レビュー

【タイヤレビュー】ミシュランの新オールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」「クロスクライメート3スポーツ」を雪上で試してみた

2025年10月に発売されたミシュランの新オールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」「クロスクライメート3スポーツ」を雪上でチェック

氷上でもオールシーズンタイヤをチェック

 2025年10月より販売を開始しているミシュランのオールシーズンタイヤ「CROSSCLIMATE(クロスクライメート)3」と「CROSSCLIMATE3 SPORT」を雪上で試してきた。ドライやウエット性能は以前お伝えした通り、ウエット性能やドライの高速安定性、そして静粛性についても、サマータイヤとさほど変わらぬ性能を見せたこれらのタイヤは、果たしてターゲットとするスノー路面においてどんな走りを展開してくれるだろうか?

16インチから20インチの全36サイズを展開する「CROSSCLIMATE3」。排水性、排雪性向上のため、Vシェイプトレッドパターンにセンターグルーブを新採用。従来品よりもブロック幅をより細かくすることでブロックピッチを増やし、接地面内のブロックエッジを増加させ、スノーグリップ性能の向上を図った。タイヤラベリング制度ではシリーズ初の転がり抵抗性能「AA」と「A」を獲得(AA:36サイズ中10サイズ、A:36サイズ中26サイズ)、ウェットグリップ性能は「b」を獲得している
こちらは18インチ~21インチの全31サイズを用意するオールシーズンカテゴリー初となるスポーツ性能を備えた「CROSSCLIMATE 3 SPORT」。こちらも排水性・排雪性向上のためVシェイプトレッドパターンにセンターグルーブを採用。新開発されたトレッドコンパウンドによりクロスクライメート初のウェットラベリング「a」を獲得し、転がり抵抗ラベリングは「A」を確保。スポーツタイヤに匹敵する高速安定性とハンドリング性能を備えた

 テストコースでまず試したのは、本来「CROSSCLIMATE」シリーズが推奨していない氷上ブレーキだった。スノーフレークマークが掲げられ、高速道路における冬タイヤ規制があったとしても通れてしまうこのタイヤ。けれども、環境変化は容赦なく訪れるわけで、ミシュランが推奨していないアイス路面の環境になる場合もある。だからこそ、そんな路面をわざわざわれわれに試させたのだろう。

 氷板路へ向けて30km/hくらいまで加速したところからフル制動を試みれば、推奨していない割には止まってくれるかなという感覚があった。感覚としては一世代前のスタッドレスタイヤ。夏タイヤならホームラン級に制動距離が伸びてしまうような状況でこれはなかなか。

 けれども、タイヤメーカーとしては推奨していないので、あくまで慎重に走るべきだということは間違いない。走れることは走れるし、止まれることは止まれる。けれども、やはりどこか頼りないのは変わりない。それを解消したいのであれば、やはり氷も受け止めるスタッドレスタイヤにするべきだということなのだろう。

氷上ブレーキでは30km/hくらいまで加速したところからフル制動。一世代前のスタッドレスタイヤといった感覚で止まることができた

 続いて雪上のワインディングコースを「CROSSCLIMATE3」の205/55R16サイズで走る。そこで感じたのはオールシーズンタイヤが苦手とする横方向のグリップが、旧製品に対してかなり高められていたことだった。ステアリング操舵角をそれほど必要とせずに旋回を開始。テールの粘りもあり、ダブルレーンチェンジ的に動かしたとしても、オツリを食うような動きが少なく走れるところがなかなか。

旧製品に比べ横方向のグリップが高められていることが体感できた

 カントリー登坂コースにおいて225/65R17サイズをRAV4を使って走ったが、そこでもトラクションはなかなか。スタッドレスタイヤの「X-ICE SNOW」と比較しながら走ったが、全体的なグリップは一段下がるものの、慎重に走れば十分にこなせる感覚がある。試しに急斜面で一度停止し、そこから発進もしてみたのだが、きちんと路面を掴みながらジワリと動いてくれたのだから。

登坂コースでのトラクション性能のよさも目を見張るものがあった

 こうした印象は後に乗った低偏平タイヤの「CROSSCLIMATE3 SPORT」の225/40R18サイズであっても同じ。こちらはトラクション方向は苦手なサイズのはずだが、それもわるくない。このタイヤのみ採用されている専用コンパウンド「サーマル アダプティブ コンパウンド2.0」が効いているのだろう。優れたスノー性能に加え高いドライ&ウエットグリップを展開するというそれは、確実に路面を捉えてくれる感覚に溢れていた。スノー路面における低偏平タイヤのネガをしっかりとカバーしていることは明らかだった。

 最後は雪上旋回試験場において、旧製品とスタッドレスタイヤの「X-ICE SNOW」との乗り比べを行なったが、性能としては両方のちょうど中間あたりの仕上がり。ケース剛性がしっかりとしている感覚がありつつ、低ミュー路であってもしっかりと路面を捉える感覚があるところはうれしい。「PILOT SPORT」シリーズにも使われているアラミドとナイロンを組み合わせたハイブリッドキャッププライである「ダイナミック レスポンス テクノロジー」を採用することで、ドライ性能におけるたしかな剛性感をキープしつつ、雪上をきちんと走れてしまう性能だ。

雪上旋回試験場では旧製品の「CROSSCLIMATE2」とスタッドレスタイヤの「X-ICE SNOW」にも乗り、その違いを体感

 それでいて低燃費タイヤのグレーディングでは、転がり抵抗ラベリング「A」を維持しながら、ウエットラベリングはシリーズとして初めて「a」を獲得したことはすばらしい。こうした全方位バランスの高さこそ「CROSSCLIMATE」シリーズの魅力といえるだろう。

昨年夏にドライ、ウェット、そして今回雪上、氷上とさまざまな路面で「CROSSCLIMATE」シリーズを試すことができたが、総じてバランスの高さがうかがえた。オールシーズンタイヤに興味のある方はぜひ試してみてほしい
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。