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トヨタ副社長 中嶋裕樹氏、ジャイアーノとしてル・マン24時間優勝コメントを発表 豊田章男会長に対し「覚悟しておいてください。」と
2026年6月15日 12:19
トヨタ自動車は、6月13日~14日にかけて開催された第94回ル・マン24時間レースで優勝した。優勝したのは7号車 TR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/ニック・デ・フリース/小林可夢偉)で、8号車 TR010ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮)も3位表彰台を獲得した。
トヨタがル・マン24時間を優勝するのは4年ぶりとなり、3連覇したフェラーリからル・マンチャンピオンの称号を奪還した。トヨタのル・マン24時間レース制覇は6度目となる。
今回、トヨタはトヨタレーシングという体制に一新してル・マン24時間に挑んだ。リーダーを任された中嶋裕樹副社長が掲げたのは「For the Engineering Race」という言葉。トヨタ自動車代表取締役会長である豊田章男氏にル・マン24時間レースの体制について相談したときに、「じゃあモリゾウの力を借りずにやってみたらどうだ」と言われ、B to Cではなく、B to Bの体制として技術屋の能力を最大限に引き出そうとしたものになる。
ル・マン24時間レースに向けては、さまざまな努力に加え、新規のアイデアが積極的に採り入れられ、その結果、予選14番手と15番手から、1-3フィニッシュで表彰台獲得という大逆転劇を世界中に示した。
自身、「ジャイアーノ」と名乗る中嶋副社長はル・マン24時間レースの決勝スタート日に現地を訪れ、チームを鼓舞。ゴールまではいられなかったようだが、優勝後メッセージを発表した。そのメッセージも「ジャイアーノ」名で出されるなど型破りなものとなっており、常識にとらわれずに勝利を目指した中嶋副社長の気持ちが表われている。
メッセージには、モリゾウ氏への投げかけも行なわれており、東京オートサロン2026における三番勝負の決着がどこで付けられるかも気になるところ。
トヨタ自動車は6月17日に株主総会を予定しており、そこにはモリゾウこと豊田章男会長、ジャイアーノこと中嶋裕樹副社長も出席するとみられ、ル・マン対決のレフェリー役に指名された近健太社長も出席する。
株主総会という場だけに、ル・マン24時間レースのことが語られるかどうか分からないが、注目ポイントが増えたことは間違いない。
ジャイアーノ(中嶋副社長)メッセージ
ル・マン24時間レース優勝に寄せて
ル・マン24時間レースをともに戦ってくださったファンの皆さま。
レースを支えてくださったACO、FIA、マーシャル、オフィシャルの皆さま。
そして24時間、本気で戦い抜いたすべてのライバルの皆さま。
ありがとうございました。
まずは7号車のドライバーたち。そしてチームのみんな。優勝おめでとう。
そして、本当にありがとう。
今年のル・マンは決して楽なレースではありませんでした。予選は14位と15位。決して有利な位置からのスタートではありませんでした。
そこから仲間たちは知恵を出し合い、勇気を持って決断し、一歩ずつ前へ進みました。苦しい場面もありました。流れを失うこともありました。思いどおりにならないこともありました。
それでも誰も諦めませんでした。
エンジニアは知恵を絞り続けました。メカニックは最後までクルマを信じ続けました。
ドライバーは限界のその先まで挑戦し続けました。そしてチーム全員が、お互いを支えながら24時間を戦い抜きました。
今日の勝利は、速さだけで勝ち取ったものではありません。人の力で勝ち取った勝利です。
そして今日、優勝したのは7号車ですが、勝ったのは1台ではありません。
7号車と8号車。そして2台のTR010 HYBRIDを支えたすべての仲間たちです。
ドライバー。
エンジニア。
メカニック。
スタッフ。
誰ひとり欠けても、この結果はありませんでした。
私は、この勝利はTOYOTA RACING全員で勝ち取った勝利だと思っています。
そしてBMW、キャデラック、フェラーリをはじめ、最後まで本気で戦ってくださったライバルの皆さま。皆さんがいたからこそ、この勝利には価値があります。本当にありがとうございました。
そして、今日はもうひとつお話ししたいことがあります。
東京オートサロンで、私はこんな話をしました。「トヨタには、モリゾウと一緒にクルマをつくりたい人もいる。そして、自分たちのやり方で挑戦したい人もいる」。
私は、その両方の仲間たちと仕事をしています。だからこそ今回のル・マンは、私たちTOYOTA RACINGにとって特別な意味を持つ挑戦でした。
GRが「もっといいクルマづくり」を追い続けるなら、私たちTOYOTA RACINGは、もっといい技術をつくりたい。もっといいパワートレーンをつくりたい。
もっと速く。もっと強く。もっと効率よく。限界のその先を目指したい。
ル・マンはレースです。でも私たちにとっては、それ以上に技術開発の最前線です。
エンジン。ハイブリッド。燃料。ソフトウェア。制御。空力。そして人づくり。
そのすべてが競争です。そのすべてが挑戦です。
だから私たちTOYOTA RACINGは、新しいフィロソフィーとして、
『For the Engineering Race』という言葉を掲げています。
レースのために技術を磨く。技術のためにレースをする。勝利のためだけではなく、技術者たちが世界一を目指せる舞台としてレースに挑む。それがTOYOTA RACINGです。
今日ここで結果を残してくれた仲間たちは、その挑戦を信じて戦ってくれました。私は、そのことを何より誇りに思います。
そして最後に。モリゾウさん。
東京オートサロンで約束した喧嘩三番勝負。
今日は約束どおり、TOYOTA RACINGがル・マンで勝利しました。
残念ながら、トロフィーはまだフランスにあります。ですので今日のところは、オートサロンで宣言したように「叩きつける」ことができません。でも、必ず日本へ持ち帰ります。
覚悟しておいてください。
ただ、私たちが本当に見てもらいたいのはトロフィーではありません。あなたが育てた仲間たちが、自分たちで考え、自分たちで決断し、自分たちで挑戦し、自分たちで勝てるチームになったことです。
オートサロンで私は、「モリゾウと一緒にクルマをつくりたくない人たちもいる」という話をしました。今日、その仲間たちの意地と実力を見てもらえる結果になったと思います。
でも、それはモリゾウに反旗を翻したという話ではありません。モリゾウがつくった土壌から生まれた、新しい挑戦の話です。
私たちは同じ山を登っています。目指している頂上も同じです。ただ、選んだルートが違うだけです。
GRにはGRの挑戦がある。TOYOTA RACINGにはTOYOTA RACINGの挑戦がある。
そして今日、TR010 HYBRIDはその挑戦が間違っていなかったことを証明してくれました。私たちが日本へ持ち帰るのは、優勝トロフィーだけではありません。
TR010 HYBRIDに込めた技術者たちの意地です。
現場で汗を流した仲間たちの挑戦です。
そしてTOYOTA RACINGという新しいチームの可能性です。
そのすべてを持って、あなたに報告に行きます。そのときは、ぜひ受け取ってください。
ありがとうございました。

