試乗記
スバルの目指すクルマづくりとは? 次世代アイサイトに向けて進化途中のADAS技術を体験
2026年10月30日 07:30
時代の流れは確かに不透明だが、その中にあってスバルが譲れない2つの指標がある。その1つは先に試乗した次世代EVスポーツを例とした「走りの楽しさ」。そしてもう1つが、死亡事故ゼロを目標とする「安全性能」だ。
今回、栃木県佐野市にある「スバル研究実験センター」で、次世代アイサイトの進化過程を試作車を通じて体験することができた。
具体的な内容は、「ハンズオフ アシスト」「アクティブレーンチェンジ アシスト」「ドライバー異常時対応システム」の3つだ。これらはすでに実用化されている技術だが、それぞれの領域がさらに拡大されて、次世代アイサイトに盛り込まれる予定となっている。
試乗したのは3つの装備を搭載したレヴォーグの試作車で、コースにはオーバルの外周路が使われた。
さっそくコースインしてACCを起動させ、「アイサイトX」のスイッチをひと押し。速度を80km/hに設定すると、その過程でハンズオフ機能が“ポン ポーン♪”と起動した。
50km/h以上の領域でハンズオフになるのは初体験だが、その作動はあまりに自然で、まったく違和感がなかった。走行車線は、オーバルコースの一番下の段。路面はほぼフラットだが、緩やかなカーブでも、そのまま手を離して走行が可能だった。
1つめのカーブを過ぎて、直線路へ。ここで試したのはアクティブレーンチェンジ アシスト。ウインカーレバーを曲がりたい方向へワンタッチ操作すれば、周囲を確認しながら自動でクルマが車線変更する。これが、ハンズオフでも可能となった。
その印象はというと、最初はヨーモーメントの発生に若干の唐突さを感じた。それは恐らく、ハンドルで体を支えていなかったからだ。そして2回目からは予測ができたのか、動きがより自然に感じられた。後部座席のカメラマンは動きに違和感は感じていなかったから、これはドライバー側の感じ方なのだと思う。レーンチェンジという動作はそれだけ、自分の意志で行なってきたものだということが改めて理解できる。
慣れたところで、連続操作もやってみた。レーンチェンジが完了したと同時に再び逆方向にウインカーを出して、その追従性を見たわけだが、次世代アイサイトはそのムチャぶりも滑らかにこなした。テストコース以外ではやらないでほしい操作だが、連続したGループでゆっくりとスラロームを描くようにレーンチェンジを連続してこなした。
前方に車両を確認しての「自動追い越し」には、自動運転の未来を感じた。
自動でウインカーを出すタイミングは、一般のドライバーたちにも見習ってほしいほど適切で余裕を持っており、レーンチェンジへの移行も途切れなく滑らか。角度は緩やかで、速度も維持されていた。そして追い越しが完了すると、再びウインカーを出して走行レーンに戻った。
ドライバー異常時対応システムは、路肩までクルマが避難して停止するようになった。当日は操作に完璧を期すため、アイサイトをふさぐ形でシステムを作動。そのあと警報とともにメーターがイエロー、赤と段階的に点滅し、ハザードを点灯させながら速度を低下させる。
パルスブレーキは初体験だったが、確かに朦朧とした意識が覚醒できるくらいの、小刻みで強い制動Gが繰り返された。そして3回ずつホーンを鳴らしながら減速し、最後はハンドルを切って路肩に止まった。ちなみにホーンは、ドライバーがブレーキを踏むなどして車両を安全な状態にするか、他者がエンジンをオフにするなど車両を停止状態にするまで続く。なるべくならお世話にはなりたくないが、あれば心強いシステムだ。
こうして3つの機能が制御を拡張できたのは、統合型ECUの効果だろう。これまで独立した制御だった統合運動制御がアイサイトと一体化したことで、より車両の自動操作が滑らかになり、細かいところまで対応可能となった。
ただ気になるのはハンズオフに対する安全性で、広いテストコースだけではその真価は測れないと感じた。たとえば日産はすでにプロパイロット2.0でこれを実用化しているが、両側を大型トラックに挟まれるような場面では、ストレスフリーどころか緊張感が高まる。120km/hで手放しさせて、ドライバーをリラックスさせたいのであれば、車両側にはもっとスタビリティが必要だとも、個人的には感じている。
ドライバー側からは左にオフセットしていると感じられがちな車線中央維持については、開発陣もこれを認識していた。人間の感覚に合わせた補正を検討しているとのことだったが、スバルがこれをどう対処してくるかは注目だ。
もっとも少しよそ見をするだけでプンプン怒るアイサイトだけに、ハンズオフ走行に対しても、その制御は慎重に行なうだろう。自動運転をいたずらに推進するような制御には、決してしないはずである。
そしてハンズオフが可能となっても、常に手放しする必要はどこにもない。














