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写真で見る 三菱ふそう「スーパーグレート」(2017年フルモデルチェンジ)

5月15日に発表された「エアロクィーン」「エアロエース」「スーパーグレート」(各左から)

 三菱ふそうトラックは5月15日、大型トラックの新型「スーパーグレート」、大型観光、高速路線バスの新型「エアロクイーン」「エアロエース」を発表した。今回のモデルで最大の特徴は、トラック、バスともに総排気量を引き下げた新開発エンジンの搭載と、新型AMT「ShiftPilot(シフトパイロット)」を採用している点。これらによって低燃費化と運転のしやすさを向上させている。本稿では新型スーパーグレートを写真で紹介する。

左が「スーパーグレート FU」、右が「スーパーグレート FS」

 新型スーパーグレートのグレードは「Eco Line」「Pro Line」「Premium Line」の3タイプがあり、機種展開は6×2後2軸の「FU」と8×4低床の「FS」、そして6×4後2軸の「FV」、6×4低床の「FY」があり、今回の撮影に用意されたのは「FU」と「FS」だ。

 エンジンは排気量10.7リッターの「6R20」、排気量7.7リッターの「6S10」の2種類の直噴ターボディーゼルが用意されている。環境技術に関しては尿素を使った再生制御式DPF「BlueTech」排気後処理装置を組み合わせている。

 なお、エンジンの性能についてだが、トラックは運送会社ごとに運ぶ荷物が多種多彩。そこで6R20には最高出力と最大トルクが異なる「T1」「T2」「T3」の3バージョンを用意。6S10には「T1」「T2」の2種類が設定されている。

 バージョンごとの仕様は、6R20(T1)が最高出力265kW(360PS)/最大トルク2000Nm(204kgm)。6R20(T2)は最高出力290kW(394PS)/最大トルク2000Nm(204kgm)。6R20(T3)は最高出力315kW(428PS)/最大トルク2100Nm(214kgm)となっている。

 6R10(T1)は最高出力260W(354PS)、最大トルク1400Nm(142kgm)/6R10(T2)は最高出力280kW(381PS)/最大トルク1400Nm(142kgm)だ。

 トランスミッションは全車に新世代トランスミッションである2ペダルの12段変速マニュアルトランスミッションのShiftPilotを採用。新エンジンとの組み合わせにより低燃費を実現している。シフトモードの選択やシフトチェンジ操作などはステアリングコラム左側に設置された「マルチファンクションレバー」で行なう。

新型スーパーグレート FS
標準ルーフのフルキャブタイプとなるスーパーグレート FS。グレードはPremium Lineで、豪華装備をまとうエクスクルーシブパッケージ車。ボディ(荷台の架装)はリミテッドウイング仕様で、撮影車にはオプションパーツのドラッグフォイラー、アルミホイールを装着している
新型スーパーグレート FU
こちらはスーパーグレート FU。キャブの仕様はFS同様で、ホイールにはカバーが装着されている
FSは前4輪が操舵輪。切れ角が大きく、写真のフルキャブ車では最小回転半径が10.0m(ショートキャブ車は9.8m)
サスペンションは「総輪エアサス」と「リアのみエアサス」がある
新デザインのアルミホイール。タイヤサイズはフロント、リアともに245/70 R19.5。この車両はテスト車でもあり、タイヤはスタッドレスを履いていた
撮影車はFU、FSともに排気量10.7リッターの直列6気筒直噴ターボディーゼルエンジンの「6R20」を搭載
空力性能を向上させるドラッグフォイラー。運転席側にはエンジン用の吸気ダクトがある
6R20搭載車のマフラー音量については、近接騒音も87/1200(dB/rpm)に抑えられている
トランスミッションは全車で新世代トランスミッションである新型ATM「ShiftPilot」を採用。シフト操作する「マルチファンクションレバー」はステアリングコラムに装着
エクスクルーシブパッケージ車はメッキバンパーとエンブレムを装備し、ドアハンドルもメッキ仕上げになるなど外装も豪華

 新型スーパーグレートでは動力性能や低燃費性能の向上だけでなく、安全運転のための性能も充実させている。ブレーキに関しては衝突の回避、または被害を軽減する衝突被害軽減ブレーキの「ABA4(Active Brake Assist 4)」(PremiumLineとProLine)「AMB plus」(EcoLine)を装備。とくにABA4は従来からあるAMB plusの自動ブレーキ精度を向上させただけでなく、停車している車両に対する衝突回避を可能にし、歩行者も検知して衝突被害軽減を作動させるようになっている。ABA4、AMB plusともに2019年11月に施行される「衝突被害軽減ブレーキの基準強化(継続生産車22t超)」をクリアしている。

 このほかにも、左折時の巻き込み事故を抑制する「アクティブ・サイドガード・アシスト」や旋回時の車体の安定化を図る「EPS」、そして夜間走行の視認性がよい「Xtra VisionLEDヘッドライト」も装備。

 加えてドライバーの負担を軽くするための機能として、前方車を自動追尾することでドライバーの疲労を軽減させる「プロキシミティー・コントロール・アシスト」やドライバーの顔をカメラで監視する「アクティブ・アテンション・アシスト」、白線認識カメラによる「車線逸脱警報システム」を装備する。

フロントガラスにはドライブレコーダーと白線認識カメラが見える
衝突の回避、または被害を軽減する「ABA4」や「AMB plus」用のセンサーはナンバープレートの下に付いている
ドライバーの顔をカメラで監視する「アクティブ・アテンション・アシスト」用カメラはダッシュボードの運転席前方に付いている
左側には左折巻き込み事故を抑制する「アクティブ・サイドガード・アシスト」のセンサーがある。ボディ側面に付くが前後の斜め方向も感知できるようなレンズ形状になっている
車内の左側Aピラーにランプがあり、歩行者などを感知するとランプが黄色く点灯し、左側にウインカーを作動させたりステアリング操作をするとランプが赤く点灯し、同時に警告音が鳴る
サイドミラーにはワイパーを備える。操作はセンターコンソールのボタンで行なう
後方視界はカメラで確認。ルームミラー位置にモニターが装着されている
助手席ドアには巻き込み事故を防ぐための「セーフティウインド」がある。セーフティウインドは非常に重要な装備なので、窓の内側(ドア内の部分)を拭けるよう室内側にガラスが開くようになっている
フロント側の点灯パターン。ヘッドライトは「Xtra Vision LEDヘッドライト」を採用。Eco Lineはハロゲンヘッドライトになる
ウインカーのサイドマーカーはクリアレンズを採用

 ドライバーの仕事場であるコクピットは機能的に作られているだけでなく、カッコよさや豪華さを持たせてドライバーのモチベーションを高める空間を演出しているとのこと。

 ドライバーズシートは座面自体にクッション性を持たせつつ、エアサスシートとなっているので路面からの衝撃がドライバーに伝わりにくい。ロングドライブの疲労軽減に大いに貢献する作りになっている。さらにシートベルトもピラーから出すのではなく、シート背もたれにベルトを内蔵する「ベルトインシート」を採用。これにより、エアサスシート独特のシートの上下動やリクライニングさせたときも常に快適なシートベルトの装着感を維持。身体とシートベルトの関係が常に適切になるので、万が一の事故発生時もシートベルトの機能がしっかりと発揮されるのだ。

Premium Line エクスクルーシブパッケージ車のコクピット。シートはコンビネーションレザーでヒーター付き。車内では木目調パネル、シルバー加飾プレートなども装備する

 スピードメーター、タコメーターなどの主要メーター類は見やすさを重視した針式を採用。中央部には4.1インチ(Premium Lineのみ5インチ)のマルチファンクションモニターを搭載。このモニターには燃料やAdBlueの残量、ウォーニング表示、エンジンオイルレベルなどに加え、白線認識の状況、車間距離保持機能付オートクルーズの距離設定などの各種情報表示や設定変更が行なえるようになっている。表示切り替えはドライブ中でも簡単に行なえるよう、ステアリングスポーク左側のボタンで操作できる。右側スポークにはオーディオ、オートクルーズ、ハンズフリーフォンの操作ボタンがある。

Premium Line エクスクルーシブパッケージ車のみレザーステアリングを装着。
左スポークにはマルチファンクションモニターの操作ボタンを設定
右スポークにはオーディオ、オートクルーズ、ハンズフリーフォンの操作ボタンを設定
トラックドライバーの仕事場であるコクピットは快適、豪華な作りが求められているという
助手席はシートベルトが内蔵されないタイプ
長距離ドライバーには愛煙家が多いとのことで、運転席、助手席ともに灰皿がある

 21年ぶりのフルモデルチェンジとなった新型スーパーグレートでは、コクピット装備も最新式に改められた。キーはマルチファンクションキーを採用し、エンジンはプッシュスタート式。オーディオは7インチのタッチパネルディスプレイを採用した「TCC touch」をPremium Lineに装備。このオーディオはスマートフォンとも連動し、対応アプリをパネルで操作することも可能。ハンズフリー通話、Bluetooth接続、USB接続による音楽再生にも対応する。なお、Pro Line、Eco LineにはAM/FMラジオとBluetooth&USB接続による音楽再生に対応した「TCC mid」が装備される。

 また、オートクルーズ使用時には、GPSと3D地図情報により道路の勾配を予測して低燃費向上を図る「パワートレイン3D予測制御」もオプションで用意。

 さらに車両の運行状態を記録するデジタルタコグラフを全車に標準装備。この装置には収集した車両情報を三菱ふそうカスタマーアシスタントセンターに送信する機能もあり、車両を保有する会社はカスタマーアシスタントセンターが用意する専用ページにアクセスすることで、車両位置や運行状況を確認することができる。

イモビライザーやキーレスエントリー機能も持ったマルチファンクションキーを採用。キースロットに差し込みスターターボタンを押すという手順
右側コラムレバーはライトの光軸コントロールとワイパー操作用
Premium Lineにはタッチパネル式のオーディオユニット「TCC touch」が標準装備
センターコンソールに各種スイッチを設定
荷受所のプラットフォームに荷台の高さを合わせるコントローラーもある。コクピットから降りてプラットフォームを目視しながら操作することも多いので、スイッチユニットは取り外し可能になっている。
ATMなので2ペダル。ドライバーの負担軽減だけでなく、運転しやすくすることで運送会社が新規ドライバーを獲得しやすくする意味もある
こちらは標準仕様のPremium Lineの車内。シートはファブリックで加飾パネルはカーボン調になる
標準キャブにはシート後方に仮眠用のベッドがある。仮眠時はカーテンでコクピットと仕切るので夏場にエアコンの冷気が仮眠スペースに届きにくくなることから、オプションで蓄冷式リアクーラーも用意されている
マルチファンクションモニターの表示例。画面の切り替え操作はステアリングのボタンを押すだけで、表示項目は非常に多くても操作が簡単な印象だ

 このように新型スーパーグレートは、低燃費や長期の稼動を見据えたメンテナンス性のよさ、コストの低さなど、トラックにとって必須といえる項目を抑えただけでなく、ドライバーの疲労軽減や安全性、さらにドライビングの充実感も求めた新型のエンジンやトランスミッションを採用。そしてエクステリア、インテリアでもデザイン性を追求した新しい時代のトラックに仕上がっている。