環境展示会「エコプロダクツ2009」が開幕
“エコ”をテーマとした製品やサービスが一堂に会する

エコプロダクツ2009

会期:12月10日~12日
入場料:無料



 12月10日、東京都江東区の東京ビッグサイトで、環境展示会「エコプロダクツ2009」が開幕した。会期は12月10日~12日で、時間は10時~18時(12日のみ17時)。入場は無料。主催は産業環境管理協会、日本経済新聞社。

 エコプロダクツ展は、環境に配慮した製品やサービス普及などの実現を目指し、1999年から開催されている展示会。出展企業が環境に配慮した製品やサービスを展示するほか、政府や自治体、NPO法人、大学・研究機関なども、環境への取り組みを紹介している。11回目を迎える今年のテーマは、「問い直せ、日本の力~ソーシャルパワー元年~」。出展される技術やアイデアが繋がることで新しい力(ソーシャルパワー)になり、さらなる環境改善が図られるとともに、来場者が当たり前のようにエコ製品を使う時代が到来してほしい。そんな願いが込められているそうだ。

 また、各出展者が環境に配慮した展示ブースの設計を行うとともに極力リース・レンタルシステムを使用することを推奨したり、会場内に出るゴミを11種類に分別して再資源化したり、さらに出展者の出す段ボールも回収して再資源化したりするなど、展示会自体でエコ活動を積極的に行っていたのも印象的。

 会場は東展示場の1~6ホール。ホール1は公共・ニュービジネス・リサイクル、ホール2はエネルギー・建設・住宅、ホール3は建設・住宅・家電・電子・照明、ホール4は事務機・印刷・日用品・衣服、ホール5は小売・食品・容器・包装・素材・生物多様性、ホール6は素材・自動車・運輸・金融・学習・趣味と、テーマごとに分かれている。

 自動車関連の企業が多く出展するホール6では、各企業の環境への取り組みをブースで紹介していた。また屋外では「エコカー&ベロタクシー乗車体験」コーナーが設けられ、水素REハイブリッド車、電気自動車、クリーンディーゼル車などの試乗車が用意され、実際にエコカーを同乗体験できるようになっていた。

エコカー乗車体験では、日産「EV-01」、三菱「i-MiEV」、マツダ「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」のほか、埼玉県にある自動車教習所「ファインモータースクール」の教習車に乗ってエコドライブを体感できる

 以下、各ブースの模様をお伝えする。

ブリヂストン
 転がり抵抗低減と高次元のウェット性能を両立する低燃費タイヤ「ECOPIA」や、使用済みタイヤを再利用する「リトレッドタイヤ」を活用した「エコ バリュー パック」の展示のほか、ランフラットタイヤに使用される補強ゴム「NanoPro-Tech(ナノプロ・テック)」技術を体感できる実験を行っていた。ナノプロ・テックは、タイヤに負荷がかかった際に発生するカーボン同士の摩擦を減少させ、発熱を抑制するというもの。実験ではナノプロ・テックを使用したゴムボールと使用していないボールが用意され、ハンマーで叩いた際の熱の持ち方やボールの転がり抵抗がどのくらい違うのかが分かるものだった。

低燃費タイヤ「ECOPIA」パンクしたランフラットタイヤと一般的なタイヤを比較できるコーナー
安全性と軽量化により燃費低減に成功した航空機用タイヤも展示ナノプロ・テックを体感できるコーナーも

ダンロップファルケンタイヤ
 環境対応タイヤ「ENASAVEシリーズ」、ミニバン専用低燃費タイヤ「ENASAVE RV503」、低燃費タイヤ「ENASAVE EC202」)を展示。また、転がり抵抗の異なる2つのタイヤを同じ速度まで回転させ、その違いを消費電力と燃費で表示する実験を見ることができる。

転がり抵抗の異なるタイヤを使った実験の模様左が従来品で右がENASAVE EC202。従来品が168Wだったのに対し、ENASAVE EC202は134Wと、転がり抵抗が低いことが分かる
消費電力から計算される燃費では、従来品が14.6km/L、ENASAVE EC202は15.1km/Lという結果が出た環境対応タイヤ「ENASAVEシリーズ」

横浜ゴム
 エコタイヤ「DNA」シリーズやトラック・バス用省燃費タイヤ「ZEN」シリーズの展示や、転がり抵抗を体感できる実験も行っている。

エコタイヤ「DNA」シリーズが展示される転がり抵抗の差が一目で分かる実験。青いのは転がり抵抗が低いのが分かる10月に発売された乗用車用パンク応急修理キット「AIR LOCK」。修理液と電動エアーコンプレッサーがセット

トヨタ自動車
 トヨタのブースには外部からの充電が可能な「プリウス プラグインハイブリッド」、2.4リッターのアトキンソンサイクルエンジンとモーター、リダクションギアを組み合わせた「リダクション機構付きのTHS II」システムを採用するハイブリッドセダン「SAI」、パーソナルモビリティ「ウィングレット」など、いずれも環境配慮型のモデルを展示する。

プリウス プラグインハイブリッドSAIウィングレット

日産自動車
 CO2排出量の削減、エミッションのクリーン化、資源循環の3つの課題に対する取り組みを紹介。電気自動車の開発や低炭素都市構築に向けた社会との協働、エコ運転への取り組みなどをパネルや映像を用いて紹介している。ブースには「ティーダ」ベースの電気自動車「EV-11」や、来年発売を予定している電気自動車「リーフ」に搭載される電動ユニット・システムの紹介を行っている。

「EV-11」電気自動車「リーフ」の電動ユニット・システム
1.5リッタークラスのガソリンエンジン搭載車で最高の燃費を実現すると言うHR15DEエンジンとエクストロニックCVTの組み合わせ。10・15モード燃費は20.0km/Lぶつからないクルマの実現に向けて、群走行するロボットカー「エポロ」も展示

三菱自動車工業
 電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」や、実用化に向けて開発中の植物由来樹脂技術「グリーンプラスチック」内装部品を展示する。i-MiEVは来年から一般向けにも販売される予定なので、相談コーナーを設けて対応している。

i-MiEV急速充電充電スタンドも展示

マツダ
 アイドリングストップ技術「i-stop」のカットエンジンを展示するほか、東京モーターショーで公開した次世代直噴ガソリンエンジン「マツダ SKY-G」、次世代クリーンディーゼルエンジン「マツダ SKY-D」も展示している。

i-stopを搭載するアクセラも展示されるマツダ SKY-Gに次世代オートマチックトランスミッション「マツダ SKY-DRIVE」が組み合わせられる
マツダ SKY-Dとマツダ SKY-DRIVEi-stopのカットエンジン

スバル(富士重工業)
 セレクトショップ「BEAMS(ビームス)」のコラボレーションモデル「スバル プラグイン ステラ feat. BEAMS」を展示するスバルブース。プラグ イン ステラは、エンジンルームに永久磁石式同期型モーター、前席と後席の床下にNEC製バッテリーを12セル内蔵したリチウムイオンバッテリーモジュールを16個搭載。走行時のCO2排出量をゼロとしている。また、2000kW大型風力発電システム「SUBARU 80/2.0」の1/50スケール模型も展示している。

スバル プラグイン ステラ feat. BEAMS2000kW大型風力発電システム「SUBARU 80/2.0」

シャープ
 世界最大級のソーラーカーレース「グローバル・グリーン・チャレンジ」で優勝した東海大学チームのソーラーカーを出展していた。このソーラーカーには同社製の太陽電池を搭載しており、12月10日にはレースでドライバーを務めた篠塚建次郎氏によるスペシャルトークショーを行っていた。また、省エネ・長寿命のLED照明やLED AQUOS、冷蔵庫、エアコンなどを展示している。

篠塚建次郎氏によるスペシャルトークショーグローバル・グリーン・チャレンジで優勝した東海大学チームのソーラーカー

新日本石油
 新日本石油ブースでは、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車などに使う燃料(動力源)や、家庭用燃料電池「エネファーム」、太陽光発電システムの紹介を行っていた。また、電気自動車への急速充電サービスの実証実験「EVチャージステーション・プロジェクト」についてパネルを使って紹介している。そのほか子供たちが楽しく環境について考えられるよう、クイズに回答するとオリジナルのディズニーカレンダーなどをプレゼント。なお、11日にはタレントの堀ちえみさん、環境エネルギー総合研究所代表取締役所長の大庭みゆきさんらによるパネルディスカッションを行う予定。

新日本石油ブースで未来のENEOSスタンド

コスモ石油
 コスモ石油は、原油の生産から国内での石油製品流通に至るまでの環境負荷低減を積極的に行っており、ブースでは一連の取り組みに関する情報発信を行うとともに、同社が発売するALA(アミノ酸の一種)を使ったレタスやほうれん草を紹介。ALAは生体内に存在する天然生理活性物質で、植物に対して低濃度で使用した場合に育成促進、収量、品質向上効果があると言う。

ALAを使ったレタスやほうれん草を紹介するコスモ石油ブース

富士通テン
 富士通グループブースの一角にある、富士通テンコーナーでは、3代目プリウスに採用するハイブリッドシステム制御用 ECUを紹介。モーターとエンジンの切替えを最適に制御するもので、燃費向上・排気ガス低減に一役買うものとしている。また、ケース材質をアルミダイキャストから樹脂に変更したことで、重量を約20%低減したと言う。このほか、急な加減速やハンドル操作をスピーカーから警告し、安全運転とエコドライブのアシストを行うドライブレコーダー「DREC3000」やカーナビ「AVN Lite」を展示する。

カーナビ「AVN Lite」プリウスに採用するハイブリッドシステム制御用 ECUドライブレコーダー「DREC3000」

デンソー
 自動車関連では同社製品を使用したカーナビシステムやETC車載器、データ通信モジュール、各種センサー類などのほか、ハイブリッド車用の制御関連製品や、走行用電気モーター制御とエネルギー回生の核となるインバーターを展示。また、新種の藻にCO2を吸収させてバイオ燃料を生産する研究内容、植物由来樹脂製ラジエータータンクなども紹介している。そのほか、オンデマンド給湯器「エコキュート」シリーズのラインアップも展示する。

ハイブリッド車における走行用電気モーター制御とエネルギー回生の核となるインバーター2008年4月から慶応大学先端生命科学研究所と共同で行われている、微細藻類を使ったCO2吸収・バイオ燃料化の研究。使用されている藻は通常の植物と同じようにCO2を吸収してデンプンを作ることに加え、ディーゼルエンジンで使用できる軽油の成分を含んだオイルも作ると言う従来はラジエータータンクには石油由来の樹脂を使用していたが、植物のヒマから抽出した成分を主原材料に使っている

NGP日本自動車リサイクル事業協同組合
 使用済み自動車の廃車処理やリサイクル部品を利用した自動車修理の啓蒙活動のほか、再使用可能な部品をリサイクルパーツとして商品化し、事故車、故障車両の補修部品として供給する循環型システムの紹介を行っている。また、リサイクルパーツを使用して作られたリムジン仕様のマーチも展示している。

リサイクルパーツで作られたマーチリムジン
後席足下もかなり広い新品部品とリサイクル部品の価格比較もできる

(編集部:小林 隆)
2009年 12月 11日