トピック
アバルト車が富士スピードウェイに集結! 「ABARTH DRIVING ACADEMY 2024」でレーシングコースを走りまくるTECNICOクラスを体験してきた
- 提供:
- Stellantisジャパン株式会社
2024年6月6日 11:15
- 2024年6月2日 開催
アバルト(Stellantisジャパン)は6月2日、富士スピードウェイでスポーツドライビングを愛するアバルトオーナーに向けた特別イベント「ABARTH DRIVING ACADEMY 2024」を開催した。
4年ぶりの開催となるABARTH DRIVING ACADEMY 2024では、ベーシックな運転スキルを学べる「BASE(バーゼ)クラス」、サーキット走行経験がありワンランク上の技能習得を目指す「TECNICO(テクニコ)クラス」の自身の能力に合わせたクラスに加え、女性向けの「SCORPIONNA DRIVEクラス」を同時開催。地元の静岡だけではなく、関東はもちろん東北や関西など日本全国から3クラス合計89台が参加し、同伴者も合わせると129名が富士スピードウェイに集まった。なお、最も遠方の参加者は福岡からとのこと。参加者たちは、インストラクターから直接指導を受けながらドライビングスキルを磨いていた。
今回、Car WatchはTECNICOクラスに密着。一部プログラムも体験した。
午前は特設コースを使って基礎レッスン
TECNICOクラスのカリキュラムはまず座学から始まり、午前は特設コースを使ってブレーキング、コーナリング、スラロームでクルマの基本動作を学びつつ、クルマの挙動を体験。午後に富士スピードウェイのレーシングコースを使ったレッスンを行なうという流れとなる。
座学の前に行なわれた開幕式では、Stellantisジャパン 代表取締役社長 打越晋氏があいさつ。「実は私、ステランティスに入ったときに最初に買ったクルマがアバルトの124 スパイダーでした。アバルトの何とも言えない軽快さと、響いてくるサウンドがたまらなく好きで、当時は週末の天気をチェックして、晴れていると朝の5時に起きて、ルーフを開けてゆっくりと走る。そうやってアバルトを毎週堪能していました」と、アバルト車との思い出を語った。
また、「本日は電気自動車も用意しております。皆さまが乗られているガソリンエンジンとはまた違ったものでございまして、電気自動車はなかなか難しいなと思っている方も中にはいらっしゃると思いますけれども、ぜひ一度乗ってみてください。非常に楽しく、ガソリンエンジン車とはまた別のアバルトらしい電気自動車を体感できると思います」と、アバルトのEV(電気自動車)である「500e」について紹介した。
打越社長のあいさつに続き、TECNICOクラスを担当する海老澤紳一氏、加藤正将氏、蘇武喜和氏、山田弘樹氏の4名のインストラクターが紹介され、加藤氏による座学が行なわれた。
座学が終わってからはいよいよ愛車に乗ってのレッスンが開始となる。まずはアクセル、ブレーキの適切な踏み方や、ステアリング操作といった基本動作を学ぶ。ブレーキングではスタート地点からフルアクセルで加速し、決められた場所でフルブレーキを踏みながら、ステアリングをまっすぐ保って停止するという、普段では体験のできないフル加速・急停止を体験。TECNICOクラスはサーキット走行の経験がある人が集まっているからか、危なげない車両操作で安定した走行をしていたのが印象的だった。
続けてはステアリングを切った状態でのアクセル操作やブレーキ操作に対するクルマの動きを学ぶコーナリング。パイロンで作られた深いコーナーと浅いコーナー走り、荷重を意識しながら車両を操作するのだが、ここで印象的だったのはインストラクターの蘇武氏が「失敗して車両の限界を知ってほしい」と話していたこと。もちろんきれいにうまく車両を操作できればそれはそれで経験値になるのだと思うが、車両の限界を知るような操作を、安全が確保された場所でのスポーツドライビングだからこそ体験してほしいという思いが伝わってきた。
午前の愛車との最後のカリキュラムとなったのが、等間隔に置かれたパイロンを左右リズミカルに走り抜けるスラローム。パイロンを踏まず、かつ大回りにもならないように、細かくステアリングを切りながらアクセル・ブレーキ操作を行なうという、これまでのブレーキングとコーナリングで学んできたことを発揮するものとなる。ここでも参加者たちは見事な車両操作で難なくクリア。きれいな左右への切り返しを見せ、誰もパイロンに当たったり踏んだりすることはなかった。
午前のカリキュラムを一通り終えたあとは、アバルト 500eの試乗プログラムが行なわれた。特設コースはスラロームあり、大きなコーナーあり、Uターンのような急コーナーもありと、なかなかテクニカルなもの。それでも参加者たちは難なく走行をこなし、モーターの力強いリニアな加速、バッテリを積んでいるからこその低重心な安定感、それでいてひらひらと舞うような身のこなしを体験し、笑顔があふれる試乗体験となっていた。
午後は富士スピードウェイのレーシングコースを走りまくり!
午前のカリキュラムが終わるとほぼ同時に雨が降り出し、ランチを終えるころには大雨に。午後のレーシングコースの走行はあいにくのウェットコンディションとなってしまった。
午後のカリキュラムは先導走行からスタート。インストラクターの車両に続いてレーシングコースを走行し、正しいライン取りを学ぶのだが、インストラクターのラインを見て学ぶだけでなく、先導するインストラクターが無線で随時走り方をレクチャーしてくれるため、目で、耳で、ライン取りの知識が得られ、参加者たちはしっかりと走り方を理解できたのではないだろうか。さらに今回はウェットコンディションだったため、ウェットの場合の走り方を学ぶこともできたのが貴重な体験だった。
先導走行を終えると、自身の運転するクルマにインストラクターが同乗し、レーシングコースを走りながらマンツーマンで体感・習得できるパーソナルレッスンがスタート。レーシングコースを走るときのポイントや自身のクセなど、自分に合ったアドバイスを受けることができた。この同乗レッスンでは、インストラクターが自身のクルマに乗らない場合でも、同乗している車両の後ろに続いてレーシングコースを走れるため、アドバイスを受けた人はアドバイスの実践が、アドバイスを受ける前の人は先行する車両を見ながらライン取りの練習ができるようになっていた。
その後、TECNICOクラス、BASEクラス、SCORPIONNA DRIVEクラスの参加者全員でパレード走行を実施。BASEクラスとSCORPIONNA DRIVEクラスはここでカリキュラム修了となるのだが、TECNICOクラスはここからがお楽しみの時間、好きなだけレーシングコースを走れるフリー走行となる。ただ、今回は雨がひどく先行する車両のしぶきで前が見えないような状況でもあったため、1時間の予定だったフリー走行は少し早めに終了となった。
最後のプログラムの修了式では、インストラクターを務めた海老澤氏、加藤氏、蘇武氏、山田氏からそれぞれ総評が語られたほか、参加者1人ずつに打越社長から修了証が手渡された。
終日TECNICOクラスに参加して感じたのは、普段できないようなことを安全に経験し、自分に合ったアドバイスを受けることで、自分のドライビングが上達したり、自信を持ったりできたこと。それを、借りたクルマではなく、普段自分が乗っているクルマで経験できるということは、いつもの運転にちょっとスパイスを加えることになるのではないだろうか。
また、TECNICOクラスは午後はずっとレーシングコースでのカリキュラムで、先導付きで5周以上走り、さらに先導なしでも自由に走れたのは、とてもいい経験になったと思う(BASEクラスとSCORPIONNA DRIVEクラスは同乗走行のみ)。記者は一部しか体験しなかったものの、「こんなにレーシングコースを走れることってある……!?」とかなりうれしかったし、TECNICOクラスの参加料金が6万円ということに驚いた(BASEクラスは5万円、SCORPIONNA DRIVEクラスは4万円)。
そして何より、参加者の方々が本当に楽しそうだったことが印象的だった。参加者全員アバルトが好きで、ドライブが好きで、好きがあふれているイベントだった。
「これからのアバルトについて」「Stellantisジャパンが多くのユーザーイベントを開催する理由」など、打越社長に聞いた
ABARTH DRIVING ACADEMY 2024に終日参加していたStellantisジャパンの打越社長。話を聞くと、ユーザーの参加するイベントにはスケジュールが許す限り足を運んでいるとのことだった。
今回のABARTH DRIVING ACADEMY 2024では、自身もアバルト 595のステアリングを握り、参加者と一緒にプログラムを楽しんでいた打越社長にインタビューする機会が得られたのでここにお伝えする。
──アバルトの日本での販売は世界でも上位であるということですが、打越社長としてはどういったところが日本にアバルトがフィットしているとお考えでしょうか?
打越社長:アバルトは手ごろなサイズで、自分でパフォーマンスを最大限に引き出せるクルマだと僕は思うんですよね。もちろんアバルトよりも、もっとすごい馬力が出る速いクルマがあると思うんですけど、やはり日本の道で、自分のクルマのパフォーマンスを楽しめる。そして、人馬一体じゃないですが、普通のお客さまが性能を引き出せる、楽しめるクルマとしてはアバルトがやはり1番合ってるんじゃないかと思います。
──アバルトに憧れている方に対してあと一押しするとしたらどこをアピールしますか?
打越社長:憧れている方にはぜひ乗ってもらいたいと思います。あと、アバルトに乗っている方ってクルマをすごく大切に乗ってらっしゃるんですけど、あんまり見せびらかすような方じゃないっていうイメージなんですよね。そこは好きなところなんですけど、アバルトのオーナーの方が、アバルトに乗っている自分が、どうやって楽しんでいるのか、っていうのをもっと発信していただけるとうれしいですし、今回のイベントもそうなんですけど、そういう機会をわれわれも一緒に作らせていただいて、等身大に楽しめるアバルトの素晴らしさっていうのを一緒に発信する。そうすると、やっぱりこれかっこいいやと思って来てくださる方がもっと増えるかなというふうに思っています。
──フィアット 500のエンジンモデルが終了になり、次はアバルトだと言われていますが、アバルトが好きな人に対しての何かメッセージはありますか?
打越社長:今、そういう噂が世界中で流れているので、世界中で最後の生産の争奪戦が行なわれてるんですよね。われわれもちょっと困っているのですが、日本は重要な市場と見ていただいているので、ある程度はもらってはいます。そうは言ってもほかの国も欲しいので今取り合いをしている中で、Stellantisジャパンは非常に頑張って、なんとか確保しようとしています。
今であれば、お店に来ていただければまだおクルマはありますので、「明日からなくなる」ってことはないのですが、ただ、近々厳しい状況になってくるということは確実に言えると思います。今もやっぱりICEを愛する方々が多いので、そういう方々に突然「なくなりました。今日からもうありません」というのは非常に失礼なので、皆さんが最後のICEを、安心してお店に来てご購入いただけるように、部品も含めて、一生懸命準備をしています。
──ランチアの日本への導入はお考えですか?
打越社長:それは今のところ検討していません。数年前のオペルであるとか、今回のランチアとか、そういう今は導入していない新しいブランドを導入する、あるいは再導入するというのは、話題性としては非常に私はいいと思うんですが、本当に日本の大勢のお客さまがそのクルマを欲しているのか、買っていただいたお客さまにそのクルマをより楽しんでいただけるのか、と考えています。例えばランチアやオペルを日本に導入したときに、ジープキャンプや、今日のドライブアカデミーのような、つながりを作る活動をわれわれができるかといったときに、もしできないとなったらだめで、ニッチな商品がたくさんあるようなブランドではいけないと思っています。なので、慎重に考えなければいけないと思っています。
話は少し変わりますが、ジープのこの前のイベントのときに、若者から結構人気があると言ったらますます若者の方が増えてきて、4月、5月のわれわれのところにお問い合わせいただいたお客さまの年代を調べると、なんと20代が10ポイントも上がりました。われわれが情報を発信して、それを見て、見た方がさらに情報を発信して、そういうことをわれわれがやらなきゃいけないと思っています。
なので、今回アバルトでなぜドライビングアカデミーをやったかというと、アバルトが好きな皆さんにとって何が一番楽しいんだろうと考えたときに、アピールできるのはドライブがどんなに楽しいかっていうことだと。なので、こういうドライビングアカデミーで自分のクルマで楽しむということをやり続け、それをお客さまが楽しんで、情報発信して、すげぇかっこいいとか、これ楽しそうとか、そういうのをもっともっとやっていきたいと思っています。
アバルト以外にも、アルファ ロメオも6月29日に富士スピードウェイでイベントをやります。プジョーは、LION RIDEキャンペーンと称しまして、那須サファリパークへ行ってライオンつながりで楽しんでいただく。シトロエンはジープに近いのですがそこまでヘビーではないキャンプということで、嬬恋で数組のお客さまにご参加いただいて、キャンプをする。そういったことをブランドごとのマネージャーがいろいろ考えて、お客さまが楽しむことをやると、ジープのような効果が出てくるのではないかと思っています。
あと、最後のICEのフィアットで「グラッチェ・チンクエチェント」という、チクチェントありがとうキャンペーンをやろうとしています。チンクエチェントの歴史をしっかりともう一度振り返って、評価をして、それを大切にしていこうよ、というようなキャンペーンとなる予定です。
──Stellantisとして、モータースポーツに関する取り組みがあれば教えてください。
打越社長:プジョーでWEC(FIA世界耐久選手権)という耐久レースに出ていまして、2023年に続いて2024年も富士スピードウェイでやります。そういったモータースポーツも、全てのブランドではないですが、必要なものについては支援をしていきます。2023年のWECは、敵味方の関係なくトヨタの方と一緒に盛り上げていただきました。また、アルファ ロメオは検討段階ですがeプラットフォームを活用しながら参戦できるところを検討しています。戻ってくる意思はあります。
Photo:高橋 学