試乗記

Moduloで鍛えあげたホンダアクセス純正アクセサリーの効果はいかに? SUVモデル「ヴェゼル」で確認してみた

ホンダアクセスがSUV「ヴェゼル」用に開発した純正アクセサリーの効果を体感する機会を得た

 ホンダ車向け純正アクセサリーを開発・販売しているホンダアクセス。そもそもの起源は1976年に本田技研工業と本田技術研究所の用品研究開発部門を統合してできた「ホンダ用品研究所」で、1983年に「ホンダ用品技研」に社名を変更。1987年にカーエアコンの製造・販売事業を開始すると同時に、現在の「ホンダアクセス」に社名を変更したというのが会社概要だ。

 そんな同社が今からちょうど30年前、1994年に立ち上げたスポーツブランドが「Modulo(モデューロ)」である。初めはホンダ純正のアルミホイールブランドだったが、1999年にはエアロパーツやサスペンションなど領域を拡大。2008年には一般公道でも違いを感じられる「実効空力」を提唱しはじめ、速さだけではなく乗りやすさも考えたクルマ造りを展開。2013年からは「Modulo X(モデューロ エックス)」というコンプリートカーブランドもスタートさせた。このように「Modulo」は、新型車と一体となって開発したことによる信頼性の高さが魅力的なブランドに成長している。

ホンダアクセスが立ち上げた「Modulo」ブランドは2024年で30周年を迎えた

 今回はホンダアクセスが4月にマイチェンした新型「ヴェゼル」用に開発した走りに効く2つのアイテムにフォーカスして話を進めていく。

 1つ目はテールゲートスポイラーだ。これはマイナーチェンジ前からの人気アイテムで、コンプリートカー「Modulo X」で培った「実効空力」の考え方が盛り込まれている。特徴的なのはルーフ左右の突起に合わせるように設けられた左右の凸。そしてサイドに面形状を与えることで、空気の流れを整え、乱流を車両後方へ遠ざけることで、高速走行時の高い安定性を確保できているという。

試乗車はマイチェン前の車両。マイチェンではフロントグリルやバンパーのデザインが刷新されたが、共通部分も多い
マイチェン前の車両でもホイールやテールゲートスポイラーなど装着可能なアイテムも多数ある
上面や側面の形状が異なるほか、LEDハイマウントストップランプも幅広くなり、安全面にも寄与するテールゲートスポイラー(カラードタイプ/LEDロングハイマウントストップランプ付き)。価格は5万5000円~5万8300円(カラーにより異なる)
手前がホンダアクセスのテールゲートスポイラーで、奥が純正のスポイラー(車両はどちらもマイチェン前)

 2つ目のアイテムは18インチアルミホイールの「MS-050」である。「Modulo」ではホイールもサスペンションの一部であるという考えで、軽量、高剛性にこだわるのではなく、剛性バランスを整えることで、タイヤの接地面圧を高めようとしているところが特徴的だ。ホイールを“しならせる”という考え方は独自の世界観といっていい。ちなみに今回、ノーマルのホイールと「MS-050」の重量を比較してみたが、面白いことにその差はほぼなかった。これらのアイテムで走りがどう変わるのかが楽しみだ。

18インチアルミホイール「MS-050」
純正ホイールは1本約24.45kg
ホンダアクセスの「MS-050」は1本約24.00kg

実際に公道を走り、その効果を確認してみた

重さはほとんど同じだが剛性の違うホイール。また、後方の空気の乱流をボディから遠ざけるというテールゲートスポイラーで、どのように走りが変わるのか? 実際に走って試してみた

 今回は2021年式のヴェゼル e:HEV Z 4WDがテスト車両として準備されていた。すなわち、マイチェン後の新型ヴェゼル用のアイテムではあるが、マイチェン前の車両にも取り付けることは可能ということ。まずはノーマルのアルミホイールとノーマルのテールゲートスポイラーが付いたクルマで走りを確認したのちに、いよいよ「Modulo仕様」に乗り換えてみる。

 走り出してまず感じることは、ステアリングから濃厚な接地感が得られることだった。わずかに切り込んだところからクルマが反応をはじめ、大きく切り込むところまで一定したリニアなフィーリングが得られている。ノーマルはわずかに切るところのフィーリングが薄く、その後一気に反応をはじめる感覚があり、リニアさには欠ける部分があった。

MS-050はホイール外周部に切削した部分があるので、ホイールが回転するとより大きく見えるのも特徴

 高速道路に乗って速度を上げていくと、今度はリアがドッシリと安定した感覚になり、ビシッと真っすぐ駆け抜けていくことに感心。ステアリングの据わりもよく、わだちや横風などの外乱を受けにくくなっていることもまたメリットの1つだろう。

 これならロングドライブでも疲れにくく、快適になるに違いない。安定性が高まったおかげもあり、高速道路のジャンクションなどは安心して入っていける。その際のインサイドのグリップ感の向上はなかなか。エアロとホイールの相乗効果は確かなものが感じられる。

高速走行も安定感が高い

 単なるドレスアップパーツで終わるのではなく、その中にきちんとした機能を与えている「Modulo」のアイテムは、懐の深い走り味を実現していることは間違いない。コンプリートモデルではなくても、パーツ交換だけでこんなテイストが実現できるとは驚きだった。ヴェゼルオーナーなら必見のアイテムだ。

ホンダアクセスのスタイリングパーツにも注目

スポーツスタイル(左手前)、アクティブスタイル(右手前)、カジュアルスタイル(左奥)、アーバンスタイル(右奥)

 ホンダアクセスは、4月にマイチェンした「ヴェゼル」に対して、スポーティなイメージを高める「Sports Style(スポーツスタイル)」、質感高くエレガントに魅せる「Casual Style(カジュアルスタイル)」、都市に映える「Urban Style(アーバンスタイル)」、アウトドアイメージを際立たせた「Active Style(アクティブスタイル)」と、4つのコーディネートを提案している。

 今回の試乗会では、マイチェン前から継続しているアーバンスタイルとカジュアルスタイルの実車が初お披露目された。

都市に映える「アーバンスタイル」

アーバンスタイル(Urban Style)

 アーバンスタイルは、都市の情景の中で力強い存在感を放つフロントグリルやフォグライトガーニッシュ、フロントロアスカートなど、最初に目に入る前面の印象を刷新。さらにサイドロアガーニッシュ、リアロアガーニッシュ、リアロアスカートなどで、地をはうようなスタイルと上質さを両立させたスタイルに仕上げている。

ベルリナブラック×クロームメッキのフロントグリルは価格4万1250円。クロームメッキガーニッシュ付きフロントロアスカートは価格4万2900円~4万6200円。クロームメッキのフォグライトガーニッシュは価格1万1000円
クロームメッキガーニッシュ付きのリアロアガーニッシュは価格2万4200円~2万7500円。左右分割タイプのリアロアスカートは価格2万4200円~2万7500円。エキパイフィニッシャーは価格9900円
VEZELの文字と2本のラインが入るCピラーデカールは、左右セットで価格1万1000円

質感高くエレガントな「カジュアルスタイル」

新型ヴェゼル・カジュアルスタイル

 フロントグリルやロアスカート、サイド&リアガーニッシュ、ミラーカバーにグロッシーカッパー・メタリックを採用することで、上質さをプラスしたカジュアルスタイル。18インチアルミホイール(18×7.5J)は、ハイコントラストシルバー塗装の「MS-045」を履く。

フロントグリル(ベルリナブラック×グロッシーカッパー・メタリック)は価格4万4550円。グロッシーカッパー・メタリックガーニッシュ付きフロントロアスカート(ベルリナブラック×プレミアムアガットブラウン・パール)は価格4万9500円
サイドロアガーニッシュ(プレミアムアガットブラウン・パール)は価格4万1800円
グロッシーカッパー・メタリックガーニッシュ付きリアロアガーニッシュ(プレミアムアガットブラウン・パール)は価格3万800円。リアロアスカート(プレミアムアガットブラウン・パール)は価格3万800円
ドアミラーカバー(グロッシーカッパー・メタリック)は左右セットで価格1万1000円
18インチアルミホイール「MS-045」。ハイコントラストシルバー塗装で価格は1本4万6200円

スポーティに仕上げた「スポーツスタイル」

新型ヴェゼル・スポーツスタイル

 スポーツスタイルは、フロントグリルやエンブレム、ロアスカートやガーニッシュ、サイドミラーまでをブラックで引き締め、キレのよさと軽快な印象を両立したアルミホイール「MS-050」などにより、低重心でドッシリと構えた精悍なスポーツライクシルエットに仕上げている。

剛性バランスの最適化が図られて乗り心地が向上する新作アルミホイール「MS-050」。サイズは18×7.5J+55で、価格は1本4万6838円。カラーはグリントブラック×切削

ヴェゼルの室内の質感を高めるアイテムもラインアップ

 インテリア用アイテムは、センターコンソールやフットライトにブルーとホワイトを選べるLEDイルミネーションを設定するほか、ドアを開けると地面に「VEZEL」の文字を投影するパターンプロジェクタ-、「VEZEL」の文字が光るサイドステップガーニッシュなど光るアイテムをはじめ、シートカバーやラゲッジトレーなど利便性を高めるアイテムもそろえている。

 中でもヴェゼル専用アイテムとなるのが、助手席の前にある「カスタマイズインテリアパネル」だろう。最初から3枚のデザインシートが付属するが、自分で好きな写真やロゴなどを印刷して差し込むことが可能で、オリジナリティのあるワンポイントを作れる。また、アロマオイル拡散機構も付いていて、内部のアロマオイル含浸パッドに好みのアロマオイルを塗布しておけば、香りを楽しめるという珍しいアイテムだ。

助手席前の「カスタマイズインテリアパネル」はアロマオイル拡散機構付きで、交換用できるデザインシート3枚(ブラック、マーブル、カモフラージュ)が付属するほか、アロマオイル含浸パッド5枚も付属する。価格は1万4850円
純正アクセサリーではなく「A-Collect」ブランドの「PWSW(パワーウィンドウスイッチ)パネル」は、写真のマーブル(価格1万7600円)のほか、カモフラージュ(価格1万7600円)、デジタルカーボン(価格1万4199円)、ピアノブラック(価格1万4199円)がある

コンパクトSUV「WR-V」のラゲッジスペースの利便性を高める新製品「ラゲッジボード」

ホンダのコンパクトSUV「WR-V」

 ホンダアクセスは、純正アクセサリーとは別に、ユーザーの要望に合った用品を提供するブランド「A-Collect」も展開していて、コンパクトSUV「WR-V」の後席を倒した際にフラットなスペースを生み出すための「ラゲッジボード」を新たにラインアップしている。

ラゲッジボードを使えば倒した後席と滑らかにつながりフラットなスペースを確保できる。価格は3万3000円。ラゲッジボードの耐荷重は70kg
通常は後席を倒しても10cmほどの段差ができてしまう
ラゲッジボードの下に四角い木枠を使うことで高さを稼いでいる。木枠の中も収納スペースとして利用可能。純正アクセサリーの「シートバックソフトトレー」「ストレージボード」「ラゲッジトレー」との同時装着はできないので注意が必要

 そのほかにも、室内アイテムとして新たに「パワーウィンドウスイッチパネル」と、「インパネラインパネル」が登場。色は高級感のあるピアノブラックを採用している。

パワーウィンドウスイッチパネルは、フロントドア・リアドア用4枚セットで価格1万7600円
インパネラインパネルは価格2万2000円
試乗会は「無限」ブランドも一緒に実施していたので、併せてお読みいただきたい
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、ジムニー(JB64W)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34・納車待ち)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛