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10V型大画面ナビなのに400車種以上に対応!! パナソニック「ストラーダ F1Xプレミアム10」レビュー【後編】
「車内で音楽・映画鑑賞」が現実に。AV Watch編集長が注目する「情報量」の多さ
- 提供:
- パナソニック株式会社
2020年2月3日 00:00
パナソニック「ストラーダ」の「F1Xプレミアム10」は、もはやタブレットではないかと思える狭額縁の10V型ディスプレイを備えた最新モデルのカーナビだ。
前編と中編で紹介したように、単に大画面であるだけでなく、前後左右の首振りで見やすい角度に調整でき、スマートフォンと連携した音声検索にも対応。さらに信号の切り替わるタイミングや道路標識の表示、前後2カメラのドライブレコーダーとの連携による多彩な安全・安心サポート機能も備えた、プレミアム感漂うフラグシップモデルとなっている。
そして、F1Xプレミアム10にはさらにプレミアムな要素が盛り込まれている。それが今回紹介するビジュアルとオーディオに関連した機能・性能の数々。オーディオビジュアルといえば、僚誌にAV Watchがある。そこでAV Watchの編集長である山崎健太郎氏に、F1Xプレミアム10のBlu-ray対応モデル「CN-F1X10BD」を体験してもらった。最新カーナビの映像と音を同氏はどのように感じ取ったのだろうか。
目を見張る映像の「黒」の表現
F1Xプレミアム10の最大の特徴である狭額縁の10V型ディスプレイ。解像度も大画面化に合わせて引き上げられ、1280×720ドットのHDとなった。従来のカーナビの多くはVGA(640×480ドット)というスマートフォンやPCのトレンドからすれば極端にレガシーなスペック。しかしこれを大幅にグレードアップさせたことで、特にBlu-rayコンテンツの再生時にはこれまでにない高精細映像を実現している。
従来は高解像度のBlu-ray映像もVGA解像度にダウンコンバートして表示したり、より大きな解像度をもつディスプレイであっても、1度は内部的にVGAにダウンコンバートし、その後、画面解像度に合わせて引き伸ばす処理を行なっていたのだそう。ところが、F1Xプレミアム10ではVGAのような低解像度には1度も変換せず、Blu-ray映像のソースがHD解像度であればそのままの解像度で映し出す。そのため映像内のテロップの細かい文字もつぶれずに表示できるわけだ。
また、F1Xプレミアム10に搭載されているのは、こうした処理の単純化による「素の映像のよさ」を引き出す仕組みだけではない。液晶TV「ビエラ」を長年開発してきたパナソニックならではの技術やノウハウを投入していることも、高画質化の大きな要因となっている。
その技術・ノウハウの1つと言えるのが、ディスプレイの液晶モジュール部のみを調達するオープンセルの採用と、そこに独自開発のバックライトやフィルムを組み合わせていること。これによりパナソニック自身が映像の品質を細部までチューニングでき、暗部が正確な暗部として表現されない「黒浮き」のような現象を抑えることにつながっている。
また、「パナソニック独自の技術『PEAKSプロセッサー』を採用していることで、自動的なホワイトバランス調整で人肌などを自然に表現できています。インターレース方式からプログレッシブ方式への映像の変換処理も行ない、スポーツのような動きの速いシーンのブレも確実に低減している」と山崎氏が話すように、ソフトウェア的な面での工夫も施されている。
最初は10V型の“迫力”や、それら技術的な部分に驚いていた山崎氏だが、実際にBlu-ray映像を視聴して引きつけられていたのは、暗部の黒の沈み具合だったようだ。「闇夜に輝くネオンが鮮烈。黒をしっかり引き締めていることで、明るい部分のインパクトが増しています。人の肌の影になっている部分も、単に暗いだけでなく、その暗さの中にも豊かな階調表現があります。映像に立体感が出てきているように感じるほど」。
「暗いシーンの多い映画はもちろんですが、暗闇にきらびやかなステージが出現するアーティストのライブ映像もすごく楽しめる」と山崎氏。「“カーナビが大画面になった”というよりも、“液晶TVがカーナビになった”と考えた方がいいかもしれない」とまで言い切った。カーナビのレベルを超えた高品質な映像を十分に堪能できたようだ。
まるでピュアオーディオのようなフィーリングの「音の匠」
そんな高画質映像に負けないよう、音作りの面でもこだわり抜いているのがF1Xプレミアム10でもある。
まず、新世代となった「ストラーダ・サウンドエンジン」では、開発者によると「パナソニックが求める音に最も近い」というバーブラウン製32bit D/Aコンバーター(DAC)と高速演算DSPを搭載。感性にまで訴えかけるような高音質を実現するハイレゾ音源に対応し、192kHz/24bitの音源をダウンコンバートすることなく、ハイレゾ音源をハイレゾのまま再生するのがポイントの1つとなっている。
ほかにも、ストラーダ専用カスタムパワーアンプ、カスタムコンデンサ、カスタム電子ボリュームなど、高音質を追求するためのパーツをこれでもかというくらいに詰め込んでいる。特にカスタムパワーアンプは2017年半ば頃から試行錯誤を繰り返しながら開発し、高音質化を図ってきた「虎の子」とも言えるパーツだそうで、低音域の歪み率を従来の約2.5倍にまで改善しているのだとか。
こうしたハードウェア面での進化のほかに、同社のその道のプロがチューニングし「スタジオ・マスターサウンド」に限りなく近づくよう音質を磨き上げたという「音の匠」機能も見逃せない。F1Xプレミアム10で音楽コンテンツを再生したときに、純粋なオーディオ試聴環境のような場所で聞いたかのようなサウンド体験が得られるイコライジング機能だ。
車内で使用することを想定し、「音の匠」では大まかに3種類のサラウンド設定を用意している。ピュアオーディオのようなサウンドを再現する「TAKUMI」、主に高音域を補正してメリハリをもたせる「KIWAMI」、車内での会話の妨げになりにくい穏やかな「NAGOMI」で、これらはいつでも自由に切り替えられる。
3種類のサラウンド設定は、いずれも高音質であることには変わりないが、その中でもとにかくクオリティ重視で聴きたいときの「高音質モード」、あるいは走行中のロードノイズなどの低減を図りつつ高音質も両立させたいときの「騒音適応モード」など、好みやシチュエーションに応じた音質モードを選べるようにもなっている。
「高音質モード」の「音の匠」で試聴した山崎氏は、カーナビとはおよそ信じられないような「情報量の多さ」に着目した。「たとえば今井美樹の曲では、ピュアオーディオライクな、余計な色づけのないリアルなサウンド。特に空間表現能力が高いですよね。音場がとにかく広くて、左右だけでなく奥行きも深い。音像定位がクリアで輪郭もシャープ。声や楽器の音が空間を満たすように広がって、やがて消えていく様子がはっきり見えてきます」。
さらに、エリック・クラプトンの「チェンジ・ザ・ワールド」では、「ギターの音が1つひとつ、非常に細かく描写されている。中低域の音も1つひとつがパワフルに押し寄せて、肺や身体にビシビシ響いてくるのが気持ちいい。こうした細かな音をよく聞き取れるのは、サウンド自体の情報量が多いおかげ」とコメント。
サウンドの「気持ちよさ」については、「ダウンコンバートせずに処理し、豊富な情報量の音をキレよく押し出す駆動力の高いアンプを搭載しているのが要因。この駆動力が中低音をしっかり下支えして、サウンド全体にドッシリ感が出ている。実に頼りがいがある感じ」とも話し、「これはまさにピュアオーディオの、高級アンプで聞いているのと同じフィーリングですよね」と語る。
カーナビ新時代のベンチマーク機に!?
F1Xプレミアム10は、カーナビなのにここまでやるのか? と言いたくなるほどの高性能なムービープレーヤーであり、オーディオプレーヤーでもある。とはいえ、走行中の車内はノイズが多く、ベストコンディションで聞けるタイミングは少ないわけで、そこまでの高音質が必要なのか、と思ってしまう人もいるのではないだろうか。
そこで活用したいのが、先述した「騒音適応モード」だ。これは、車内のマイクが拾ったノイズを元にイコライジングを最適化することで、ロードノイズなどを目立たなくするもの。走行中に「高音質モード」から「騒音適応モード」に切り替えてみると、低中域あたりの耳に付くロードノイズの一部がスッと抑えられ、その分スピーカーから聞こえてくるサウンドの量感が増し、山崎氏の言う「気持ちよさ」が持続する。
「映像と音声の両輪でクオリティアップを果たしたことで、車内で“映画が見られる”というだけの時代はもう終わり。今や車内で“ちゃんと映画鑑賞できる”レベルになっています」と太鼓判を押す山崎氏。おそらくこれから本格化するだろうカーナビ10インチ時代、F1Xプレミアム10がカーナビとしての基本性能に止まらず、安全・安心サポート機能やエンタメ機能においても、業界のベンチマーク機として君臨することになるのかもしれない。