試乗レポート
ランボルギーニ史上最強のSUV「ウルス ペルフォルマンテ」、パンチの効いた加速など刺激的なドライブフィールが魅力!
2023年5月7日 09:00
ダウンフォースが最大8%向上
2022年秋に6回目の開催を迎えた「ランボルギーニ・デイ・ジャパン2022」の会場で発表されたランボルギーニが誇る“スーパーSUV”「ウルス」の高性能版となる「ペルフォルマンテ」をいよいよドライブすることができた。
マイナーチェンジ前のウルスに対して、最高出力が16PS増となる666PSに高められた4.0リッターV8ツインターボエンジンを搭載するのは、「ウルスS」と共通ながら、最大トルクを50rpm低い回転数から発生するほか、シャシーのトレッドを16mm拡大して20mmローダウンしたり、車体全体でダウンフォース量を最大で8%も向上した点が大きな違いとなる。また、ドライブモードにはSTRADA(ストラーダ)、SPORT(スポルト)、CORSA(コルサ)に加えて新たにRALLY(ラリー)が設定されたのも特徴だ。
ウルスSに対していくつか差別化されたレーシーな雰囲気のスタイリングにより、ただでさえ異彩を放つウルスがより特別に見える。フロントまわりでは、バンパー下部の形状が異なるほか、エアインテークやエアアウトレットの形状なども専用となる。リアはダウンフォースを38%も増加させるウイングやディフューザーの形状が異なる。試乗した車両には、オプションで選択できるカーボンルーフをはじめ、各部にカーボンファイバー製のパーツがふんだんに装着されていた。
インテリアも、ペルフォルマンテにはアルカンターラが多用されており、カーボンパネルの意匠もより分かりやすいものになっている。5人乗りの場合はリアシートが3分割タイプのベンチシートになり、センターだけ単独で倒せる。運転席からの後方視界も5人乗りのほうが死角が少ない。
より刺激的なドライブフィール
同時に乗り比べた2台の車検証によると、ウルスSは車両重量2510kg、前軸重1370kg、後軸重1140kgで、ウルス ペルフォルマンテは車両重量2420kg、前軸重1330kg、後軸重1090kgと記載されていた。フロントが40kg、リアが50kg、計90kgも軽いことも効いてか、ペルフォルマンテの走りにはけっして軽くはない中にも軽快さが感じられた。
動力性能については、0-100km/h加速が3.3秒、0-200km/h加速が11.5秒、最高速が306km/hと伝えられている。ご参考まで、ウルスSはそれぞれ3.5秒、12.5秒、305km/hとなっている。100km/hからの制動距離も、この車両重量でウルスSも33.7mというのも相当なものだが、ペルフォルマンテは32.9mとさらに短い。
どちらもとてつもなく速いことには違いないが、ペルフォルマンテはより強烈なパンチの効いた加速を味わわせてくれる。ウルスSではあくまで公道走行を念頭においてか扱いやすさにも配慮されているように感じられたのに対し、ペルフォルマンテはSTRADAモードでもSPORTモードかと思うほどアクセルレスポンスが鋭く、パワー感もある。より分かりやすくペルフォルマンテらしさが表現されているようだ。
ハンドリングも同様に、敏捷性を高めるためフロントステアリングのキャリブレーションと後輪操舵の制御が差別化されている。また、乗り比べた2台は同じ銘柄とサイズの23インチタイヤを履いていたが、エアサスではなくスチールスプリングである点も乗り比べたウルスSとの大きな違いとなる。
ドライブすると同じタイヤとは思えないほど足まわりの印象も違って、ペルフォルマンテは路面状況をダイレクトに伝えてくる。車速が高くなるほどその感覚も増していくのは、エアロダイナミクスも効いてのことに違いない。ウルスSの足まわりにはストローク感があったのに対し、ペルフォルマンテはむしろそれを制限して払拭して、足まわりをしめあげて挙動を抑えているようだ。
新設のRALLYモードは?
SPORTモードにすると、ただでさえ相当なところさらに瞬発力が増して、シフトの制御も高回転まで引っぱるようになり、足まわりもしまって回頭性もよりシャープになる。バックファイアの音も心なしかウルスSよりも派手な気がする。CORSAモードを試すと、さらに過激になる。公道でドライブしてもこれほどの走りっぷりなのだから、サーキットでもさぞかし“ペルフォルマンテ”らしい走りを楽しませてくれるに違いない。
一方で、オフロードでもペルフォルマンテらしい走りを楽しめるようにと新設されたRALLYモードを舗装路で試してみたところ、サスペンションがよく動くようになるほか、横滑り防止装置の機能が制限され、シフトスケジュールも固定気味に変わり、サウンドの演出もなくなるなど、オフロードでの走りに徹した設定となることが分かった。サーキットとともにオフロードも、ぜひ機会があれば走ってみたいところだ。
ブレーキも乗り比べたウルスSと同じく、車両重量と速さに対して懐の深いキャパシティを感じさせる点では共通している。軽くなったことでいくぶん余裕も増していることには違いないが、扱いやすいことに変わりはない中で、攻めた走りにも備えて、より初期から減速度が立ち上がる特性に味付けされているように感じられた。
高級SUVの中でもウルスの存在感はいろいろな意味で際立つものがあるように感じていたが、ペルフォルマンテはさらにその上をいく。スーパースポーツをルーツとする“スーパーSUV”が、再びSUVからスーパースポーツに回帰したかのようだった。