インタビュー

「ペルフォルマンテ」が最もふさわしいサブネームだった! ランボルギーニ「ウルス」の新バージョンについてヴィンケルマンCEOに直球質問

「ウルス ペルフォルマンテ」とランボルギーニ CEO ステファン・ヴィンケルマン氏

 10月半ばにイタリア・ローマ近郊のヴァレルンガ・サーキットで開催された「ウルス ペルフォルマンテ」の国際試乗会。こうした場には必ず現地を訪れるというランボルギーニ CEOのステファン・ヴィンケルマン氏に、新型ウルスのネーミングの由来や、デザインについて話を聞いてみた。

ランボルギーニ CEO ステファン・ヴィンケルマン氏

EVOでもテクニカでもなく、「ペルフォルマンテ」とした理由

――新型ウルスには、「EVO」でも「テクニカ」でもなく「ペルフォルマンテ」というサブネームをつけた理由をお聞かせください。

ステファン・ヴィンケルマン氏:私たちが送り出すクルマのネーミングを見直した中で、まず2つのアイデアがあって、今日乗っていただいたものについては「ペルフォルマンテ」(=ハイパフォーマンス)と名付けるのが最もふさわしい、と思ったからです。よりパワフルなものを作り出してローンチするということだったので、これが最も正しい選択だった、と思っています。もう1つの「ウルス S」の「S」は、パフォーマンス重視ではなく、フェイスリフトの際によく使われる名前です。

――今、ウルスにペルフォルマンテが登場した理由を教えてください。例えばアストンマーティン「DBX 707」の707PSや、同郷のライバルであるフェラーリの「プロサングエ」など、他メーカーの新型スーパーSUVが軒並みパワーアップしたからなのでしょうか。

ヴィンケルマン氏:ペルフォルマンテはウルスの既定路線として、すでに頭の中にあったものです。1つのモデルのライフサイクルの中では、最低でも1回はアップデートというか、リモデル、ニューバージョンは出したかった、というのがあります。ランボルギーニについては、単純にパワーアップするだけでなく、360度オーバーオールのパフォーマンスアップとして考えていくことが、本社として、そしてメーカーとしてやることです。それが自分たちの誇りであり哲学なのです。

――予測としてサブネームは「テクニカ」と勝手に考えていたのですが。

ヴィンケルマン氏:「テクニカ」とネーミングしたウラカンについては、モデルのライフサイクルの中ですでに後輪駆動の580-2、ペルフォルマンテ、EVO、STOなど数多くのバージョンがデビューしていて、その中ではフェイスリフトといった段階を過ぎたものだったから、そんなサブネームとなりました。

ウルスにとってよりパワフルなモデルとして「ペルフォルマンテ」というサブネームが与えられた

電動化によって、デザインが専用に。それでも“クンタッチ”のDNAは継続

――1963年のランボルギーニの創業以来、2023年で60周年を迎えるのですが、その先の話です。ランボルギーニには強い思い入れがあるV12、V10、V8エンジンがあり、それが随時電動化されると思うのですが、エンジン自体はそのままの形で電動化されるのでしょうか。

ヴィンケルマン氏:最初のステップはV12のハイブリッドですね。全てのラインアップについて、ハイブリッドという形で2025年までに電動化していきます。完全電動化の前にあるハイブリッドというフェイズはとても重要で、既存のネーミングやデザインはもちろん、われわれの哲学や神髄はしっかりと持ちながら、もしかしてより快適なデザインが生まれるかもしれないと思っています。完全に電動化されたものに関しては、ボディスタイルも完全に新しいものになるはずです。フル電動モデルのパッケージはフロアの形状、つまり箱の形が違う用途として必要になるからです。

 とは言っても、やはりランボルギーニのDNAは新しいコンセプトにも特徴を盛り込んでいきたいと思っています。60周年以降の話として、まずアヴェンタドールの新型が登場するのに続いて、新時代に突入したということでいろんなものが発表されるはずです。

新型「アヴェンタドール」の登場を皮切りに、さまざまなものが発表される予定と明かしたヴィンケルマン氏

――電動化によってデザインが専用の形になる、ということは、今のランボルギーニデザインの基本となるクンタッチ(カウンタック)から変わっていくのでしょうか。

ヴィンケルマン氏:具体的な話として今はまだ話せませんが、デザインのDNAはやはりクンタッチです。ボンネットからはじまり、グリーンハウスに続くあの独特のラインは、電動化によってスーパースポーツカーに使われる形としてはもっと滑らかになるかもしれませんが、前から見た角ばったシェイプについては、どこから見てもランボルギーニと分かるものにしたいと思っています。

ペルフォルマンテが欲しいなら早めのオーダーを! 2024年からはハイブリッドが登場

――販売台数について、エクスクルーシブを求めるランボルギーニにとって限界の製造台数やモデル数はあるのでしょうか。

ヴィンケルマン氏:モデル、ラインアップの数によりますが、当然リミットはあります。そして、ラグジュアリースポーツセグメントにとってはあまりモデル数は必要でないことは熟知しております。ビジネスとして、他の大メーカーに比べて投資額が異なっているという面もあります。

 また、現在のテクノロジーは非常に短い時間でアップデートされるので、搭載するソフトなどの寿命が短くなっています。その中でビジネスを展開していくとなると、資産、投資額、回収率を常にバランスを取って賢く仕事をする必要があると思っています。例えばアド・ペルソナムについても、もっとアクティブにやることが必要ですね。

――将来計画されている2+2のGTカーのリソースについては、ランボルギーニの単独なのか、フォルクスワーゲンのものを共用して使う形になるのでしょうか。

ヴィンケルマン氏:2+2の開発は実際始まってないのでなんとも言えませんが、新しいボリュームやスタイルを考えているスーパースポーツカーに関しては、単独のリソースを使っています。一方のウルスから始まる新しいタイプのクルマは、フォルクスワーゲンの傘下としてシナジーコラボ、つまり共用ということを考えています。

――ペルフォルマンテは現状では完売しているようですが、次のロットを待つ時間はどのくらいが適正なのでしょうか?

ヴィンケルマン氏:カスタマーは1年ぐらいと思っているはずです。またエクスクルーシビティ、希少性を保つという意味では1年が理想とも言えます。結局、2024年からはハイブリッドが出てくるので、ペルフォルマンテを求めるなら早くオーダーしてほしいと思っています。

現在は完売しているというペルフォルマンテだが、2024年にハイブリッドが登場するため、ヴィンケルマン氏は早めのオーダーを呼びかける

――電動化された後のランボルギーニのデザインについて、今言えることはあるのでしょうか? 例えば「3500GT」や「イスレロ」のような、昔のイメージを彷彿とさせるような2+2が復活する、ということは考えられますか? そして気になる「音」に関してはどうでしょう?

ヴィンケルマン氏:昔のシルエットやデザインは全く考えていません。音についても未知の世界なので全く考えていない状態です。

――楽しみですね。

ヴィンケルマン氏:「Me too」です。