試乗記

「メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ」初試乗 究極にエレガントな世界観を味わえる1台

マイバッハ史上もっともスポーティで初の2シーターオープンモデルとなる「メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ」

マイバッハ初の2シーターオープンモデルに試乗!

 2025年秋に開催されたジャパンモビリティショー2025で注目を集めていた、メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズが発売され、いよいよ試乗する機会を得た。

 マイバッハブランド史上もっともスポーティで、初の2シーターオープンモデルとなり、SLの象徴的なシルエットがマイバッハならではの手法で表現されている。とにかく、ありとあらゆるものが究極的にエレガントで、個性的に仕立てられている。

 エクステリアは伸びやかな2シーターフォルムに、クロームやマイバッハパターンなどの上質で精緻なディテールが随所にあしらわれている。“MAYBACH”レタリングが目を引くフロントアンダーグリルのほか、フロントエプロンのワイドなエアインテークと印象的なクロームトリムは、マイバッハSL680モノグラムシリーズのスポーティな性格をさらに強調している。

 また、ヘッドライト内部にあしらわれたローズゴールドのアクセントとマイバッハロゴをはじめ、ボンネットマスコット、クロームフィン、専用ボンネットなどが、マイバッハならではの個性的なフロントマスクを呈している。

低く構えたスポーティなシルエットの「メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ」の価格は3650万円だが、試乗車はオプションの「MAYBACHロゴ入りボンネット(100万円)」と「21インチ鍛造アルミホイール(80万円)」を装着しているため3830万円
ボディサイズは4695×1915×1365mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700mm、車重は2t、最小回転半径は5.7m
トレッド幅はフロントが1655mm、リアが1615mm。最低地上高は125mm
マイバッハSL680モノグラムシリーズは、2024年8月にアメリカのペブルビーチで発表された「メルセデス・マイバッハ」ブランド4車種目となるモデル
電動のソフトトップは約15秒で開閉するほか、60km/hまで操作可能となっている

 100万円の有償オプションというピクセルペイントプロセスを用いたMAYBACHロゴ入りボンネットも、このクルマの大きな特徴だ。「オブシディアンブラック(メタリック)」のボンネットに「グラファイトグレー」のマイバッハパターンを施したプリントボンネットが与えられる。

 さらに、有償オプションであるマルチスポークのMAYBACH鍛造21インチホイールも、いかにもマイバッハらしい。リアはルーバーにより上下に二分割されたエグゾーストエンドやディフューザーを備えたマイバッハ専用の特徴的なデザインのリアバンパーが目を引く。

マイバッハSL680モノグラムシリーズで初採用となる製造プロセス「ピクセルペイント(PixelPaint)」を用いてプリントされる「MAYBACHロゴ入りボンネット(オプション設定)」のマイバッハパターンは、 2度のクリアコート塗装と手作業による研磨を経て、最終クリアコート仕上げを施される。合計4層のクリアラッカーと3回の研磨工程により、マイバッハパターンの奥行きが感じられる表情を生み出すのだという
フロント下部のグリルもマイバッハロゴがちりばめられている
マイバッハのロゴ入りソフトトップは標準装備で、カラーはブラックのみ
リアウイングは可動式で、車速に応じてウイングを立ててダウンフォースを発生させる

「MAYBACH」ロゴ入りアコースティックソフトトップには、ライトブラックのファブリック素材にアンスラサイトカラーのマイバッハパターンが上品にあしらわれていて、ソフトトップを開けても閉じても目にできる。アルミニウムとスチールによる軽量なソフトトップフレームにより、約15秒で電動開閉され、60kmkm/hまで開閉操作が可能となっている。

試乗車はオプションの「21インチ鍛造アルミホイール(R29)」を装着。タイヤはピレリの「P-ZERO」でサイズはフロントが275/35R21、リアが305/30R21。AMG強化ブレーキシステムも標準装備。フェンダーにはマイバッハロゴとシルバークロームのインレイが組み合わせられた「マイバッハ専用シグネチャーバッヂ」があしらわれている

印象的な「MANUFAKTUR クリスタルホワイト」の内装

 この新たな2シーターモデルのために、専用開発された2つのデザインコンセプトを採用したのも特徴だ。試乗した「ホワイトアンビエンス」は、外装色にマット(つや消し)の「MANUFAKTURオパリスホワイトマグノ」を採用し、内装色「MANUFAKTURクリスタルホワイト」との統一感を演出している。

ボディカラーがMANUFAKTURガーネットレッド(メタリック)の「レッドアンエンス」

 これ以外に、ボディカラー「MANUFAKTURガーネットレッド(メタリック)」と、「MANUFAKTURクリスタルホワイト」の内装を組み合わせえた「レッドアンエンス」がある。

 いずれもブラックトーンで仕立てられたボンネット/ソフトトップと外装色のコントラスによって、マイバッハならではの贅沢なツートーンデザインを生み出している。

内装色は「MANUFAKTURクリスタルホワイト」のみの設定。レザーの縫製にまでクラフトマンシップが宿る上質なシート素材で、マイバッハならではの最上級の乗り心地だ

 インテリアにも、華やぎとラグジュアリーを極めるオープンドライブのための数々のマイバッハ専用装備が採用されている。ひときわ目を引くナッパレザーの「MANUFAKTUR クリスタルホワイト」で仕立てられた空間はとても印象的で、優雅で広々とした雰囲気を創出している。

内装はフルレザーのMANUFAKTURレザーエクスクルーシブ仕様
アクセルとブレーキペダルにもマイバッハロゴがあしらわれている
Burmesterハイエンド3Dサラウンドサウンドシステムを標準装備する
タッチまたは音声でインフォテインメント機能を直感的に操作できるメディアディスプレイを採用。オープン走行時でも見やすいように角度を変えられる
スマホ用の置き充電も完備している

 シートに施された花びらを思わせるフローラルデザインの刺繍加工は、フロントシートだけでなくリアコンパートメントにも与えられていて、エンボス加工のマイバッハエンブレムがアクセントを加えている。17スピーカー/1220WのBurmesterハイエンド3Dサラウンドサウンドシステムも標準装備されている。

オープン走行時でも高い視認性を実現するデジタルコックピットディスプレイは、ローズゴールドのアクセントをあしらったマイバッハ専用の表示スタイルとなる
スポーツモードではスポーティな赤色がメインとなる
大きなナビ表示も可能

車内の快適性を向上する「MAYBACHモード」を設定

 走りについては、もはや申し分ないどころの話ではない。リリースの言葉を借りると、「リラックスしたクルージングにもスポーティなドライビングにも理想的なモデルで、マイバッハならではの高度な快適性と、SLの洗練された走行性能を兼ね備えています」という。まさにそのとおり。

V型8気筒4.0リッターツインターボエンジンは最高出力430kW(585PS)/5500-6500rpm、最大トルク800Nm/2500-5000rpmを発生。そこに電子制御の9速AT「9G-TRONIC」を組み合わせる。WLTCモード燃費は7.1km/L

 最高出力585PSのV型8気筒4.0リッターツインターボエンジンと9G-TRONICを組み合わせたパワートレーンには、AMGとは真逆でソフトエンジンマウントの採用により静粛性と快適性が高められている。

 DYNAMIC SELECTには、マイバッハ専用の「MAYBACHモード」が設定されていて、選択するとサスペンションがもっともやわらかくなる。さらに、エンジンやトランスミッションの動作が静かでスムーズになるように調整され、車内の静粛性が向上する。

「MAYBACHモード」は快適のさらに上をいく乗り心地を実現していた

 ただでさえ快適な「COMFORTモード」との違いが興味深かったのだが、まさにMAYBACHの意味するところはそういう位置づけということがあらためてよく分かった。あまりにまろやかでなめらかな走りは、その他のメルセデス車とは一線を画している。一方で、快活に走れる「SPORTモード」もぬかりなく用意されていて、それはそれでまた違った側面を見せてくれる。

 ダンパー油圧システムにはマイバッハ専用バルブを採用していて、やわらかいスプリングと組み合わせることで、サスペンションの挙動をより繊細にした標準装備のACTIVE RIDE CONTROLサスペンションは「さすが!」のひと言。これにまかせておけば、乗り心地は常に快適で、ロールの動きも瞬時に抑えてくれる。

標準装備のACTIVE RIDE CONTROLサスペンションはロールをすぐに抑えてくれた

 さまざまな遮音対策施されたことで、最高水準の静粛性を実現している。遮音対策が施されたアコースティックソフトトップや、遮音材を最大限に使用した専用の排気システムによるエグゾーストサウンドの最適化がまさにそれだ。

 ようするに、どんな道でも快適に走れるということに違いない。メルセデス-AMGのほうのSLは、スポーツカーとしてのSLであることを主張していたように思うが、メルセデス-マイバッハのSLは、マイバッハならではの究極にエレガントな世界観を2シーターのカブリオレで表現している。マイバッハの世界観とはいかなるものか、このクルマに触れてあらためて思い知らされた気がした。

メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズは、マイバッハの世界観を感じられる究極の1台だった
岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛