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トヨタ豊田章男会長、エバンス/マーティン組のWRCタイトル初獲得を祝うコメントで来シーズンの“次のクルマたち”に言及

WRCドライバーズタイトル、コ・ドライバーズ・タイトルを獲得したエルフィン・エバンス選手(右)と、スコット・マーティン選手(左)

エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組がWRCタイトル獲得

 10月4日、WRC(世界ラリー選手権)の最終戦となる第13戦ラリー・イタリア サルディニアのデイ4が行なわれた。TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(以下、TGR-WRT)はすでにランチアに並ぶ10度目のマニュファクチャラーズタイトルを前戦で決めていたものの、ドライバーズタイトル、コ・ドライバーズ・タイトルは、同チーム内の争いとなっていた。

 最終日のデイ4では最終ステージまでタイトル獲得が分からない状況が続き、最終ステージ直前では33号車 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、99号車 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組が1ポイント差で争う状況に。先に走ったのはエバンス組で、その時点での2番手タイムを記録。このタイムより速いタイムを最後にスタートするソルベルグ組が出せればチャンピオン、出せなければエバンス組がチャンピオンという緊迫した争いになった。

ラリー1規定の変更により、GRヤリス ラリー1最後の勝利となった。豊田章男会長は来年のマシンについて“次のクルマたち”とコメント

 ソルベルグ組は最終ステージの最後の区間タイムでは、エバンス組に対して-1.9秒とチャンピオン獲得が見えている状況になり、エバンスが驚く状況もラリー中継には映し出されていた。

 しかしながら、ゴール直前の最後のS字セクションでソルベルグ組はスピードを出しすぎたためかコースオフ。コースに復帰したものの、エバンス組のタイムが速く、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組のドライバーズタイトル、コ・ドライバーズ・タイトルが確定した。エバンス選手、マーティン選手いずれも初タイトル獲得となる。

 エバンス選手はウェールズ出身のドライバーとして初めて世界王者に輝き、スコットランド出身のコリン・マクレー選手、イングランド出身のリチャード・バーンズ選手に続く3人目のイギリス人チャンピオン。

 マーティン選手はイングランド出身者として初めてWRCコ・ドライバーズ・タイトルを獲得。デビッド・リチャーズ(ウェールズ)選手、デレク・リンガー(スコットランド)選手、ロバート・レイド(スコットランド)選手、フィル・ミルズ(ウェールズ)選手に続く、5人目のイギリス人WRCコ・ドライバーチャンピオンになった。

健闘をたたえ合うエバンス選手(右)と、ソルベルグ選手(左)

 なお、最終戦のソルベルグ組の優勝により、GRヤリス ラリー1は13戦12勝とシーズン最多勝記録に並び通算48勝目を記録した。2027年からWRCは新規則に移行するため、GRヤリス ラリー1にとっては最後の勝利となった。

豊田章男(TGR-WRT会長)

ついにチャンピオンになってくれたエルフィンとスコットに、“おめでとう”と“ありがとう”と、そして“ごめんなさい”も併せてメッセージを贈りたいと思います。

TOYOTA GAZOO Racingの仲間になってくれた2020年から、エルフィンは“合計5回の2位”、2023年からは“3年連続の2位”でした。悔しいシーズンばかりだったエルフィンが、念願のチャンピオンに輝いてくれました。本当におめでとう!

私にも立場があります…、口では「みんなに勝って欲しい」と言わざるを得ません。しかし本音は違いました。サミとオリバーには申し訳ないけど、今年の私の本音は“エルフィン推し”。もう彼らを2位で終わらせる訳にはいかなかった…。エルフィン、本当に、本当に、おめでとう!

“ありがとう”は、今までエルフィンとスコットが重ねてくれたチームへの貢献に対しての感謝です。“5回の2位”は、安定してポイントを重ねてくれていた証。彼らが重ねたポイントがあったからこそ、TOYOTA GAZOO Racingはマニュファクチャラーズタイトルを続けてこられました。

ポイントだけじゃない貢献も大きいです。ドライバーズチャンピオンがかかっていた2021年の最終戦。コースオフをしてしまったエルフィンたちは、その後、チームメンバーに“滑りやすいところ”を伝えてくれて、その結果、セブがチャンピオンになれました。チームのことも考えられる最高のドライバーです。本当にありがとう! (私が“エルフィン推し”だった理由も皆さまにわかっていただけたかと思います。)

“ごめんなさい”は、チャンピオンを決める戦いにいてあげられなかったことです。私が現場にいる時、エルフィンは必ずと言っていいほど結果を残してくれました。優勝が4回、2位が3回ありました。だからこそ、チャンピオンがかかったラリーには私が側にいてあげたかった…。他のドライバーには申し訳ないけど、実はサウジアラビアには行くつもりでした。スケジュールの都合でサルディニアには行けなかったので、チャンピオンに輝いてくれてホッとしています。

オリバーも最後まで本当にがんばりました。来年もがんばろう!

今回のラリーでGR YARIS Rally1は役目を終えます。2022年から5シーズンずっとチャンピオンを取り続けてくれたクルマです。今シーズンは、5人のドライバーが「誰が乗っても勝てるクルマ」になっていました。ドライバーファーストの“もっといいクルマ”を追求してきてくれたチームのみんなに心から感謝します。

既にみんなは“次のクルマたち”の準備を進めてくれていると思います。そこには、新たな挑戦もたくさんあるでしょう。はじめからうまくいかないこともあるかもしれません。また新たな“もっといいクルマづくり”を、みんなで楽しんでいきましょう!

ヤリ-マティ、ユハをはじめとしたチームのみんな、パートナーのみなさま、ファンのみなさま、今シーズンも、ありがとうございました。

2026年ラリージャパンの表彰台にて。豊田章男会長が応援に訪れるときの勝率が高いエバンス選手

ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)

非常にエキサイティングなシーズンを締めくくる、信じられないような結末となりました。私たちは一年を通して、すべてのドライバーに優勝のチャンスを平等に与えようと努めてきましたが、今週末は素晴らしい戦いを見ることができました。エルフィンとスコットは長年、本当に一生懸命努力を重ねてきました。そしてついに、彼らが得るにふさわしいタイトルを獲得したのです。彼らのことを心から嬉しく思っています。オリバーは速く、素晴らしい走りを見せ、全力を尽くしました。そして最後は、あと一歩というところまで迫りました。彼にとっては残念な結末となりましたが、彼もサミも、若手ドライバーとして今シーズン素晴らしい活躍を見せてくれました。彼らは自分たちが成し遂げたことを誇りに思うべきですし、私たちも彼らを誇りに思っています。そして将来、チャンピオンシップを勝ち取るチャンスはきっとまた訪れると確信しています。

エルフィン・エバンス(GR YARIS Rally1 33号車)

波乱に満ちた最終日を乗り越え、ついにチャンピオンシップを勝ち取ることができたのだという実感が、まだあまり湧いてきません。最終日は接戦になることは分かっていたので、できる限りのことをしましたが、最初のステージは路面のクリーニングがかなり大変でした。2本目のステージで多少タイムを挽回できましたが、3本目のステージのスタート直後はいたる所に岩が転がっていて、何とか走り抜けようとしたのですが、すぐにパンクしてしまいました。そして、パワーステージでは全てを出し切る必要があったのですが、乱雑な走りになってしまい、十分な速さを発揮できなかったと確信していましたし、オリバーも終盤のあの瞬間までは、私よりも速いペースで走っていました。彼とエリオットのことは気の毒に思います。二人ともこの週末、信じられないほど素晴らしい走りを見せていました。しかし、私たちのこの勝利はあのステージだけで勝ち取ったものではありません。一年を通しての努力の結晶であり、誇りに思えるチャンピオンシップでした。これまで何度も、あと一歩というところまでいっていたので、少しほっとしました。長年にわたり私を支えてくれた大勢の皆さん、とくにスコットとチームには心から感謝します。

セバスチャン・オジエ(GR YARIS Rally1 1号車)

今日、目にしたような劇的なフィニッシュ以上の脚本は、なかなか書けないと思います。ラリーの世界では、最後まで何が起こるかわからないということを誰もが知っています。エルフィン、スコット、おめでとう。彼らは長年にわたり懸命に努力してきましたし、彼ら以上にこのタイトルにふさわしいクルーはいません。オリバーとエリオットは、あと一歩のところまで迫っていたので、今は辛いと思います。しかし、今シーズンの彼らのスピードは私たち全員を驚かせました。彼らが世界チャンピオンになるのは時間の問題だと確信しています。今シーズン、そして過去5年間このクルマと共に過ごすことができたことを、チームの皆さんに感謝します。皆さんと一緒に仕事をすることができ、常に速くて信頼性の高いクルマを頼りにすることができたのは、本当に素晴らしいことでした。

オリバー・ソルベルグ(GR YARIS Rally1 99号車)

まず初めに、エルフィンとスコットにおめでとうと言いたいです。彼らは間違いなくこのタイトルにふさわしいと思いますし、シーズンを通して非常に安定した走りをしていました。ジェットコースターのようなシーズンを送った自分にもチャンスがあったなんて、信じられない気持ちです。週末が進むにつれて自信がどんどん湧いてきましたが、あと一歩のところまで迫っただけに、やはり悔しいです。パワーステージでエルフィンに勝つためには全力を尽くさなければならないと分かっていましたが、それだけでは足りないかもしれないと思い、さらなるプッシュを試みました。しかし、最後に小さなミスを犯してしまい、クルマを立て直すことができずコースアウトしてしまいました。このチームでの最初のシーズンで、これだけの成果を上げられたことを誇りに思います。最後まで頑張り、全力を尽くしたので、この後も挑戦する機会が何度かあることを願っています。

勝田 貴元(GR YARIS Rally1 18号車)

チームの皆さんのおかげで、この厳しいラリーを走り切ることができました。心から感謝します。金曜日のパンクによって非常に厳しいスタートとなりましたが、最終的には6位でフィニッシュすることができ、チーム全員の多大な努力によって大きな成功を収めてきたこのクルマでの、最後のラリーを楽しむことができました。今シーズンは2勝を挙げ好調なスタートを切ることができました。チャンピオンシップ争いを最後まで続けられなかったとはいえ、チームメイト同士が最後のコーナーまで激しいバトルを繰り広げる姿を見ることができたのは、素晴らしいことでした。エルフィンとスコット、そしてオリバーとエリオット、サミとマルコにも心からおめでとうと言いたいです。彼ら全員が素晴らしい戦いを見せてくれたので、これからも彼らと戦い続けられることを願っています。

サミ・パヤリ(GR YARIS Rally1 5号車)

本当に劇的なシーズンの締めくくりになりました。自分自身は今回ベストなラリーを戦うことができませんでしたが、エルフィンとスコットはタイトル獲得にふさわしかったですし、本当に嬉しく思います。このレベルでの2年目を迎えた今シーズン、9回の表彰台獲得と3回の優勝という結果にはとても満足しています。モンテカルロでの非常に厳しいスタートの後、ほぼすべてのラリーでステージ優勝し、タイトル争いでも徐々に差を縮め、最終的にはわずか6ポイント差まで迫ることができました。自分たちはまだ若いので、将来再びタイトル獲得を目指せるチャンスがあることを願っています。このクルマでの最後のステージでは、全力を尽くしました。チーム全員と、私たちを支えてくれたすべての人に心から感謝します。

豊田章男会長のいう“次のクルマたち”とは?

 WRCは2027年から新しい規定のクルマでの戦いとなる。トヨタの新しいクルマについてのテストはさまざまな形で目撃されているものの、チーム体制を含めての発表はいまだなされていない。そのような中で、豊田章男会長の祝福コメントには“次のクルマたち”と複数の車種があるようなニュアンスが含まれていた。

“次のクルマたち”とは何を指すのだろうか? 例年体制発表は秋のラリージャパン開催後となっていたが、2026年シーズンのラリージャパンは春開催となり、発表タイミングは未定だ。しかし、豊田会長の方針として、体制発表は選手に安心して正月を過ごしてもらうため年を越さないというのがあり、年末までには何らかの発表があると予想される。“次のクルマたち”が何を指していたのかはそのときに分かるかもしれない。