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トヨタの技術トップ 中嶋裕樹副社長兼CTO、「NVIDIAとの提携業務拡大は事実、自動車業界も最先端半導体を使っていくことを示せた」

トヨタレーシングの代表として富士スピードウェイでル・マン24時間優勝報告会見に臨むトヨタ自動車株式会社 代表取締役副社長兼CTO 中嶋裕樹氏

 世界的なAI半導体メーカーであるNVIDIAが、7月16日に同社創業者兼CEO ジェンスン・フアン氏の来日に合わせて発表したのが、トヨタ自動車との提携関係の拡大。この発表では、CESやGTCで発表されたトヨタとの関係が単なる半導体採用ではなく、ソフトウェアエンジニアリング、工場のロボットシミュレーション、ウーブン・バイ・トヨタにおけるマルチモーダル・ビジョン言語モデルにまで拡大したことを明確にしていた。

 この提携関係拡大について、トヨタ自動車の技術トップである中嶋裕樹副社長兼CTO(Chief Technology Officer)に話を聞く機会があった。この業務提携拡大については事実であることは間違いないという。ただ、その内容は、これまで発表されてきたことがまとまったものであり、反響の大きさに逆に驚いているとのこと。

拡大を続けるトヨタ自動車とNVIDIAの業務提携

 実際、2024年11月13日にNVIDIA PhysXとOmniverseを活用しロボットの動作を検証し、デジタルツインを構築することなどがNVIDIA側から明らかにされており、そうした情報を丁寧につなげていくと今回の発表内容に行き着くとも言える。

 また、NVIDIA側からの発表ではレベル2++自動運転に触れられているが、それはNVIDIA側からの見方であり、トヨタとしてはSAEなどの技術規定でレベル2+やレベル2++が存在しない以上、「レベル2の次はレベル3」(中嶋裕樹副社長)という。

 確かに中嶋裕樹副社長のいうように、レベル2+やレベル2++を定義したものはない。マーケティングキーワードとして、レベル2+はハンズオフや自動レーンチェンジ可能なレベル2、レベル2++はE2E(エンド・トゥ・エンド)が可能な自動運転機能といった形で使われている。要するに、どの自動車メーカーも、人の運転責任であるレベル2自動運転の中での高度化を競っており、その表現方法としてレベル2+やレベル2++が使われている。

 ただ、確かに技術的には中嶋裕樹副社長のいうとおりなのだが、サプライヤーなどではレベル2++という言い方が製品の差別化のために一般的になっており、それによって理解が進む部分もある。採用するトヨタ側から見たらレベル2の半導体や車載OS、供給するNVIDIA側から見たらレベル2++の実現が可能な半導体や車載OSということなのだろう。

 中嶋裕樹副社長的には、すでに発表されてきたことの集積ながらNVIDIAの発表の反響の大きさにはメリットを感じており、「これまでレガシー半導体を使うと言われてきたが、自動車業界も2ナノや1ナノといった最先端半導体を使っていくことを示せた」と語る。

 ソフトウェア開発(ソフトウェアエンジニアリング)については、「NVIDIA Megatron-LMを用いて学習・微調整された、NVIDIA Nemotronを含むさまざまなデータセットを参照する、MISRA(Motor Industry Software Reliability Association)準拠の「Code Assistant」AIモデルを活用」とされており、これもそのとおりとのこと。これは、トヨタがNVIDIAのAIモデルを使って車載コードを開発していくことを示しており、そこにはトヨタスタンダードが学習されたAIによってコードが吐き出されていく未来が示されている。

 NVIDIAのデジタルツイン環境であるOmniverseライブラリと、ロボットや工場のシミュレーションフレームワークであるIsaac Simの採用については、トヨタがフィジカルAIを搭載したロボットを採用することが示されている。トヨタは2030年の稼働開始を目指して愛知県豊田市の貞宝町周辺に車両工場を新設することを発表しており、そこではこうしたデジタルツインで検討されたフィジカルAI搭載のロボットが採用されていくのだろう。

 トヨタとしては、車載半導体にルネサスやクアルコムなど多数のメーカーのものを採用しており、NVIDIAの半導体もその一つという立場。しかしながら、AIを用いた開発、AIを用いたデジタルツインといったソリューションを採用することは、世界最大の自動車企業であるトヨタにとっても必要なことだったのだと思われる。ただ、気になるのは採用範囲があまりにも広く、これは本当に自動車のためだけなのかといった疑問が湧いた。