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写真で見る スバル「WRX STI」「WRX S4」

 8月25日に発売されたスバル(富士重工業)の新型スポーツセダン「WRX」シリーズ。これまでWRXは、インプレッサシリーズのスポーツバージョンに与えられていた名前だが、この新型WRXから完全な独立車種としてデビューした。また。5ドア、4ドアとあった車型も4ドアセダンに1本化されている。

 ボディーサイズは、4580×1795×1470mm(全長×全幅×全高)から4595×1795×1475mmと、全長が15mm長くなり、ホイールベースは2625mmから25mm延長された2650mmとなった。このホイールベース延長分は、後席足下空間の拡大に使われている。

 スバルのラインアップの中で、WRXシリーズは現行インプレッサより大きく、現行レガシィより小さいことになる。ここにはスポーツツアラーの「レヴォーグ」が存在する。レヴォーグが先代のレガシィツーリングワゴンを包有するのに対し、WRXシリーズは先代レガシィB4ユーザーを包有するポジショニングに移行した。

 レヴォーグのボディーサイズは4690×1780×1490mm。ホイールベースは同じ2650mmで、Bピラーより前のボディーの骨格はWRXシリーズと供用している。グローバルの発売は、新型WRXシリーズが先行しており、実際の設計も新型WRXシリーズが先行。日本だけ見ているとレヴォーグから派生した車種がWRXシリーズに思えるが、実際はWRXとしての骨格を作り上げつつ、ワゴンボディーも並行して開発が行われたことになる。

 WRXシリーズは、ピュアスポーツに位置づけられる「WRX STI」と、スポーツセダンに位置づけられる「WRX S4」があり、それぞれベースグレード(WRX STI、WRX S4 2.0GT EyeSight)と、ビルシュタイン製ダンパーなどを装着するアドバンスドグレード(WRX STI Type S、WRX S4 2.0GT-S EyeSight)が存在する。

 WRX STIは、最高出力227kW(308PS)/6400rpm、最大トルク422Nm(43.0kgm)/4400rpmと先代同様のスペックを持つEJ20型ツインスクロールターボエンジンを搭載し、6速MT+マルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)によって4輪を駆動。WRX S4は、最高出力221kW(300PS)/5600rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2000-4800rpmを発生するFA20型直噴ターボエンジンを搭載し、レスポンスを向上させたというスポーツリニアトロニックCVTとVTD-AWD(不等&可変トルク配分電子制御AWD)によって4輪を駆動する。

 両シリーズの性格は、これまでのインプレッサ WRX STI spec.CとA-Lineより明確に分かれている。WRX STIにはスバルの象徴ともなった先進安全運転支援技術「EyeSight(アイサイト)」が搭載されていないのに対し、WRX S4はレヴォーグから搭載されたステアリングアシストも行う最新のver.3を装備する。さらにJC08モード燃費は、WRX STIが9.4km/Lに対し、WRX S4は13.2km/L。WRX S4はエコカー減税対象車でもあるので、マニュアル変速と自動変速という違い以上に大きな差となっている。

WRX STI

WRX STIのトップモデルとなるWRX STI Type S。ベースグレードのSTIとは、大型リアスポイラーやBBS製18インチアルミ鍛造ホイールが異なる
LED4灯ロービーム+ハロゲンハイビームヘッドライト
メッシュ形状のグリルにはSTIのエンブレム
空冷インタークーラー用のエアインテーク
STIの文字が刻まれるフロントフェンダー部。ちなみにこのフロントフェンダー形状はレヴォーグと異なり、グリルだけの交換でレヴォーグ顔にはできないとのこと
リアコンビネーションランプはエマージェンシーストップシグナル機能付き。急ブレーキを踏むと、ハザードランプが高速で点滅する
ヘッドライトの灯火パターン
リアコンビネーションランプの灯火パターン
245/40 R18インチのタイヤを4輪に装着する
ドアハンドル
サイドミラー
大型リアスポイラー
ツインデュアルテールパイプ
シャークフィンアンテナ
WRX STI Type Sのためビルシュタイン製ダンパーを装着
リアのトランクルームは、6:4分割可倒式
最高出力227kW(308PS)/6400rpm、最大トルク422Nm(43.0kgm)/4400rpmを発生する水平対向4気筒 DOHC 2.0リッターツインスクロールターボのEJ20型ユニット。排ガス規制の強化などによりいずれ消えていく運命にあると思われる。2.5リッターのEJ25型を搭載しなかったのは、EJ20型がWRCのWRカーなどでの利用を見据えて作られたスポーツユニットのため。エンジンケースの強度が高いという
赤い焼結塗装が美しいエアインテーク。FB型やFA型のエンジニアリングプラスチック製インテークとは異なる設計思想であるのが分かる
エンジンブロックを見ると「EJ20」の文字が刻まれている
水平対向ユニットの背の低さを活かして配置された空冷式インタークーラー
ツインスクロールタイプのターボユニット
ボンネットはアルミ製
ボンネットダンパーを装備する
フロントストラット取り付け部。タワーバーなどなしで必要な強度を確保している。また衝突時の歩行者保護の点にも配慮されている
コクピット全景
Dシェイプのステアリングホイール。ステアリングスイッチなどはなく、ステアリング操作に専念しやすそうだ
6速MTのシフトレバー
シフトブーツ前方には「STi」のロゴが刻まれる
SI-DRIVEのセレクトダイヤル。その手前にはDCCDのコントロールスイッチ
サイドブレーキは機械式。サイドブレーキを引くと、DCCDのロックはキャンセルされる
エアコン関連のスイッチなど
センターコンソールのカップホルダーや小物入れなど
280km/hスケールのメーターパネル。レッドゾーンは8000rpmから。中央にはDCCDやSI-DRIVE用のインフォメーションディスプレイが配置される
SI-DRIVEのS#
SI-DRIVEのS
SI-DRIVEのI
DCCDの表示
DCCDを構成するパーツ
DCCDの外観
内部ユニットを抜いたところ
DCCDの内部ユニット
ダッシュボード中央上部に位置するマルチファンクションディスプレイ
ブーストメーター
燃費計やアクセル開度計
燃費計や航続距離表示
燃費履歴
前後輪のトルク状態表示
時計
設定画面
後席
前席
リアセンターアームレスト
前席ドアトリム
MT車なので、アクセル、ブレーキ、クラッチの各ペダルがある
サイドシルプレート

WRX S4

WRX S4
WRX S4のボディーサイズはWRX STIと同様になる
WRX S4はタイヤサイズが225/45 R18となり、WRX STIの245/40 R18よりコンフォート側に振られている
ツイン・デュアルテールパイプ
ボンネットのエアスクープ。形状はWRX STIと同様
最高出力221kW(300PS)/5600rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2000-4800rpmを発生するFA20型直噴ターボエンジン
FA20型直噴ターボエンジンとリニアトロニックで構成されるWRX S4のパワートレーン
VTD-AWDの不等&可変トルク配分を作り出すデフ
WRX S4に搭載されたFA20型直噴ターボエンジンは、延長タイプのチェーンガイド(写真右)、強化バルブスプリングなどにより、高回転特性を改善。レブリミットを6100rpmから6500rpmへと引き上げてある
コクピット全景。インテリア写真はWRX S4のべースグレードとなる2.0GT EyeSightで紹介
インテリアにおける上位グレードの2.0GT-S EyeSightとの違いは主にシート素材関連となる
WRX STIとWRX S4の大きな違いはEyeSightの有無。今やスバル車の装着率が8割に達するEyeSightをついにWRXシリーズが装備した
WRX S4のステアリングホイール。EyeSight関連のスイッチが並ぶ
パドルシフトが装備されている
メーターパネル。中央部にはSI-DRIVEやEyeSight関連の情報が表示される
シフトトレバー。シフトレバーでもマニュアルモードに移行できる
EyeSightとの連動を図るためか、WRX S4では電動パーキングブレーキを採用
カップホルダーなど
センタークラスターのMFD表示&操作スイッチ類
エアコンダイヤルの下部には、電源供給用のシガータイプソケットなど
USBは2系統ある
MFDの表示。ブースト計
時計
航続距離など
ECOチャレンジ
燃費履歴
前後輪のトルク状態表示
平均燃費など
設定画面
CVTなのでアクセルとブレーキの2ペダル
プッシュエンジンスタートスイッチ
キーレススタートキー
後席
前席
後席ドア
前席ドア
パワーウインドースイッチなど
WRX S4 2.0GT-S EyeSightでは、ビルシュタイン製ダンパーを装備

 WRX STIとWRX S4の外観の差異は小さいが、最新機能を持つEyeSight ver.3の有無が加わったことで、マニュアル変速と自動変速以上の差別化がなされた。かつてBOXER MASTER-4と名付けられていたEJ20型水平対向4気筒エンジンと6速MTを心臓部に持つWRX STIをこれまでのスバルらしさの究極とするなら、BLUE BOXERと名付けられたFA20型水平対応4気筒エンジンとスポーツリニアトロニック、そしてEyeSight(ver.3)を搭載するWRX S4は、これからのスバルらしさの現時点の頂点にある。最新ボディーに包み込んだ2つのスバルらしさを選択できるのが、スポーツセダンの新型WRXシリーズとなる。

(編集部:谷川 潔/Photo:高橋 学)