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インテル、クルマを含むInternet of Things(IoT)の取り組みに関する説明会
“モノのインターネット”において製造業、自動車、小売業をとくに重視
(2014/4/18 00:00)
インテルは4月17日、米インテル副社長兼IoTソリューションズ事業本部長 ダグ・デイビス氏によるInternet of Things(IoT)の取り組みに関する説明会を実施した。
Internet of Thingsは、あらゆるものがインターネットにつながることを示す言葉で、“モノのインターネット”などの日本語訳で紹介されることも多い。インテルは、2013年10月に従来からあった組み込み機器向けの事業部と、新たに買収した「Wind River」を融合してIoTソリューションズ事業部を設立。Wind RiverはリアルタイムOS「VxWorks」で知られたメーカーで、VxWorksは組み込み機器に採用されてきた。
デイビス氏は、IoTソリューションズ事業説明の冒頭イメージビデオを上映。このイメージビデオには、2020年に500億台の端末がインターネットにつながるようになることや、クルマがインターネットにつながることで、天気の状況や駐車場の空き情報が分かるようになることが印象的に示されていた。
ビデオ上映後は、インテルのビジョン「インテルはコンピューティング技術の革新を通じて人々の絆を深め、より豊かな生活を実現します」を紹介。このビジョンはこの10年を表現したものになり、インテルはPCでの経験、サーバーでの経験、そして組み込み機器での経験を活かして、IoTに取り組んでいく。
あるアナリストの予測によると、2006年にインターネットにつながっていた端末は20億台。2015年には150億台で、2020年には500億台になるという。「2014年の終わりには150億台は達成されるだろう」との見方も示した。
このように多数の端末がインターネットに接続されていく時代に向け、インテルは端末のコンピューティング機能、ネットワークインフラ、多数の端末から生じるビッグデータを処理・分析する能力を提供する。デイビス氏によると、IoTの時代になると、端末から非常に多くのデータが発生し、そのデータを意味ある情報として分析し、新しいビジネスチャンスにつなげていくことが可能になるという。さらに、その新しいビジネスが多数のインターネット接続端末を生む、好循環に入るという。
インテルはそのような時代の要請に対し、端末向けにおいては「Quark」「Atom」「Core」「Xeon」などのコンピューティング機能を持つ半導体チップを供給。ここでは、インテルの半導体技術が重要となり、小さな半導体面積で、高いコンピューティング機能を提供できるとする。一方、ビッグデータ分析分野においては、「Xeon Phi」「Xeon」「Atom」などでクラウドサーバーコンピューティングを提供していく。
IoTソリューションズ事業部では、これらに加え、ネットワークインフラ・ネットワークゲートウェイを提供。API管理サービス「Mashery」、マネタイズサービス「Aepona」を買収し、事業に取り込むことで、セキュリティに優れたサービスと収益化の手段を提供していく。
デイビス氏は、セキュアな通信が大切といい、あるプログラムが端末にとって安全なのかどうかを検証する手段も提供し、安全で堅牢なIoT環境を構築していく。
IoTソリューションズ事業部の取り組みの例として自動車を挙げ、製品としてはIVI(In-Vehicle Infotainment)などに使われる半導体があるほか、業界の意見を集約する場としてオートモーティブ・イノベーション&プロダクト・デベロップメント・センターを設置。研究開発はインテルラボ・オートモーティブ・エクスペリエンス&インタラクション・リサーチで行い、インテルキャピタル(インテルの投資会社)ではイノベーションの推進に向けて、1億ドルのコネクテッドカー基金を設けた。また、インテルが同社製プロセッサのOS環境を充実させているのは従来どおりだ。
これらにより、インテルは自動車業界へIoT環境を提供していく。デイビス氏は「クルマの中で大量のデータが常に発生している。クルマからデータを集め、走行パターンを理解したり、燃費を理解したりすることで、より安全で効率的な走行になっていく」といい、ビッグデータ解析によるメリットが大きい分野とした。
そのほか、クルマには先進安全技術搭載の流れもあり、そこではセンサーからのデータを解析する能力、画像を解析する能力、それらから得られるデータを解析する能力も必要となる。それら、次世代の安全技術に対して、堅牢で安全性の高いソリューションを提供していく。
インテルが提供しようとするものは、高いコンピューティング能力と、これまで蓄積してきた高度なソフトウェア資産を融合したサービスのようだ。端末がネットワークにつながってより便利になるのはよいが、心配されるのは外部からの攻撃。スマートフォンがウイルスに浸食されても命を落とすことはないが、クルマの先進安全技術関連がウイルスに浸食されると、スロットル、ブレーキ、車線制御などがすべて危険な方向に働くことだってあり得る。そのようなことのないよう、McAfeeによる知見、MasheryによるAPI管理などを総合的に提供していく。
クルマメーカーが、自社でこれだけのソリューションをゼロから構築するのは難しく、インターネットの活用を進める際の有力な選択肢になるのだろう。もちろん、インテルが狙っているのはクルマ業界だけでなく、製造業全般や小売業全般など、インターネットに端末をつなげて何らかの情報分析を行おうとする業界すべてとなる。
日本自動車工業会によると、全世界の4輪車の保有台数は2011年で10億7108万台。搭載されるセンサー類を掛け合わせ、それらが移動することで常に変化するデータを出力すると考えると、膨大なデータが生み出されているのは間違いない。今はその多くが捨てられているが、そのデータを処理できる環境はすでに整い始めていると言える。