写真で見る

写真で見る トヨタ「エスクァイア」

 トヨタ自動車の新型「エスクァイア」は、コンパクトキャブワゴンとも呼ばれる5ナンバーサイズの3列シートミニバン。写真を見てもらえば分かるように「ヴォクシー」「ノア」の実質的な兄弟車で、「トヨタ」店と「トヨペット」店で販売される。このエスクァイアの登場により、トヨタ系列販売チャネル全店でコンパクトキャブワゴンが購入できるようになったわけだ。

 先発のヴォクシー、ノアが、それぞれ“毒気のあるカッコよさ”や“ミニバンの王道をいく堂々感”を表現していたのに対し、末弟となるエスクァイアが目指したのは“ワンランク上の高級感”だ。分かりやすいところでは、エクステリアのポイントにもなっているT字型の大きなフロントグリル。そしてインテリアでは、手に触れる部分の素材や加飾の見た目などといった部分だ。所有したユーザーが満足感やステータスを得られるよう徹底してこだわったという。

 ボディーサイズやパワートレーンといった基本的な部分はヴォクシー、ノアと共通。5ナンバー枠一杯の4695×1695×1825mm(全長×全幅×全高)のボディーに低床フラットフロアを採用することで、乗降性のよさとともに2930×1540×1400mm(室内長×室内幅×室内高)とクラス最大級の室内空間を手に入れている。810mmのロングスライドシートによりさまざまにアレンジできる7人乗りをメインに、ガソリン車には580mmのロングスライド&6:4分割チップアップシートを採用する8人乗りもラインアップ。使い方や乗車人数などのニーズに応じて選択することが可能となっている。

 ガソリン車は2.0リッター直列4気筒の「3ZR-FAE」エンジンを搭載し、7速シーケンシャルシフトマチックを備えた「Super CVT-i」と組み合わされる。スペックは最高出力112kW(152PS)/6100rpm、最大トルク193Nm(19.7kgm)/3800rpm。アイドリングストップ機構の採用などにより、2WD(FF)車のJC08モード燃費は16.0km/Lと良好な数値。自動車取得税、自動車重量税の免税(100%減税)対象となる。

 4WD車はXiグレードが15.0km/L、Giグレードが14.8km/Lで、Xiグレードは自動車取得税が80%減税、自動車重量税が75%減税対象となり、Giグレードはそれぞれ免税対象。また、Xiグレードで一部オプションを装着して車重が1660kgを超えると燃費は14.8km/Lになるが、重量区分が変わるため免税対象となる。

 ハイブリッドシステムはトヨタ車でおなじみの「THS II」で、1.8リッターの直列4気筒ガソリンエンジン「2ZR-FXE」とモーターの組み合わせ。ガソリンエンジンのスペックは最高出力73kW(99PS)/5200rpm、最大トルク142Nm(14.5kgm)/4000rpm。モーターは「5JM」で6.5Ahのニッケル水素電池により駆動され、最高出力60kW(82PS)、最大トルク207Nm(21.1kgm)。システム合計出力は100kW(136PS)で数字上はガソリン車には及ばないものの、JC08モード燃費は23.8km/Lとクラストップの数値をマークしている。

 グレード構成はガソリン車、ハイブリッド車ともに「Gi」「Xi」の2タイプ。ハイブリッド車は2列目がキャプテンシートの7人乗りのみを設定し、ガソリンエンジン車には7人乗りに加えて2列目がベンチシートの8人乗りも用意される。また、車両の状況に応じて最適な駆動力配分を行う「アクティブトルクコントロール4WD」も、ガソリン車のみで選択可能だ。価格はガソリン車が259万2000円~302万9142円、ハイブリッド車が304万3543円~320万4000円となる。

ハイブリッド車

撮影車両はハイブリッド Gi。ボディーカラーはメーカーオプションで、ヴォクシー、ノアには設定されない「スパークリングブラックパールクリスタルシャイン」
大きく見えるが、ボディーサイズは4695×1695×1825mm(全長×全幅×全高)と5ナンバー枠に収まる。都市部でも扱いやすいサイズだ
フロントグリルのエンブレムには、トヨタのほかのハイブリッド車と同じくブルーのアクセントが入る
フロントフェンダーにもハイブリッドのバッヂが付く
リアハッチにもトヨタのハイブリッド車でおなじみの「HYBRID SYNERGY DRIVE」バッヂ
プリウスαと同じハイブリッドシステムを採用
ガソリンは無鉛レギュラー仕様でバイオ混合ガソリンにも対応する。タンク容量は全車55L
タイヤサイズは195/65 R15。ハイブリッド専用アルミホイールを標準装着する
シフトレバーはガソリン車と異なり、プリウスなどと同じハイブリッドシフトマチックになる
中央に大きなスピードメーターを配したアナログ3眼式オプティトロンメーターを採用。左側はパワーメーターになる
インパネ中央に4.2インチのTFTカラー液晶を採用したマルチインフォメーションディスプレイを用意。ステアリングに設けられたスイッチを使い、さまざまな情報を切り替えて表示できる
ステアリングコラム右側のスイッチ群。パワースライドドアはGiが両側、Xiは助手席側のみが標準
ハイブリッド車は運転席と助手席の間に大きめのセンターコンソールを設定。Giは「おくだけ充電」(qi:チー)を標準装備
撮影車両のインテリアカラーはバーガンディ&ブラック。Giのシート表皮は夏の熱さや冬の冷たさを低減する昇温降温抑制機能付きの合成皮革。Xiは消臭機能付きファブリックが標準となる
7人乗りの2列目は左右独立したキャプテンシートを採用
2列目シートの運転席側を最後方に固定し、助手席側は座れる程度のスペースを残して前方にセットした状態。810mmのロングスライドはダテではなく、左右のシート間から3列目にウォークスルーできるほどの調整幅がある
2列目シート両側を最後方までスライドした状態。スライドドアの開口部をほぼフロアだけの状態にできる。この位置まで下げる場合は両サイドに跳ね上げた3列目シートを避けるため、2列目シートを横スライドさせて中央に寄せる必要がある
2列目シート中央には折り畳み式のテーブルを用意
3人掛けの3列目シートは5:5の分割式。中央のヘッドレストを使わないときに収納するスペースがラゲッジスペースの助手席側に用意されている
3列目シートを跳ね上げて格納すれば、大型の荷物も余裕で載せられる広いスペースができあがる
片側だけを格納して長尺物も積み込める
フル乗車時でも手荷物程度なら十分に置けるラゲッジスペースを確保
フロントシートのフロア下にハイブリッド用のバッテリーを配置しているので、ラゲッジスペースにフロア下に「スーパーラゲージボックス」を用意。ハイブリッド車は111Lの容量がある。右側の黒いボックスは12Vの補機用バッテリー
3列目シートは女性の力でもワンタッチでラクラク格納可能。ラゲッジスペースへの影響もほとんどない

ガソリン車

基本的なスタイルはヴォクシー、ノアと変わらないものの、見た目の印象はかなり異なる。サイドビューではウインドー下部のステンレス製ベルトモール、リアではメッキモールまでカバーするバックドアガーニッシュなどが専用アイテムとなる
ヘッドライトとグリルを一体化して見せるT字型のフロントデザインを採用
ガソリン車のエンブレムはベースカラーにブラックを使用
アンダーフロアに整流フィンやアンダーカバーを採用して操縦性や安定性を高めるとともに、燃費の低減を実現する
ヘッドライトのエクステンションをスモーク塗装してヴォクシー、ノアと差別化。LEDヘッドランプ(ロービーム)とLEDクリアランスランプは全車標準装備
ドアミラーは電動格納式のリモコンタイプ。サイドターンランプも内蔵
ドアミラーの根元部分にエアロスタビライジングフィンを装備
リアハッチ左側にエスクァイアの車名バッヂを配置
リアコンビネーションランプのガーニッシュ部分はヴォクシー、ノアと異なり、リアウインドーの面積が広がったように見える処理となる
ウォッシャー連動簡潔リアワイパーを全車に標準装備
2.0リッター直列4気筒DOHCエンジンを横置きレイアウト。ハイブリッド車と異なり、補機バッテリーはエンジンルーム内に配置される
タイヤサイズはハイブリッド車と同じ195/65 R15。標準装備するアルミホイールはハイブリッド車と異なるデザインになる
マフラーのテールエンドは後方から見てもほとんど分からないように、バンパー内にほぼ収るようデザインされている
インパネまわりのデザインはヴォクシー、ノアと変わらないものの、シート表皮や加飾類の変更により上質感の高い仕上がり
Giのステアリングは本革+黒木目調加飾のコンビネーションタイプ
アナログ3眼式のオプティトロンメーターを採用。左側はハイブリッド車と異なりタコメーターが配置され、シフトポジションインジケーターも備える
マルチインフォメーションディスプレイはハイブリッド車と同じデザイン。ただし、エネルギーモニターの代わりに燃費のよい運転がひと目で分かる「エコドライブインジケーターゾーン」表示が追加される
シフトセレクターはマニュアルポジション付きのゲートタイプ。Giはシフトノブにも木目調加飾が付く
ガソリンのXiのみ、スマートエントリーシステムがオプション設定となる。標準装備は一般的なキーシリンダータイプ
Giはスマートエントリーシステムが標準装備になり、スターターはプッシュボタン式。アイドリングストップも装備する。パワースライドドアはハイブリッド車と同じくGiは両側、Xiは助手席側のみ
パーキングブレーキは足踏み式
ステアリングコラム左側にはエコモードスイッチを配置。ハイブリッド車ではEVモードスイッチになる
全車オーディオレス仕様が標準。ガソリン車には写真の「T-Connect SDナビゲーションシステム+エスクァイア・パノラミックライブサウンドシステム」がオプション設定される
センターコンソール下側にはシートヒーターとなる「快適温熱シート」のスイッチを設定。この装備はハイブリッド車とガソリン車のGiに標準装備
エアコン操作パネルの上には小物を収納できるセンタートレイを用意
インパネ右側下部には引き出し式のポケットがある。ETCはオプションで、非装着の場合はカードホルダーになる
助手席前方にリッド付きのアッパーボックスを用意
グローブボックスの上に大容量のオープントレイが設定されている
Xiのシート表皮は消臭機能付のファブリック。シートカラーはブラックのみ
シート表皮は立体感のあるデザイン。ステッチはシルバーのような淡色
ドアトリム上部にも加飾パネルを使って高級感を演出
ドアアームレストにはドアミラーとパワーウインドーのスイッチを配置
8人乗りモデルの2列目は6:4分割チップアップシート。中央にカップホルダーやオープンボックスを備える格納式センターボックスを用意
スライドやチップアップ、リクライニングと多彩なアレンジを実現するため、シート脇にはレバーを2本用意する
スライドドアトリムにはパワーウインドースイッチのほか、下側にドリンクホルダーのスペースも設定
引き上げ式のロールサンシェードを全車標準装備
リアオートエアコンはハイブリッド Giのみに標準装備。それ以外のグレードはリアクーラーが標準となる
3列目はシート表皮以外はどのモデルでも変わらない
ガソリン車の「スーパーラゲージボックス」には補機バッテリーがなく、ハイブリッド車よりわずかに多い134Lの容量となる

TRD仕様

ハイブリッド XiをベースにTRD製パーツを装着したモデル。ボディーカラーはシルバーマイカメタリック
エアロパーツやアルミホイールなどを装着。車高を約20mmダウンさせるTRDスポルティーボサスペンションセットも用意
フロントグリル&ガーニッシュはメッキ調塗装とピアノブラック塗装のコンビネーションタイプ。グッとスポーティな印象になる
サイドスカートはボリュームのあるデザイン
リアバンパースポイラーは下側にディフューザー風の処理が施されている
17インチアルミホイール&タイヤセット。タイヤサイズは205/50 R17

車いす仕様車(スロープタイプ)

ウェルチェアはクルマのシートと同じ強度試験をパスしているという

 福祉車両のウェルキャブも多彩にラインアップし、車載専用に設計されたトヨタ純正の車いす「ウェルチェア」もリリースされる予定。ウェルチェアが持つ最大の特長は座面のチルトダウン機構で、車載時に操作することでクルマのシートに近い着座姿勢を実現できる。座る人の視線を下げることでほかの同乗者とスムーズなコミュニケーションが図れるほか、上半身の動きを抑制して疲労も軽減できる。一般的な車いすと異なり折り畳みできない設計となっているため、基本的にはエスクァイアをはじめ、ヴォクシー、ノアなどに設定される車いす仕様専用となる。

車いす仕様車に固定した状態。座面後方をチルトダウンしたことで視線位置がほかのシートに近くなり、乗車中の不安感も軽減される
手動スロープによってスムーズに乗り降りできる
介助用のためタイヤは小さめ。横幅も一般的な車いすよりタイトだが、その分ホールド感があって座り心地は上々。シートはチルトダウン状態
チルトダウンしないときの背もたれは約9°。チルトダウン時は約24°となり、座面後端が100mmダウンする
後方にはブレーキ(黒)とチルトダウン用(白)のレバーを設定
チルトダウンにはダンパーを使い、スムーズな上下動を実現
万が一の事故のときに対応するよう剛性を確保するため、溶接部分はかなり頑丈な作り。シートベルトを通すスペースも用意されている
リアタイヤにドラムブレーキを設定。タイヤの前にあるレバーは停車時に動かないよう固定するロック
背もたれにはウェルチェアの刺繍が入る

(安田 剛)