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写真で見る ホンダ「シビック TYPE R」(5代目)

 本田技研工業「シビック TYPE R」は、コンパクトなハッチバックスタイルを持つスポーツカー。いわゆる大衆車である「シビック」をベースに、専用エンジンやサスペンション、エアロパーツなどを装着することで、高いパフォーマンスを実現したモデルだ。

 1997年に185PSを発生する1.6リッターVTECエンジン「B16B」を搭載した初代がデビュー。2001年には英国生産&2.0リッターに排気量アップした2代目へとチェンジ。3代目は日本市場向けのシビックからハッチバックボディーが消滅したことから、セダンボディーにチェンジ。エンジンは2代目同様「K20A」を搭載するが、最高出力は215PSから225PSにまで高められた。2009年にはハッチバックボディーを持つ英国生産の「CIVIC TYPE R EURO」も限定販売されている。

 この秋、いよいよデビューを迎える新型シビック TYPE Rは、初代からのスピリットを受け継ぎ5ドアハッチバックボディーを採用。ボディーはもちろん、シビックそのものが日本仕様に存在しないため、CIVIC TYPE R EUROと同じく英国生産となる。

 求めたのは「FF量産車最速」。ニュルブルクリンクをターゲットに最速ラップを刻むため、エンジンパワーは300PSオーバーに設定。そこでパワーユニットは直噴2.0リッターVTECエンジンに、TYPE R初となるターボチャージャーをドッキング。最高出力228kW(310PS)/6500rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2500-4500rpmを発生するとともに、アルミ製ピストンや鍛造コンロッドによる軽量化、電動ウェイストゲートによるレスポンスの向上など、各部に渡る最適化が施されている。

 組み合わされるトランスミッションは6速MT。シフトストロークは「NSX-R」と同等の40mmに設定するとともに、1速&2速をトリプルコーン、3速&4速をダブルコーンとすることで、クイックかつスムーズなフィーリングを実現している。駆動方式はもちろん2WD(FF)となる。

 サスペンションはフロントがナックル部を独立させた「デュアルアクシス・ストラット」、リアはトーションビームを採用。ダンパーはストロークセンサーおよび加速度センサーなどからの情報を元に、4輪それぞれのダンパー減衰力をリアルタイムに調節する「アダプティブ・ダンパー・システム」を採用。ニュルブルクリンクのような起伏の多い路面でも、フラットな乗り味と高いタイヤ接地性を確保することが可能になった。

 ボディーサイズは4390×1880×1460mm(全長×全幅×全高)。重量増を抑えながら剛性を高めるために、補強を最小限にとどめる一方、ピラーまわりなどに構造用接着剤を採用したのも新型シビック TYPE Rの特長。ロボットが使えない複雑な場所は専任スタッフが担当。日本流に言えば「匠」による手作業により、1台1台作り上げられていくわけだ。

 こうして作り上げられた新型シビック TYPE Rがニュルブリンクで叩き出したタイムは7分50秒63。見事にFF量産車最速をマーク。0-100km/hは5.7秒、最高速も270km/hを達成するパフォーマンスを手に入れている。

 量産車でありながらハンドメイドな部分が残る新型シビック TYPE R。428万円のプライスタグはかなりお買い得と言えそうだ。販売台数は全国限定で、ニュルのタイムにあやかった(?)750台と争奪戦必至の状況。販売方法は、まず専用Webサイトで2015年10月29日0時~11月23日23時59分まで商談の申し込みを受け付ける。限定台数を超えた場合は抽選となり、11月30日12時に当選番号を発表。その後、本人確認や販売店からの連絡の後、商談期間が2015年12月7日~2016年1月17日に設定されている。納車は2回に分けて行われ、第1期が2015年12月~2016年1月、第2期が2016年2月~2016年3月の予定となっている。

撮影車両のボディーカラーはチャンピオンシップホワイト。このほかクリスタルブラック・パールも選択可能
白と黒で構成された精悍なフロントマスク
アンダーグリルからはインタークーラーが覗く
グリルには赤いホンダエンブレムとTYPE Rバッヂが付く
最高速270km/hでの走行性を高める大型のオーバーフェンダーとサイドガーニッシュ
フロントフェンダー後方には上下にエアアウトレットが付く。エンジンルームの熱を排出するとともにボディーサイドの整流効果も高める
ドアハンドルはブラック
アンテナはシャークフィンタイプ
リアドアのハンドルはウインドー部に。遠目に見ると3ドアハッチバックのように見える
ガソリンは無鉛プレミアム仕様。タンク容量は50L
アグレッシブなイメージを強調したリアまわり
大型のリアウイングは最大100kgfものダウンフォースを発生する
ウイング翼端は複雑な形状
リアハッチにもTYPE Rバッヂが付く
リアコンビランプも複雑な形状
リアコンビランプ下に付けられたフィン状の空力パーツ。「これがないとダメ」なぐらい効果があるという
フォグランプも標準装備
ヘッドライトの点灯パターン。内側がハイビームになる
リアコンビランプの点灯パターン
2.0リッター直列4気筒ターボのK20Cユニット。最高出力228kW(310PS)/6500rpm、最大トルク400Nm(40.8kgm)/2500-4500rpmを発生
エンジン単体
電動ウェイストゲート付ターボチャージャー。低慣性&高出力を得られるモノスクロールタイプ
インジェクターとバルブ。バルブはナトリウム封入タイプ
ピストンは強いタンブル流を発生させる冠面形状を採用
吸気は背面側
高出力対応ヘリカルLSDが組み込まれたトランスミッション部分
高出力エンジンながらボンネット裏はシンプル
タイヤはコンチネンタル製のニューモデル「ContiSportContact 6(コンチ・スポーツ・コンタクト・シックス)」。サイズは235/35 ZR19。アルミホイールは特殊な製法で高剛性と軽量化を実現した鋳造タイプ
フロントブレーキはブレンボ製モノブロック4ピストンキャリパーとφ350×32mm厚のドリルドローターの組み合わせ
リアブレーキにはφ296×11mm厚ディスクを採用
空気圧はフロントが240kPa、リアは220kPa
スポーツサウンドを追求した4本出しマフラーとディフューザー形状のリアアンダースポイラー
ブラック基調にレッドを加えたインテリアはレーシーな雰囲気満点
本革巻きの小径ステアリング
シフトノブはアルミ製
アルミ製スポーツペダルが標準装備される
プッシュスタートシステムを採用
シフト前にシリアルプレートを装着
インパネはメーター系と情報系を上下に分割して配置する
3眼メーターは中央に大きくタコメーターを配置
情報部にはデジタルスピードメーターとレブインジケーター
エンジンのトルク特性やレスポンス、ダンパーの減衰力特性などをスポーツ走行向けに切り替えられる「+Rモード」スイッチ
+Rモード時はメーター照明が赤に変化
情報部にも赤いラインが入り+Rモードを知らせる
マルチインフォメーションディスプレイには7つの車両情報と走行タイムを計測できる専用表示を用意
フルオートエアコンが標準。その下にあるのはアイドリングストップOFF用ボタン
センターコンソールにはフタ付のドリンクホルダー
前部にはDC12Vソケットがある
スマートキーも赤エンブレムになる
センターコンソール後方にはフタ付の収納。「ナビ装着用スペシャルパッケージ」を標準装備するためビデオやUSB端子が付く
オーディオレス仕様ながら4スピーカー+2ツィーターが標準装備される
バックミラーとマップランプ
サンバイザー裏には照明付きバニティミラーを装備
シビック TYPE R EUROのシートをさらに進化させた専用設計の「Honda TYPE R シート」。ベース車よりヒップポイントが20mm下げられている
表皮はラックス スエードとメッシュのコンビネーション
専用バックボードを採用
運転席ドアトリムにも赤ステッチが入り質感がアップ
リアシートは2名掛け
リアドアトリムもフロント同様の作り込み
実用的な広さを持つラゲッジスペース
リアシートはダイブダウン付6:4分割可倒式。前倒しすればフラットで広いラゲッジスペースが確保できる
ラゲッジフロア下にはサブトランクが用意されている

ホンダアクセス

 ホンダアクセスからは純正オプションがリリースされる。アイテムは「リアルカーボン」「REDアクセント」の2タイプが用意され、装着することによりTYPE Rをより楽しむことが可能だ。

オプション装着車
ノーマルよりシャープなイメージに変身
ラリーレッドのアクセントが入ったフロントグリルガーニッシュ
LEDフォグランプとフォグランプ周囲をカーボン化するバンパーガーニッシュ
ドアミラーカバー
テールゲートスポイラーはカーボン製
リアにもレッドのワンポイントを加えるリアバンパーガーニッシュ
ピアノブラック塗装のフューエルリッド
鍛造製アルミホイール「MR-R02」。サイズは19×8 1/2、インセット60mm、PCD120mm
スポーク部分にレッドを加えるステアリングホイールガーニッシュ
レーシーな雰囲気をアップさせるカーボン製のインテリアパネル
専用起動画面が加えられたナビゲーション「VMX-165VFi」

歴代シビックTYPE R

ホンダコレクションホールに収蔵されている歴代シビック TYPE R
英国のホンダ オブ ザ ユー・ケー・マニュファクチャリング・リミテッドで生産されたCIVIC TYPE R EURO(2009)
タイヤはブリヂストン「ポテンザRE050A」、サイズは225/40 R18
シビックセダンをベースに開発された3代目TYPE R(2007)
タイヤはブリヂストン「ポテンザRE070」。サイズは225/40 R18
2代目TYPE R(2001)。こちらもホンダ オブ ザ ユー・ケー・マニュファクチャリング・リミテッドで生産されたモデル
タイヤはブリヂストン「ポテンザRE040」。サイズは205/45 R17
初代TYPE R(1997)。エンジンはリッターあたり116PSを発生する1.6リッターのB16Bを搭載
タイヤはブリヂストン「ポテンザRE010」。サイズは195/55 R15

(安田 剛)