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WEC最終戦間もなくスタート、小林可夢偉と平川亮がWECダブルタイトルへ向け決勝前会見 F1参戦平川は「クルマの限界を探って走るという意味では同じ」
2026年11月8日 18:22
WEC(世界耐久選手権)第8戦モンツァ6時間レースの決勝が11月8日(現地時間)、イタリアで開催される。シーズン最終戦となるモンツァ6時間に挑むトヨタレーシングは、7号車 TR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース/小林可夢偉)、8号車 TR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)は、予選で7号車が10位、8号車が16位と厳しい結果になり、日本時間で11月8日19時(現地時間11時)から始まる決勝レースに臨む。決勝前には、小林可夢偉選手兼チーム代表、平川亮選手のリモート会見が行なわれた。
トヨタレーシングはすでにメーカータイトルであるWECマニュファクチャラーズチャンピオンシップを獲得しており、ドライバータイトルについても7号車、もしくは8号車で争っている状態にある。モンツァ6時間の結果次第でトヨタレーシングの7号車、もしくは8号車が獲得する状況にあるほか、WECのシーズンハイライトであるル・マン24時間レースについては7号車(マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース/小林可夢偉)が制覇。そういった意味では近年になく強さを示せたシーズンではあるものの、ル・マンや富士と同じく後方から巻き返すモンツァ6時間レースになる。
予選を振り返っての印象を聞かれた小林可夢偉選手は、「予選は2台揃ってかなり厳しい予選となりました。雨は多少まわりも苦戦したけど、ドライも苦戦をしているなというのが状況です。なので、我々は全力で戦うのみと現状は言えるかなと思います」と苦しい状況を語る。
先週、いきなりF1にデビューし1ポイントを獲得する活躍を見せた平川亮選手は、「ドライの予選、全員一緒なんですけどフリー走行は全部雨の走行で、ぶっつけのドライの予選でちょっとサーキット自体が結構スムーズになり、改修されたことで、そこに対してのクルマが最適化されていなかった部分はあるんですけど、サーキット的にクルマに合ってないのかなというのは、予選をやってそういった状況で、レースに向けては予選で学んだところからさらにクルマをよくします。今日はそのクルマでレースに臨むところです」という。モンツァでは、今シーズン路面改修が行なわれており、路面がよくなったことでトヨタレーシングのマシンの強みを失っているという。
しかしながら、トヨタレーシングはル・マン24時間でも富士6時間でもよくなかった予選でのポジション(富士は予選が中止となりフリー走行のベストラップ)を、ドライバーのパフォーマンスとチームの戦略、それに今シーズンの新マシン「TR010 HJYBRID」に小林可夢偉選手のアドバイスで採り入れられた、レースを通じて性能低下の小さいアンチエイジングコンセプトによって勝利を得てきた。予選の結果が決勝の結果に直結しない強さを持っている。
その辺りについて小林可夢偉選手は、「ごめんなさい。明るい話題を出したいんですけど、正直言うと我々はタイヤに優しいのでレースに強いというところがあるのですが、ここは路面があまりにも優しすぎて、我々はもっと攻撃しないといけないっていう状況です。どちらかというと苦手分野のところに入っております。スポンジとスポンジを重ね合わせるのはなかなか上手くいかないなっていうところで」「ポジティブなニュースでいくとノープレッシャーでこの最終戦を挑めるということです。大幅にチャレンジングなセットアップで何か来年に見つかるものがないかっていうところも含めていけたらなと。ポジティブかどうか分からないですけど、非常に我々としてはスポンジとスポンジでなかなか苦戦をしておりますが、守りに入るのではなくアグレッシブに、ちょっと戦略も含めて、アグレッシブ気味にはいきたいなと思っています」と語ってくれた。
TR010 HJYBRIDの決勝レースの強さは、タイヤへの攻撃性が低いことにあり、それが他車に比べて決勝レースのペースのよさを生んでいるとのこと。しかしながら、路面改修によって路面がよくなったため、他車もタイヤに優しいクルマになり、相対的なメリットが失われているという。
ただ、7号車、8号車いずれかがチャンピオンを獲ることは確定しており、タイトルを考えると守りに入るのではなくアグレッシブにクルマのセットアップを変更。その結果を決勝の走りに反映していく。
平川選手は、「苦手なサーキットの中で僕らがどういうレースができるかというのと、戦略はあんまり振れない(変化の幅が小さい)ので。スティントの長さとかという部分で幅がないというか、何もできないというのはありそうなんです。けれども苦手な中で僕らトヨタレーシングがどういう走りができるかというのを見てほしいなと思います。正直ちょっと今のところは厳しいかなっていうのは本音ですね。明るい話題があんまりないです。そして今すごい渋滞もしてます。明るい話題がどこにもないです」と、渋滞中のクルマの中からインタビューに答えてくれているようで、たんたんと状況を分析してくれた。
ただ、現時点でシーズンを振り返ってみた場合、平川選手は「初戦イモラでこの新しいクルマでフロントローを取って優勝できてっていうので、すごく最初からいい流れがあったかなと思います。もちろんル・マンが一番大きなハイライトで7号車が優勝できてっていうことで、すごく激しい戦いがある中で1位と3位っていうのはすごく素晴らしい結果でした。その後は、僕ら富士とバルセロナで2連勝ということで、もちろん速さはあるんですけども、速さがなかった富士とかで戦略やチーム力で優勝できたりとか。バルセロナはもちろん速さはあったんですけどもタイヤの持ちがすごくよくて勝てたりとか、総合力がすごく高かったかなと思います。この長いWECのトヨタが参戦してきた歴史を見ても、一番と言っていいほどトヨタレーシングの強さを発揮できたのかなと思っています」と、新しく生まれ変わったトヨタレーシングという体制での強さを見せられたという。
小林可夢偉選手も、「それ以外言うことがありません。これ以上求められないと思うんで、本当にチームに感謝ですね。そしてもちろんこれをサポートいただいた中嶋(裕樹)さん、上原さん、そしてモリゾウさんに感謝しかないなと思います」と、平川選手同様の気持ちであるとのことだ。
平川選手にとっては、F1に参戦してポイントを獲得して戻ってきたWECマシンということになるが、「スローモーションのように、特に最初の1周目は思いました。結構F1の方がいろんな操作が繊細だったりするので、ハイパーカーの方が攻める、すごく攻めるっていう感じの走りができる。その辺りは使い分けをしなければいけない部分があったりしますけども。クルマの限界を探って走るという意味では同じなので、スピードが速いか遅いかっていう部分だったり、長時間やらないといけなかったりっていう違いだけなので、いろいろな経験ができて。WECも雨だったり晴れだったりドライだったり、いろいろな状況に対しての適応力が上がってるのかなと思います」と、F1で得た経験をハイパーカーの走りに活かしていくようだ。
また、7号車で小林可夢偉選手とともに走るマイク・コンウェイ選手は、これがトヨタレーシングでの最後の走りになる。小林可夢偉選手は、「今回、最終、最後ということで家族が20人ほど今回応援しにくる状況で、本当にたくさんの応援があって、改めてドライバーってこうやって生きているんだなっていうのを感じる。彼自身、長年組んできて、本当に人としてチームメンバー全員が応援をしている、それぐらい人として立派にできた人間です。彼って実は裕福なんですよね。モータースポーツで裕福な家族は一杯いるんですけど、裕福なんですけど結構お父さんの教育が厳しくて、本当に本人ががんばらないとモータースポーツ、カートをやらせないよっていう状況で。親が裕福であってもちゃんと育てるという観点に向けて厳しい環境で育ってきたっていうことを常々感じさせる行動であったりとか、素振りっていうのを感じる。僕らからすればとんでもないイギリスで金持ちやって思うんですけど、モータースポーツをやる時のアプローチっていうのは、そういうところはまったくない状態でここまで上がってきた。本当に人として僕はリスペクトをして、最後一緒に走れるというのを誇りに思う。(今後)完全にドライブしないというわけでもないので、お互い引退したら、またいつか一緒に何かレースを遊びでできたらいいなと思います」と語った。
なお、トヨタレーシングの会長でもあり、トヨタ自動車代表取締役副社長である中嶋裕樹氏も、モンツァにチームを激励に訪れたとのこと。「金曜日の1日しか時差の関係で来られなかったんですけど、本当にチームに、今シーズンの成績を感謝いただき、我々もしっかり最後まで1つのチームとなってこの最終戦に挑むというエネルギーをもらってアメリカに旅立った。アメリカが終わったらヨーロッパのドイツに戻ってきてくれるということで、本当にあれだけ忙しい中にあっても我々のために力を貸していただいて、シーズンが終わってドイツまで来てくれるということで、感謝を、エネルギーをもらっている。中嶋さんはすごくエネルギッシュなので、そういう意味で我々チームにとっては頼りになる存在です」と語る。中嶋副社長はトヨタレーシングの活動であるNASCAR最終戦を訪れ、米国でのビジネスミーティングが済み次第、トヨタレーシングの本拠地であるドイツ ケルンに戻ってシーズンの締めくくりに合流するという。そのエネルギッシュな活動が、チームに力を与えた面もあるのだろう。
7号車がドライバーチャンピオンを獲得するのか、8号車がドライバーチャンピオンを獲得するのか、トヨタレーシングにとってはダブルタイトル獲得への戦いは日本時間の19時に始まる。決勝スタートは後方からとなるが、ル・マン24時間や富士6時間同様に、チームの総合力を活かした戦いに注目したい。



