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TOYO TIRESのSUV/CCV用スタッドレスタイヤ「オブザーブ GSi-6」、その実力を冬の北海道で試してみた

TOYO TIRESのSUV&CCV向けスタッドレスタイヤ「オブザーブ GSi-6」の実力を試した

オブザーブ GSi-6はスノー制動性能を7%、ウェット制動性能を11%向上

 TOYO TIRES(以下、トーヨータイヤ)がSUV&CCVに向けたスタッドレスタイヤ「OBSERVE(オブザーブ) GSi-6」を本格的に発売する。すでに2サイズ(195/80R15と175/80R16)はリリースされているが、今年の8月より15サイズを新たに投入する。近年のSUV(スポーツユーティリティビークル)/CCV(クロスカントリービークル)ブームに対応した形といっていいだろう。

 この手のクルマは全高が高く、さらに車重も重い傾向にある。したがってタイヤにはそれに対応するタフな作りが必要になってくるが、一方でスタッドレスタイヤとなれば雪道をシッカリと捉えるしなやかさも重要となってくる。そこをどう乗り越えてくるのかが見どころだ。また、近年は平均気温の上昇によって北海道であったとしてもシャーベットやウェット路面が見え隠れする状況がある。ちなみに札幌の0℃を超える日数は2016年が23日だったのに対し、2020年は37日にまで伸びてしまったそうだ。そこにどう対応していくかも課題だったという。

 オブザーブ GSi-6はこうした課題に対してまず、アグレッシブなトレッドパターンを用意。ジグザグの4本主溝が特徴的で、これはスノー路面におけるトラクションと排水性を確保している。また、センターリブにはセレーテッドスタビリティリブが与えられ、その内部にはスウィングサイプを搭載。共にトーヨータイヤ初となる設計だが、これもスノー路面のトラクションと操縦安定性の確保に繋がるという。スウィングサイプはサイプの閉じ込みを抑制し、エッジ効果も見込んでいる。さらにその隣にはスパイラルエッジサイプという全方位に対して効果を発揮するサイプも搭載している。かつて360°サイプというものをトーヨータイヤでは採用していたことがあるが、その進化版的な位置付けといってよさそうなルックスに見える。

オブザーブ GSi-6は195/80R15と175/80R16の2サイズを展開していたが、8月から新たに15サイズを追加して発売。近年は冬季の気温変動が大きく、路面の状態も湿った雪が交じるシャーベット状態から凍結したアイス状態まで刻々と変化する。TOYO TIRESではこうした不安定な路面状況に対応できる性能が求められていると考え、日本の降雪期に求められる性能を追求したSUV/CCV専用のスタッドレスタイヤとしてオブザーブ GSi-6をリリースした
オブザーブ GSi-6では4本の主溝をジグザグ化してスノートラクション性能と排水性能を両立。また、センターに設置されたジグザグリブによってスノートラクション性能と操縦安定性を向上させる「セレーテッドスタビリティリブ」とともに、サイプの閉じ込みを抑制して効果的に除水・エッジ効果を発揮する「スウィングサイプ」、らせん状のサイプが全方向にエッジ効果をもたらす「スパイラルエッジサイプ」、コーナリング時にエッジ効果を発揮する「ショルダーライトニングエッジ」などを新採用
橋本洋平 × TOYOTIRES オブザーブ GSi-6 in 北海道(3分47秒)

オブザーブ GSi-6発売サイズ

インチタイヤサイズ発売月
15195/80R15 96Q発売済み
16215/70R16 100Q8月
225/70R16 103Q9月
265/70R16 112Q8月
175/80R16 91Q発売済み
17225/65R17 102Q8月
235/65R17 108Q XL10月
265/65R17 112Q8月
265/70R17 115Q10月
18225/55R18 98Q8月
225/60R18 100Q8月
265/60R18 110Q9月
265/65R18 116Q XL9月
255/70R18 113Q9月
20255/45R20 105Q XL9月
275/50R20 113Q XL8月
235/55R20 102Q8月

 コンパウンドにはトーヨータイヤの十八番といっていいクルミ殻が採用されているところがポイントだ。氷上路において引っかき効果がこれもまた期待できそうだ。また、従来品に比べてシリカを増量し、ゴム全体に分散させることで柔軟性を持たせた。この効果により路面への密着性を高めたほか、氷上の水膜除去に対応する吸水カーボニックパウダーを搭載していることもポイントの1つ。ウェットグリップの向上と氷雪路における性能を共に向上させたというコンパウンドには期待だ。さらにSUVやCCVの重量に対応した高硬度ビートフィラーや、高剛性スチールベルト&高強力キャッププライをトレッド下に配している。

 結果としてスノー制動性能は従来の「OBSERVE GSi-5」に対して7%短縮、ウェット路面での制動性能については11%も短縮している。果たしてその性能は感じ取れるものなのか? 北海道の千歳周辺で試乗した。

さまざまな新採用技術などにより、オブザーブ GSi-6では従来の「OBSERVE GSi-5」に対してスノー制動性能を7%、ウェット制動性能を11%短縮させることに成功

シッカリ感が高い最新スタッドレス、オブザーブ GSi-6

 走り始めはウェット路面が点在するような状況だったのだが、そこでの不安感は一切ない。タイヤがヨレて直進安定性が不安になるようなこともなく、しっかり感がステアリングに伝わってくるところは頼もしい。

 トーヨータイヤは古くからクルマの種類別に専用タイヤ設計を続けているメーカーだが、SUV&CCVへ向けたタイヤということもあって、剛性感あふれる仕上がりを展開していたことは好感触。グニャグニャとした頼りなさは一切なくシッカリ感が高い、これぞオブザーブ GSi-6の特徴といっていいだろう。だからこそ直進安定性に優れ、ステアリングを保蛇する程度で真っすぐ突き進むことが可能なのだ。

ウェット路面でタイヤがヨレて直進安定性が不安になるようなこともなく、しっかり感がステアリングに伝わってくる

 そのフィーリングはスノー路面に突入しても感じられるもので、狙ったラインをきちんとトレースする感覚に優れており、ステアフィールに曖昧さが出ていない。スタッドレスタイヤであることを意識せずに操れ、さらに縦方向と横方向のグリップのつながりも連続的かつリニアであることが操りやすいと感じられた。クセのないハンドリングはこのタイヤの魅力の1つといっていい。

 試乗途中では多少スライドしてしまうアイス路面にも遭遇したが、その際のコントロール性は高く、楽に修正しながら走ることも可能だった。また、アピールしていた制動性能も確実なものがあり、試しにフル制動を行なってみても確実に減速してくれるし、一方で豪快な発進加速をしてみても左右にブレることなく確実に路面を捉えながら速度を重ねていける感覚にあふれていた。

アイス路面でのコントロール性も高く、容易に修正操舵が効くので楽に走ることができた

 SUV&CCVはトラクション性能が優れるだけに、ついついアクセルを踏みがちになってしまうが、制動する時には巨体が持つ重量を抑え込むのにひと苦労するもの。確実なトラクションとハンドリング性能があるこのタイヤだと、安心しすぎてスピード超過になりかねないが、いざという時のことを考えて、スピードは控えめに走ることを心掛けたいもの。そんなことを思わせるほど、オブザーブ GSi-6は確実なグリップを生み出すスタッドレスタイヤだった。

Photo:安田 剛/Movie:石岡宣慶