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Team JLOCとマネーパートナーズ、新型車両「ウラカン GT3」を投入するSUPER GT体制発表会

「今年は今までで一番シリーズチャンピオンを取れる可能性が高い年」とマネパ奥山社長

2016年3月29日 開催

SUPER GTのGT300クラスに参戦する88号車 マネパランボルギーニGT3

 シーズン開幕を来週末(4月9日~10日)に控えているSUPER GTのGT300クラスに参戦しているTeam JLOCは、そのスポンサーとなるネット証券のマネーパートナーズと共同で2016年体制発表会を東京都内のレストランで開催した。

 JLOCはJapan Lamborghini Owner's Clubとしてランボルギーニ車のオーナーズクラブをベースにしたチームで、1994年に当時の全日本GT選手権(現在のSUPER GTの前身に当たる)にランボルギーニ車両で参戦してから実に22年にわたりランボルギーニ車両を利用して参戦しており、数あるGT300チームの中でも伝統あるチームの1つだ。

 JLOCはSUPER GTに2台体制で参戦しているが、マネーパートナーズがサポートしている88号車は、2015年シーズンと同じ織戸学選手、平峰一貴選手、そしてレースによっては第3ドライバーとして青木孝行選手が加わるラインアップで参戦することになる。

 昨シーズンまでは「ガヤルド GT3」で戦っていた同チームは、2015年にランボルギーニが設立したモータースポーツ専門部門となるスクアドラ・コルサとレーシングコンストラクターとして知られるダラーラが協同で開発した新型車両「ウラカン GT3」で参戦することになる。

 発表会には、マネーパートナーズ、ランボルギーニ・ジャパンなどの関係者が駆けつけ、2016年シーズンに向けて「表彰台だけでなく、シリーズチャンピオンも」(マネーパートナーズ 代表取締役社長 奥山泰全氏)などと意気込みが示された。GT300クラスでは近年FIA GT3の新型車両がチャンピオンを獲得する例が多いだけあって、関係者の期待度も高いようだ。

「今年はシリーズチャンピオンを狙える年になる」とJLOCの則竹代表

 既にマネーパートナーズがサポートする88号車の体制発表自体は3月24日に行なわれているため、今回の発表会はどちらかと言えば、"お披露目"という感が強い内容となった。

JLOC チーム監督 谷口甲子郎氏
株式会社マネーパートナーズ 代表取締役社長 奥山泰全氏

 JLOCのチーム監督である谷口甲子郎氏の司会で行なわれた会見では、まず88号車のメインスポンサーとなるマネーパートナーズ 代表取締役社長 奥山泰全氏の挨拶から始まった。奥山氏は「これまでガヤルドの時代も含めてJLOCをサポートしてきたが、引き続きウラカン GT3という新型車両でもサポートを継続できることを光栄に思っている。継続することを決めたのは、JLOCの想いが弊社の想いと重なる部分が多いからだ。なんとか今シーズンには、表彰台を1つ、2つと言わず、いくつも勝ってシリーズチャンピオンを狙って頂きたい。それぐらいチャンスがあるし、今年は今までで一番シリーズチャンピオンを取れる可能性が高い年だと考えている。それに向けてチーム一丸となって頑張ってもらいたい」と述べ、ウラカン GT3という新型車両に切り替わることが、JLOCにとって大きなチャンスの年になると述べ、期待感を表明した。

織戸学選手
平峰一貴選手

 続いて挨拶に立ったのは、2人のレギュラードライバー。織戸学選手は、1997年、そして2009年にGT300クラスのシリーズチャンピオンを獲得しているほか、GT500クラスでも勝った経験があるなどの実績・人気ともに十分なベテランのドライバーだ。織戸選手は「JLOCに加入してから今年で6年目となる。既にテストでマシンもつかみ、チームの方向性なども定まってきた。チームメイトの平峰選手は若いながらも速さもあるドライバー。そうした平峰選手と一緒に、僕のずるがしこさを合わせながら一緒に頑張っていきたい」と述べた。

 その織戸選手のチームメイトとなる平峰一貴選手は「新車が入ってシーズン開幕が本当に楽しみ。開幕してみないと僕らがどこの位置にいるかは分からないが、シーズン開幕に向けて燃えている。一度とは言わず、勝ちにこだわっていきたい。シリーズチャンピオンを目指して例年通り目一杯頑張りたい」と述べ、やはり新型車両になったことで、かなり手応えを感じていると述べた。

JLOC チーム代表 則竹功雄氏

 最後にJLOC チーム代表である則竹功雄氏が挨拶し、「JLOCは1994年からGTに参戦しているが管内、当時からランボルギーニ・ジャパンが協力してくれて参戦してきた。それが昨年からランボルギーニの社内にレース担当のチームができ、体制がさらによくなった。このウラカン GT3は、ランボルギーニが車両を造り、デザイン、空力、サスペンションなどは世界最高のレーシングカーコンストラクターたるダラーラが担当している。実は2年前にウラカンのスケールモデルを初めて見せてもらったのだが、その時点から既にダラーラの開発は始まっており、現在も続けている。そうした新車を投入するので、長年のパートナーであるヨコハマタイヤさんと共にチャンピオン争いをしたい。これまでそんなことは言えなかったのだが、22年目にしてようやくそういう体制が整ったと考えている」と述べ、ウラカン GT3の完成度に自信を持っており、今シーズンはGT300クラスのチャンピオン争いができる充実した体制だという認識を明らかにした。

 また、会見の最後には、JLOCのレースクィーンを務める2人、會田ミナさんと美央さんが紹介された。JLOCのレースクィーンは全部で6名になるということだったが、今回は代表して2人が紹介された。

JLOCのレースクィーンとなる會田ミナさん
JLOCのレースクィーンとなる美央さん
ランボルギーニ・ジャパン カントリー・マネージャー エジナルド・ベルトリ氏(左)、平峰選手(中央左)、織戸選手(中央右)、ランボルギーニ・ジャパン 販売統括部長 竹村明夫氏(右)
関係者全員での記念撮影
ドライバー2人とレースクィーンで記念撮影
ドライバー2人
コックピットに収まって記念撮影に応じる平峰選手

ランボルギーニとダラーラが共同で開発したウラカン GT3

ウラカン GT3

 今シーズンJLOCが採用するウラカン GT3は、則竹氏の言葉にもある通り、ベース車両はランボルギーニのレース部門であるスクアドラ・コルセと、イタリアのレーシングコンストラクターであるダラーラ(スーパーフォーミュラのSF14、インディカーのDW12、GP2、さらには今年からF1に参戦しているハースのシャシーも開発しているレーシングコンストラクター)が協同で開発しているマシンで、高い戦闘力を持っていると期待されている。

 ウラカン GT3は、ランボルギーニのV型10気筒 5.2リッターエンジンをミッドシップに搭載しており、6速のギヤボックスをパドルシフトで操作する形となる。全長4.47m、全幅2.05m、ホイールベースは2.66mで重量は1.23tとなる。このスペックだけを見ればかなり強力なレーシングカーと言え、実際ドライバーによれば昨年までのガヤルドが市販車を改造したレーシングカーというフィーリングだったのに対して、ウラカン GT3は最初からレーシングカー、どちらかと言えばフォーミュラに近い感覚でドライブできるのだという。

 ただ、今シーズンのマシンがどの程度の戦闘力を持っているかは、最終的にSROにより行なわれるFIA GT3の性能調整と、その後GTAにより決められるJAF-GT300との性能調整次第になる。従って、それの調整により走り出す、開幕戦の練習走行、さらに言えば予選の結果を見るまでは戦力図はまだ分からないが、JLOCが今シーズンシリーズチャンピオンを狙えるだけの戦闘力がある可能性は十分にあると思う。それだけに、どのような活躍をしてくれるのか、ランボルギーニファンやオーナーならずとも楽しみだ。

会場の外におおいがかけられた状態の88号車
チームの関係者によりアンベールされていく88号車
コックピットまわり
ドライバーシート
パッセンジャーシートはなく、計器類やバラストなどが載せられる
ウラカン GT3のロゴがパッセンジャーシートに貼られていた
フロントまわり
フロントタイヤまわり、タイヤはヨコハマタイヤ
サイドドア。谷口監督によると、JLOCの今のチームからはホワイトになっており、それをベースにマネーパートナーズカラーに塗り、さらにゴールドでJを表現しているとのこと
リアタイヤ
屋根には緊急時にドライバーを助けるための開閉式のホールが用意されている
エンジンは110度V10 5.2リッターエンジン
ヨコハマタイヤのステッカー
カーナンバーは88
メインスポンサーのマネーパートナーズのロゴはフロント、サイド、リアウイングなどに掲示されている
フロントカウルに輝くランボルギーニのロゴ
ミラーはカーボン地のまま
右後方には給油口

(笠原一輝)