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MotoGP 日本グランプリのPRで“バイク芸人”と青木宣篤氏が来社

「ビニャーレスが表彰台に立つシーンを見たい」とチュートリアル 福田さん

2015年10月9日~11日レース開催

入場料:自由券 大人9300円。中学生以下無料

 ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡)で10月9日~11日に開催されるオートバイの世界最高峰レースシリーズ「2015 FIM MotoGP 世界選手権シリーズ第15戦 MOTUL 日本グランプリ」。2014年まではレプソル・ホンダ・チームのマルク・マルケス選手が圧倒的な成績でシリーズを席巻していたが、今年は過去に9回のワールドチャンピオンを獲得しているベテランのバレンティーノ・ロッシ選手(モビスター・ヤマハ MotoGP)とチームメイトであるホルヘ・ロレンソ選手(モビスター・ヤマハ MotoGP)が僅差でトップ争いを繰り広げ、ディフェンディングチャンピオンのマルケス選手が3位を追走。さらに残り6戦の第12戦時点で7位のダニ・ペドロサ選手(レプソル・ホンダ・チーム)までが100ポイントを獲得する混戦状態となっており、終盤戦に向けて1戦1戦が見逃せない展開となっている。

 そんな白熱するMotoGPの魅力を紹介するため、2014年も来社した“バイク芸人”のチュートリアル 福田充徳さんに加え、お笑い芸人によるツーリングクラブ「RGTC」のリーダーであるレイザーラモン RGさん、さらに2005年からスズキのMotoGPマシンの開発に携わっている青木宣篤氏、ツインリンクもてぎエンジェルの信藤真有子さんの4人がCar Watch編集部に足を運んでくれた。

 まず手始めに、今回のレースの見どころについて、RGさんが「見どころは『航空自衛隊による歓迎フライト』です」と身を乗り出しながら語って笑いを誘い、すかさず福田さんから「違う違う」とツッコミを受ける。

MotoGP 日本グランプリ、10月11日のオープニングセレモニーで航空自衛隊「T-4」が歓迎フライト展示

http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20150804_714858.html

序盤でボケとツッコミで場を和ませつつも、MotoGPの魅力を語り出すとまじめな表情に一変する福田さん(左)とRGさん(右)

 あらためて福田さんから2015年のMotoGPの展開が語られ、福田さんは「みんなマルケス選手がぶっちぎるのではないかと予想していたところでしたが、実際にはベテランのロッシ選手が調子よく、ロレンソ選手とヤマハ勢に勢いがあるので、昨シーズンと違ってすごくおもしろい展開になっていますね」と解説。また、RGさんも「ここまでにロッシ選手とマルケス選手がすごいバトルを繰り広げているので、日本でもこれが見れたらたまらんですよねぇ」と語る。

 また、ホンダ(本田技研工業)、ヤマハ(ヤマハ発動機)の2メーカーの話題から、今シーズンからMotoGPに復帰したスズキについて話しがおよび、「予選ではポールも取りましたし、やっぱり決勝で表彰台に立つ姿も見てみたいなと思います」と福田さんがコメントしたあと、スズキのMotoGPマシン開発に関わっている青木氏は日本グランプリに向けた勝算について質問され、「あると言いたいところですが、もちろん勝ちは目指しますが、やっぱり参戦を休んでいた3年間というのは、おそらくみなさんが思っているよりも大きな差です。休んでいるあいだに継続参戦していた3社は、毎戦毎戦マシンをアップデートして戦っていました。この積み重ねは非常に大きなものなんです」とコメント。

「レースマシンはものすごい速さで走っていてクレイジーに見えるかもしれませんが、実際にはライダーはすごく繊細な操作をしているんです。現在ではコーナーで64°ぐらいまでマシンが寝ていて、いつ転倒してもおかしくないような状況なので、そこでアクセルを開けるのはほんのちょっと、最初に使うパワーは原付スクーターぐらいでも十分なんです。でも、そこからちょっと大きく開けるとパワーが跳ね上がってタイヤが滑ったりします。狙って滑らせることもありますが、意図しないところで滑るとライダーはものすごく恐い思いをするので、ライダーが思いどおりに走れるようマシンを作るということをコンセプトにしています」と語る青木氏

 青木氏は「そこに追いつけ追い越せということなんですが、やっと『よくなってきたかな』と思うと相手がもっとよくなっていたり。まずは追いつくところからはじめて、ベースになるマシンをホンダやヤマハと同じレベルにしてあげようというのが僕ら開発陣の姿勢です」と語る。また、最近のレースマシンの進化について「見た目からは分かりにくい部分ですが、トラクションコントロールによる電子制御がとても重要になっています。あと、それにプラスして、最近では1レースを20Lの燃料(レギュレーションによる制限)でいかに走りきるかという部分も緻密なプログラムが必要で、燃費などいろいろな要素をクリアしながらも、かつ速く走らないといけない。矛盾するのですが、でもラップタイムは速くなっていて、もちろん人間(ライダー)もすごいんですが、見えないところにあるソフトウエアの進化も3年間で積み上げられている状態です」と解説してくれた。

 ここで「3年間」というキーワードに目を付けたRGさん。「やっぱりドコモさんもTV-CMで『3年で人生は変わる』って言ってたし、3年はおっきいですね~。でも、もう3年のブランクも予選で1-2取ったり埋まってきて、もうちょっとですよ」と笑いを取りつつ青木氏を激励。これに対して青木氏は「予選とか一発の速さは追いついてきているんですが、やはりレースとなると、もてぎでは25周でトータル120km弱のレースで、このあいだをどれだけラップタイムを落とさずに走れるかが、最近のプログラムの作りどころになっています」と冷静に返答している。

 また、燃費については「ガソリンを使う量を減らせば燃費を稼げますが、それだけだとスピードが出なくなってしまいます。ライダーたちからも『パワーないよ』と文句を言われてしまいます。でも、それを感じさせずに、うまく燃料を“間引く”ことで燃費を高めています。とくにオートバイはスムーズで乗りやすい特性が求められて、どこかに不具合があるとすぐにギクシャクしてしまうんです。最近はデジタルな制御になっていますが、“0101”とやっているんじゃなく、どこかにアナログ的な部分を残さないとうまく走れないんです。デジタルなんだけどアナログのようなところをライダーに感じさせて速く走らせるというのが難しいところですね」と、開発テストライダーならではの苦労を青木氏は教えてくれた。

 長年にわたってMotoGPなどのレースを見てきた福田さんは、これまでに“クレイジーな面”で印象に残っている選手について「やっぱりマルケス選手じゃないですか!? いろいろな意味でロッシ選手もクレイジーな面がありますけど、(マルケス選手は)乗り方からなにから、抜かれたらすぐに抜き返そうとする感じとか、先輩にもガンガン行く部分は頭のネジがぶっ飛んでるからできるんやろうなと思いますね」「笑顔でいつもニコニコしていて、腹黒いんやろなと思いますね(笑)。じゃないとあんな抜き方できひんもん。めちゃくちゃな抜き方するときがあるじゃないですか!」とコメント。

 また、RGさんは「僕は昔のF1グランプリの選手と(MotoGPの選手を)重ね合わせてしまうところがあるんですが、マルケス選手はセナみたいに端正な顔で優勝してしまう。老獪に勝つロッシ選手はプロスト、ロレンソ選手は渋く勝ちを重ねるベルガーとか。それぐらいライダーたちがみんなキャラが立ってて、昔なら速い選手が1人だけぼーんといて、ほかはちょっと分からないぐらいだったけど、今は個性があって覚えやすくなっているので、応援もしやすいという気がしますね」と、少し見方を変えた意見を述べている。

4強のコーナー加速に注目してほしいと語る青木氏(右)
MotoGP選手の“クレイジーな面”を語り合って盛り上がる福田さん(左)とRGさん(右)

 選手について青木氏は「今は『マルケス』『ロッシ』『ペドロサ』『ロレンソ』の4人が4強と呼ばれていて、彼らは乗っているマシン自体もいいんですけど、同レベルのマシンに乗っている選手より、技術というか、今は勇気もすごく必要な時代なんです。10年ぐらい昔までは、コーナーの立ち上がりでマシンがゆらゆらと滑り始めると『すごいね~』と歓声を受けていたのが、最近ではフルバンクしている状態から滑り始めるのが普通になってきているんです。そこからタイヤを滑らせられるのは、今のところこの4人なんです」「トラクションコントロールはもちろんあるんですが、でもそれをいかに信じて開けていけるか。やっぱりマシンも機械ですし、僕らも人間なんで『滑るだろうな』と思うとアクセルが開けられないんですよ。そんなところを注目してレースを見ると、より楽しめるかもしれませんね」と語り、レースの注目ポイントについても紹介してくれた。

 この4強選手に続く選手として、福田さんは「ドゥカティなら(アンドレア)イアンノーネ、ヤマハやったらポル(エスパルガロ)か(ブラッドリー)スミスに、(鈴鹿)8耐でも活躍してたので来てほしい。スズキも(マーベリック・ビニャーレス選手とアレイシ・エスパルガロ選手)2人とも好きなんですよね~。彼らが上位に絡んできてくれるとおもしろくなる。4強が5強になるとさらにおもしろいですね」と注目の選手を挙げ、次に5強になりそうな選手を「僕は(マーベリック)ビニャーレスが好きなんですよ。なので、ちょっとなんとか開発を頑張っていただいて、表彰台に立ってもらえるとレースがおもしろくなるなと思います」とコメントした。

 MotoGPの魅力を熱く楽しく紹介してくれた福田さんとRGさんは、「RGTC」のメンバーも交えてMotoGPの決勝前日となる10月10日に、昨年に引き続いて国道123号で行われる「グランプリロードR123パレード」に参加。今年はレジェンドライダーのケニー・ロバーツ氏とフレディ・スペンサー氏の2人が、スペシャルゲストとしてパレードの先導車両を運転する。先着1000台の一般参加は9月27日までツインリンクもてぎのWebサイト内(http://www.twinring.jp/motogp/event/parade.html)で参加を受け付けており、参加料金の2000円(参加記念品、道の駅もてぎやツインリンクもてぎで使える500円分の利用券付き)を支払うことで、レジェンドライダーや「RGTC」のメンバーといっしょにパレードランに参加できる。

 ツインリンクもてぎのWebサイトで「乱戦の極み」と表現されている2015年のMotoGP。上位を走るヤマハ、3連覇に向けて巻き返しを図るホンダ、ブランクからの再参戦での初優勝を狙うスズキの国内3メーカーの活躍に加え、4強と呼ばれる4選手のフルバンク状態からの加速シーンなども見どころとのこと。前売り入場券もまだ一部は購入可能となっているので、チケットやレースの詳細などについては、ツインリンクもてぎのWebサイト(http://www.twinring.jp/motogp/)を確認していただきたい。

(編集部:佐久間 秀)