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ブリヂストン、「SUPER GTで今年は必ずチャンピオンになる」
2016年のモータースポーツ活動計画発表会を開催
(2016/3/18 00:00)
- 2016年3月17日 発表
ブリヂストンは3月17日、都内で記者会見を開催し、同社の2016年モータースポーツ活動計画を発表した。それによれば、国内の4輪ではSUPER GTとTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race、さらに海外ではニュルブルクリンク24時間レースやインディカー・シリーズなどのレースにタイヤを供給する。さらに2輪でも、8月に鈴鹿サーキットで行なわれる鈴鹿8時間耐久レースや全日本ロードレース選手権などに供給する予定となっている。
発表会には同社のモータースポーツ関連の幹部や、ブリヂストンタイヤを履いてSUPER GTに参戦する山本尚貴選手、SUPER GTおよびニュルブルクリンク24時間レースに参戦する大嶋和也選手、全日本ロードレース選手権に参戦する中須賀克行選手が登壇し、今シーズンのSUPER GTでのチャンピオン奪回などを誓った。
モータースポーツ活動は“最高の品質で社会に貢献”の企業理念を実現する一環
記者会見の冒頭、ブリヂストン 執行役員 消費財グローバルマーケティング戦略・モータースポーツ担当 東正浩氏が登壇し、ブリヂストンのモータースポーツ活動の取り組みとそのハイライトに関して説明した。
東氏は「弊社の企業理念は“最高の品質で社会に貢献”であり、それをすべての企業活動の根幹に据えている。とくにスポーツイベントは力を入れているコミュニケーション活動の1つで、スポーツによる挑戦や喜びがよりよい人作りや社会作りに貢献すると考えている。モータースポーツもその延長線上にあり、弊社にとっては当事者の一員であり得るという重要なプラットフォーム。レースに身を置くことで、その喜び、場合によっては落胆を日常業務に生かすことができ、それがよりよいタイヤ作りにつながり、よいクルマやバイク作りに貢献することで企業理念につなげていけると考えている」と述べ、モータースポーツはブリヂストンの企業理念を実現する場としてとらえていることを説明した。
その上で、ブリヂストンのモータースポーツ活動には「技術、お客様、ブランド、従業員、社会という5つの大きな目的がある」と述べ、例えば技術であれば、レースで培った技術を製品にフィードバックし、それがエンジニアのモチベーションになり、ひいては同社のスポーツブランドであるPOTENZAやBATTLAXなどへの共感につながる形になってほしいと東氏は説明した。
その後、2016年の活動ハイライトに関しての説明が行なわれ、東氏が“コンペティション”と表現する他社との競争を含むカテゴリーでは、4輪ではSUPER GT、2輪では鈴鹿8時間耐久ロードレースとMFJ全日本ロードレース選手権に参戦する。4輪ではPOTENZAブランドが、2輪ではBATTLAXブランドが使用される。
また、参加型モータースポーツという観点では、86/BRZレースへのタイヤ供給が継続されるほか、ジムカーナや女性レーサー育成プログラムなどにも協力していく。また、ニュルブルクリンク24時間レースに関しても、トヨタ自動車のプロジェクトであるGAZOO Racingとの協力で引き続き参戦が行なわれる。さらに、ヨーロッパのユーザーへの訴求策として、新しいコミュニケーション施策も計画していると東氏は説明した。
最後にブリヂストンの子会社となるFirestoneブランドでタイヤをワンメイク供給しているインディカー・シリーズが紹介され、今年はそのメインレースであるインディ500が100回目の記念大会であることなどが紹介された。東氏は「ここ数年Firestoneをグローバルなブランドにしようとしているが、インディ500の100回記念をそのブランドの訴求につなげていきたい」と、インディカーでFirestoneブランドのグローバル化推進につなげていきたいとした。その後、今年もインディカー・シリーズにAJフォイトレーシングから参戦する佐藤琢磨選手(すでに先週末に開幕戦が終了し、6位完走とまずまずの出足を見せている)がビデオレターで登場し、「今年こそもう一度表彰台の一番高いところに登りたい」と意気込みを語った。
86/BRZレースのプロクラスにはRE-05Dの“革新的進化版”を投入
次いで登壇したのは、ブリヂストン 執行役員 タイヤ製品開発・モータースポーツ技術担当 市川良彦氏。市川氏は2016年のブリヂストンのモータースポーツの技術的な側面について説明した。
市川氏によれば、2016年もこれまでと変わらずレースタイヤの開発を通じて技術を磨き、それを市販タイヤにフィードバックしてより優れた製品を作るという体制を取っていくという。同時に「レースタイヤそのものも改善し、ユーザーチームやレースを見ているファンにわくわく感を提供できるようにしていきたい」と市川氏は語った。
また、それぞれのレースについても具体的な説明が行なわれ、SUPER GTに関しては「昨年はチャンピオンを奪還することができなく非常に申し訳なく思っている。今年に向けてはブリヂストンが持つ解析技術をフル活用し、今年のタイヤに必要な要素がなんであるかすでに分かっている。それに沿った新しい構造、材料などを投入し、今年は必ず勝って必ずチャンピオンになる」(市川氏)と力強くチャンピオン奪回宣言がされた。
近年、各タイヤメーカーが力を入れている86/BRZレースに関しては、「クラブマンクラスに関してはPOTENZA RE-71Rを投入して、毎レース勝つなど大活躍を見せた。今年もそれを継続投入する。プロフェッショナルクラスに関しては、昨年後半にRE-05Dを投入して挽回できたが、今年はRE-05Dの新パターン・ブロックや新トレッドゴムを採用した革新的進化版を投入することで圧勝していきたい」(市川氏)とし、プロフェッショナルクラスに向けたRE-05Dをさらに進化させることを予告した。また、2輪に関しては、従来は海外にあった開発部隊を日本に移し、鈴鹿8時間耐久レース、全日本ロードレースで開発を続けていくとした。
最後に市川氏は「ブリヂストンは勝つことにこだわっていく。それで皆様のご期待に応えていきたい」と力強く宣言し、説明を終えた。その後、各カテゴリーでの参戦体制が紹介された。具体的には以下のようになっている。
SUPER GT GT500クラス(使用タイヤ:POTENZA RACING TIRE)
チーム | ドライバー | マシン |
---|---|---|
LEXUS TEAM LEMANS WAKO'S | 大嶋和也 | WAKO'S 4CR RC F |
Andrea Caldarelli | ||
LEXUS TEAM TOM'S | 伊藤大輔 | 未定 |
Nick Cassidy | ||
James Rossiter | KeePer TOM'S RC F | |
平川亮 | ||
LEXUS TEAM ZENT CERUMO | 立川祐路 | ZENT CERUMO RC F |
石浦宏明 | ||
LEXUS TEAM SARD | 平手晃平 | DENSO KOBELCO SARD RC F |
Heikki Kovalainen | ||
TEAM IMPUL | 安田裕信 | CALSONIC IMPUL GT-R |
Joao Paulo de Oliveira | ||
AUTOBACS RACING | 松浦孝亮 | ARTA NSX CONCEPT-GT |
TEAM AGURI | 野尻智紀 | |
Drago Modulo Honda Racing | 武藤英紀 | Drago Modulo |
Oliver Turvey | NSX CONCEPT-GT | |
KEIHIN REAL RACING | 塚越広大 | KEIHIN NSX CONCEPT-GT |
小暮卓史 | ||
TEAM KUNIMITSU | 山本尚貴 | RAYBRIG NSX CONCEPT-GT |
伊沢拓也 |
SUPER GT GT300クラス(使用タイヤ:POTENZA RACING TIRE)
チーム | ドライバー | マシン |
---|---|---|
apr | 嵯峨宏紀 | TOYOTA PRIUS apr GT |
中山雄一 | ||
AUTOBACS RACING TEAM AGURI | 高木真一 | ARTA BMW M6 GT3 |
小林崇志 |
TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race(プロフェッショナルクラス。使用タイヤ:POTENZA RE-05D)
シリーズ | チーム | ドライバー |
---|---|---|
プロフェッショナルシリーズ | テクノファーストレーシングチーム | 佐々木雅弘 |
オートバックスG7 86 ポテンザ | 大西隆生 | |
Team KIMInternational | 蒲生尚弥 | |
クスコレーシング | 山田英二 | |
CG ROBOT RACING TEAM | 井口卓人 | |
久保凜太郎 |
TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race(クラブマンクラス。使用タイヤ:POTENZA RE-71R)
シリーズ | チーム | ドライバー |
---|---|---|
クラブマンシリーズ | CG ROBOT RACING TEAM | 遠藤浩二 |
TOKYO NEXT SPEED | 橋本洋平 | |
テクノファーストレーシングチーム | 松原怜史 | |
ネッツ東京レーシング | 塚本奈々美 | |
クスコレーシング | 菱井将文 |
ニュルブルクリンク24時間耐久レース(使用タイヤ:POTENZA RACING TIRE)
クラス | チーム | ドライバー | マシン |
---|---|---|---|
SP-PRO | TOYOTA GAZOO Racing with TOM'S | 土屋武士/片岡龍也 | LEXUS RC F |
大嶋和也/井口卓人 | |||
SP3T | TOYOTA GAZOO Racing | 木下隆之/松井孝允 | LEXUS RC |
蒲生尚弥 | |||
SP2T | 影山正彦/佐藤久実 | TOYOTA C-HR Racing | |
吉田広樹 |
ドライバー・ライダーが安心して使えるブリヂストンタイヤ
2016年の活動計画発表後には、各カテゴリーに参戦するドライバー、ライダーと、DJのピストン西沢氏が登壇してトークショーが行なわれた。
トークショーに参加したのはSUPER GTに参戦する山本尚貴選手、SUPER GTおよびニュルブルクリンク24時間に参戦する大嶋和也選手、さらに全日本ロードレースに参戦するライダーの中須賀克行選手の3選手で、ピストン西沢氏からの質問に答える形で展開された。
──レースはやはり過酷なもの?
山本尚貴選手:タイヤのグリップがものすごく、SUPER GTはすでに箱車のレースではなくフォーミュラのようなレースになっている。
大嶋和也選手:ニュルブルクリンク24時間は1周25kmのコースを24時間戦うので、雨が降ったりして路面が荒れると、タイヤがよくないとつらいレースになる。まっすぐのところでも路面がうねったりしているので、お休みタイムはない。夜は本当に恐い。
中須賀克行選手:2輪の場合はストレートは身を預ける感じでストレートは結構休める。鈴鹿8耐などでは暑さ対策が大変だが。
──タイヤが信用できないと大変なもの?
山本選手:SUPER GTだとスタートドライバーを務めることが多いが、後半の選手に路面などの的確なインフォメーションを伝えることが大事。路面と直接接地しているのはタイヤだけなので、タイヤの情報が重要になる。GT500クラスはメーカー間の戦いもそうだが、タイヤのファクターがかなり勝負を左右している。タイヤメーカーにとっては過酷な戦場となっている。
大嶋選手:例えばタイヤに何かあった場合、国内のサーキットではなんとか避けられるが、ニュルブルクリンクでは即クラッシュになってしまう。実際他社ではそうした例を見ているが、僕たちは一度もそうなったことがない。
中須賀選手:2輪車は元々自律走行できない乗り物なので、タイヤが信用できないと即クラッシュとなる。鈴鹿8耐では、路面温度が上がる時間もあれば下がる時間もある。1つのタイヤでそうした広いレンジをサポートできることがライダーにとっては重要だ。
──ブリヂストンのタイヤは安心できると?
中須賀選手:ブリヂストンのタイヤは長いレースでもコンスタントに性能を発揮してくれる。
大嶋選手:幅が広くて、どんなコンディションでも安心して走れている。ニュルブルクリンクでは1スティント8周するのだが、3種類持っていったタイヤのうち1つのタイヤで済ませることができ、路面温度が低くても高くてもグリップしてくれる。
山本選手:ブリヂストンの強みは粘らせてグリップを出していること。また、それだけでなくスタッフとの信頼関係を築けていることも重要。チームを移籍すると、タイヤメーカーが変わる場合もあるし、変わらないけど担当スタッフが変わる場合もある。そうした時に、新しいスタッフとすぐに信頼関係を築けるかどうかが大事。その点でブリヂストンのサービスは非常にレベルが高い。GT500はブリヂストンを履いているユーザーチームが多いため、1台に付きっ切りというわけにはいかないのに、ちゃんと僕たちの要望を聞いてくれる。前に出した要望が次のテストで反映されていたりすると、非常に嬉しくなる。
──最後に今年の意気込みを。
山本選手:GT500クラスは過去4年間、他メーカーにチャンピオンを獲られているので、今年こそはブリヂストンとともにチャンピオンを獲っていきたい。
大嶋選手:ニュルブルクリンク24時間はGAZOO Racingとして10年目で、ブリヂストンとともに頑張りたい。GT500の方は新たに脇坂(寿一)監督を迎え、相棒もカルダレッリ選手になるなど、いい流れできている。今年こそ結果を出したい。
中須賀選手:今年もヤマハファクトリーチームから参戦する。4年連続チャンピオンを記録し、今年5年目を目指す。タイヤをブリヂストンに変えてから4連覇を果たしているので、必ず5連覇も実現できると思っている。