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三菱電機、運転中のドライバーの飲酒状態を「映像」「脈拍数」「車両制御情報」から高精度に検知する技術を開発
2025年12月17日 13:36
- 2025年12月16日 発表
三菱電機は12月16日、運転中のドライバーのわき見や居眠りを検知する「ドライバーモニタリングシステム(DMS)」 の映像から非接触で取得した脈拍数や、車両制御情報などを組み合わせることで、運転中のドライバーの飲酒状態を推定する技術を発表した。
飲酒運転による交通事故は、世界各国でも深刻な社会問題で、米国では年間1万人以上、EU23か国では年間2000人以上が命を落とし、日本でも厳罰化や行政処分の強化などで件数は減少傾向にあるものの、依然として重大な事故が発生している。また、こうした状況を踏まえ、欧州では「新車安全性評価プログラム(NCAP)」の評価項目拡充に向けて、DMSへの飲酒状態検知技術の導入が検討されていて、米国では新車への飲酒運転防止技術搭載の義務化に向けた議論も進められているという。
現在の飲酒運転防止策としては、運転前にドライバーの呼気中のアルコール濃度を測定し、基準値を超えていた場合にエンジンの始動を阻止する装置「アルコール・インターロック」を導入する国もあるが、この方式ではエンジン始動後の飲酒を検知できないという課題がある。また、カメラ映像を用いて顔や目の情報から覚醒状態を推定する技術もあるが、飲酒による覚醒度の変化が表情に与える影響には個人差があるため、表情変化のみで覚醒度低下を高精度に判別することは困難だった。
そこで三菱電機は、DMSの近赤外カメラを用いて取得したドライバーの顔映像から、脈動に伴う血液流量変化による皮膚反射の微小輝度変動を抽出することで、非接触で脈拍数を計測。アルゴリズムの改良により走行時の外乱を抑制し、脈拍数の変化への追随性を向上させることで、飲酒による交感神経活性化に起因する脈拍上昇を高精度に検出できるようにした。
また、DMSの映像から取得した脈拍数データおよび目の動き、車両制御情報を用いて、飲酒状態を判定するAIを開発。脈拍数データを判定要素として追加したことで、飲酒による表情変化が分かりにくいケースでも、覚醒度低下を高精度に判別可能としたほか、オークランド大学との共同研究にて、さまざまなスキンタイプ、年齢、性別、人種のデータを収集し、欧州や米国での使用を想定した検証も完了したという。
この技術は、三菱電機のAI技術「Maisart(マイサート)」の開発成果で、車載ECU(コンピュータ)にソフトウエアのアップデートで搭載可能としつつ、車載制御システムとの連携により判定結果に応じた警告表示や運転制御を実現したことにより、飲酒運転による交通事故発生リスクを低減し、安心・安全な社会の実現に貢献するとしている。


