古車販売業界における業務効率化を実現する「KDDI AIデジタルプライスボード」のサービス提供を開始した。

　中古車販売業界では、店頭の車両数が3000台を超える販売店も存在し、特に夏場や雨天などの悪天候や狭い車両間では、1台ずつのプライスボード張り替えに多大な作業時間と負荷が発生する。しかし、2023年10月に施行された自動車公正競争規約および施行規則の改定により、中古車販売では、車両価格に諸費用を加えた「支払総額」の表示が義務付けられたうえ、諸費用は車検や自動車税の更新に伴い変動し続けるため、全ての販売店では毎月最低1回以上、店舗にある全車両のプライスボードを更新する必要がある。

KDDI AIデジタルプライスボード概要

「KDDI AIデジタルプライスボード」の導入による業務時間削減の見込み

　近年は小売業界全体において、柔軟な価格設定が一層重要となっているが、特に中古車販売業界では、車種やグレード、年式、走行距離、傷の有無、ボディカラーなどの多様な要素をもとに、競合企業のウェブサイトや近隣店舗を複数調査し、販売価格を決定する必要があり、頻繁な価格更新の実現には、市場価格の迅速な把握と正確な価格入力が求められるという。

　そこで、KDDI AIデジタルプライスボードは、店頭の商品価格を一括管理するユーザーの基幹システムと電子ペーパーデバイスを連携させ、販売員がシステムに価格を入力すると、販売中の中古車内に設置している電子ペーパーデバイスの掲示価格を自動で更新してくれるもの。また、AIが最新の市場価格を算出する機能も備えていて、市場価格と販売価格に大きな乖離がある場合にアラートを出すことも可能という。

AIによる価格適正化の仕組み

AIが価格の乖離を検知してアラートで知らせてくれる

　これにより、これまで中古車販売業界において発生していた、紙のプライスボードを都度張り替える業務が不要となり、業務負荷を大幅に軽減できるほか、頻繁な価格変動にも柔軟に対応でき、販売価格の適正化が実現可能になり、すでに千葉トヨタ自動車の採用が決定している。

　KDDIは、ユーザーの事業成長および社会課題の解決に貢献するAI時代の新たなビジネスプラットフォーム「WAKONX（ワコンクロス）」を展開していて、KDDI AIデジタルプライスボードは「WAKONX Retail」として提供。また、KDDI AIデジタルプライスボードの知見をもとに、中古車販売業界のDXを支援していくほか、将来的には商品の価格変動が頻繁に発生する家電量販店やスーパーマーケットなどリテール業界での横展開も目指すとしている。