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アストンマーティンとマクラーレンが九州 福岡に初上陸、5月に正規販売店をプレオープン
運営を行う台湾のYun San Motors張会長「福岡は野心が渦巻き、チャンスに溢れた都市」
(2015/4/10 14:06)
- 2015年4月9日開催
台湾で高級車ディーラーを展開するYun San Motors(永三汽車)は4月9日、日本法人「永三モータース」を設立し、福岡県福岡市でアストンマーティンとマクラーレンの正規販売店を展開すると発表した。この正規販売代理店は5月に福岡県福岡市博多区下川端町でプレオープンした後、10月に同市東区原田へ本ショールームを移転する予定。九州地区でアストンマーティンとマクラーレンの正規販売店ができるのはこれが初となっており、同じ敷地で両ブランドのショールームが展開される。
同日、福岡国際会議場(福岡県福岡市博多区)で2部制の記者会見を行い、永三モータース 張定民会長が日本法人設立への意気込みを語るとともに、第1部ではアストンマーティン・ジャパン マネージング ディレクター 寺嶋正一氏が、第2部ではマクラーレン オートモーティブ アジア リージョナル オペレーション マネージャー ジャパン 名取雅裕氏がそれぞれブランドの特長などについて語った。
福岡は野心が渦巻き、チャンスに溢れた都市
第1部で登壇した張会長は、まず「私の祖父は英国のシステムで教育を受けなければならない。英国の次に紳士的な教育を受けられるのは日本であり、アジアにおける本物の紳士は日本人であると考えていた。祖父は日本の教育を受けた最初の台湾人留学生の1人で、慶應義塾大学を卒業した祖父は、私も慶応で教育を受けられるよう常々願っていた。そして何よりも曽祖父と同じように起業して、取引のノウハウを日本で学ぶことを願っていた」と、日本と張会長の密接な関係を紹介。
また、現在台湾ではベントレーとアストンマーティンの正規販売店を各2店舗、マクラーレンの正規販売店を1店舗展開しており、今後も規模を拡大していく予定であることを明かすとともに、「永三汽車はクルマの販売会社ではなくクルマのブランドを経営する会社であり、何よりもブランド体験にその価値を見出している。オーナーにとっては執事のような存在として、納車日からクルマを手放すときまでお客様のクルマのお世話をさせていただく。このような価値観を念頭に置いてお客様の期待を常に上回り、お客様のブランド体験が特別なものになるように努めている」と、永三汽車の経営ビジョンについて語っている。
そんな永三汽車だが、2年前に会社の販売ネットワークを拡大する機会が訪れ、拡大するにあたってもっともふさわしい場所として選んだのが日本だったという。その日本の中で福岡という立地を選んだ理由については、「日本における21の主要都市の中でも、福岡は企業数第1位を誇っている。福岡は野心が渦巻く都市であり、チャンスに溢れた都市。福岡は日本におけるほかの都市よりも活気溢れる未来が待っている。このような突出した統計データに加え、福岡は日本の高級車市場でも10%のシェアを持っている」と、福岡進出の背景について紹介した。
アストンマーティンはオーナーにいい意味での二面性を提供できる
アストンマーティンブランドなどについては、アストンマーティン・ジャパンの寺嶋氏が紹介した。アストンマーティンとしても福岡進出は10年前から検討していたといい、「今回、私たちもよく知る永三モータースとともに福岡市場への進出が実現する運びとなった。永三モータースは台湾の私どものディーラーパートナーとして大成功を収めている。そして世界的に見ても永三モータースはマーケティング活動がトップクラスのディーラーとして高い評価を受けているので、永三モータースとともにアストンマーティンの福岡市場におけるブランドの訴求、そして啓蒙活動を強く推し進めていきたい」と、福岡での成功を誓った。
一方、英アストンマーティンでは2014年10月に元日産自動車の副社長であるアンディ・パーマー氏が最高経営責任者(CEO)に就任している。そのアンディ・パーマーCEOは日本をアストンマーティンの第二の故郷にしたいと考えているそうで、「イギリス伝統のアストンマーティンが持っているヘリテージ、クラフトマンシップ、そして芸術作品のようなクルマを作る技術。ここに日本が持つきめ細かいものづくり、品質管理、おもてなしの心を融合させていこうということを目的としている」と説明。
そして現在のモデルラインアップについて、「2013年にアストンマーティンは100周年を迎え、102年目となる今年、アストンマーティン史上最強のプロダクトラインがそろった。ヴァンキッシュ、DB9、ラピードS、V12 ヴァンテージS、V8 ヴァンテージ。どれも改良を重ねて最高の状態に仕上がっている」と語るとともに、2015年はジュネーブショーで公開した800HPを超える自然吸気のV型12気筒ユニットを搭載するサーキット専用スーパーカー「Vulcan(ヴァルカン)」、「ヴァンテージ史上もっともパフォーマンスに特化したロードゴーイングカー」と位置づけられる「ヴァンテージ GT12スペシャルエディション(発表当初はヴァンテージ GT3スペシャルエディション)」の2台を紹介。加えて今後登場するモデルの開発も順調に進んでいることが報告されている。
また、寺嶋氏は今でもアストンマーティンとはどういうブランドなのか、どういうキャラクターなのか聞かれることがあり、「その際にはバランスと回答する。車両の重量配分が50:50になるように設計されているという、物理的な理由からバランスよく走れるということもあるが、アストンマーティンはタキシードで出かけるようなパーティに乗っていくときでも、サーキットで本格的な走りを体感するにも適したモデル。つまりオーナー様にいい意味での二面性を提供できることがアストンマーティンの特長だと思っている」と、同ブランドの魅力について述べるとともに、「福岡ショールームは九州のお客様にとってのアストンマーティンの世界への入り口。単にクルマを購入するだけの場所ではなく、アストンマーティンの世界観やアストンマーティンのドライビングをぜひ体験していただきたい」と語った。
若いブランドを福岡で知ってもらいたい
そして第2部では引き続き張会長が登壇するとともに、名取氏がマクラーレンブランドの紹介を行った。
張会長は、「マクラーレンアジアパシフィックからこの福岡のディーラーに任命されたこと、とても光栄に思っている。一度に2つのブランドを立ち上げることは普通ではない。マクラーレン福岡を立ち上げることができ、大変光栄に思っている」とコメント。
また、マクラーレンブランドについて紹介を行った名取氏は、日本では2012年3月にアジア太平洋地域初となるショールーム「マクラーレン大阪」を、そして同年6月に「マクラーレン東京」をオープンするなど、まだ若いブランドであると説明。
そして「(福岡への進出は)我々が業務をスタートしたときからリストアップされていた地域。大阪と東京という2大マーケットでオープンを終えたあと、具体的なプランを立てていた際に永三汽車からラブコールをいただき、相思相愛という形で昨年に張会長にお会いし、今日に至っている」と説明するとともに、「福岡には競合各社が軒並み進出している。当然、最重要マーケットの1つなので我々もこの福岡に進出し、この若いブランドを知っていただくことが必要。そして1台でも多くマクラーレンに乗っていただくことが我々の使命であると強く感じている」と、マクラーレンにとって福岡が重要なエリアの1つであることが説明された。
加えて4月のニューヨークモーターショーで世界初公開されたばかりの「570S クーペ」についても触れ、「570S クーペは我々のすべてを左右するといっても過言ではない、最重要プロダクト。エントリーモデルなのでより幅広い顧客層に永三モータースとともにアプローチしていきたい」と抱負を語っている。