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【短期連載】テインのサスペンション減衰力コントローラー「EDFC5」をストリート&サーキットで試す!!
第3回(最終回):「MONO RACING」も試して見えた、EDFC5のセッティング幅を拡大する懐の深さ
- 提供:
- 株式会社テイン
2026年3月19日 00:00
最終回はサーキットを見据えた「MONO RACING」をテスト
サスペンションメーカーのテインが手がけている「EDFC5(Electronic Damping Force Controller)」を中心にお伝えしている短期集中連載も、いよいよ今回で最終回となる。最後にEDFC5と組み合わせる足まわりは、サーキットを見据えた「MONO RACING」だ。ダンパーは単筒式となりスプリングレートはフロント18kgf/mmか20kgf/mm、リアも18kgf/mmか20kgf/mmをそれぞれ選択することが可能になっている。今回は前後共に20kgf/mmのスプリングをチョイス。前回同様、車高は純正比マイナス30mmに前後ともセットしている。
ちなみに前回まで装着していた「FLEX Z」はあくまでもストリートを狙ったものであり、ダンパーは複筒式でスプリングレートは前後12kgf/mm。これでもテスト車両のRZ34フェアレディZの純正スプリングのフロント8.7kgf/mm、リア7.7kgf/mm(テイン計測値)からすればハードな部類。だが、サーキットに持ち込むとアクティブダンパーといえるEDFC5の力を借りることでかなりのレベルで満足できるが、減衰力上限いっぱいまで使うシーンもあり、それならばさらに上が必要だということも理解できた。
「今回装着するMONO RACINGはその名が示す通り単筒式(モノチューブダンパー)を採用しています。メリットとしては、複筒式に比べて大径ピストンバルブを使えること、そこに積層するシムの組み合わせがバラエティに富んでいること、そしてガス圧が強くキャビテーションに強いということが挙げられます。また、ロッド径に対してピストンバルブ径の割合が大きいため、リバンプの減衰力を出しやすいことや、初期の応答性を入れやすいといったところが特徴です」と語るのは、前回に引き続きご登場いただくテイン開発課の渡邊宏尚さん。サーキットなどのハードな状況を考えれば単筒式がベストということなのだろう。
基本的なパーツ構成としては前回の「FLEX Z」と変わりはなく、単筒式か複筒式かを判断することはできない。だが、スプリングはいかにもレートが高そうな太さをしており、サーキットも視野に入れていることは明らかな仕上がり。異音発生を防止するため、アジャスターに取り付けられる樹脂シート、バネの金属間密着による異音発生を防止するための消音シートを取り付けていること、アッパーマウントを前後共に強化ゴムとしていることも特徴的だ。
EDFC5はセッティング幅をかなり拡大してくれる
富士スピードウェイのショートコースピットで「FLEX Z」から「MONO RACING」へと付け替えて再びコースインする。走り始めてまず感じることは、無駄な動きがなくなったことだった。シフトアップ時のピッチ変化は激減した印象があり、それは外から見ている関係者からも明らかだったという。スプリングレートの高さだけでなく、「MONO RACING」の反応の良さがフラットライドに繋がっているのかもしれない。
コーナーへのアプローチも反応が良く、ステアした瞬間から即座に曲がっていく感覚に溢れている。ステアリング操舵角も明らかに減っていた。その際、EDFC5がジャークやGを感知して減衰力を変化させて曲がりやすくしているのだが、「MONO RACING」の場合はダンパー依存度が低く、いかにもアクティブダンパーで曲がっているのだと感じていた「FLEX Z」とは違い、EDFC5の効きはより自然に感じる。
もちろん、EDFC5の動きを殺し、減衰力固定で走るとEDFC5が曲げてくれていたことはよく理解できるのだが、その割合が薄まったことに変わりはない。EDFC5なしの場合、ステアリング操舵角が増える傾向にあるのは「FLEX Z」の時と同様といった感覚。EDFC5が速さにも繋がるだろう。
ちなみに減衰力は「FLEX Z」の時のように上限いっぱいまで使ってしまうようなことはなかった。また、反応の良さがあることはトラクションにも繋がっていた。現在テスト車両は純正装着タイヤであり、それほどグリップが高くないのだが、スプリングやダンパーが強烈に押し付けてくれるおかげで多少不満も和らいできた。もちろん、この足まわりに合わせるならハイグリップタイヤとなるのだろうが、しばらくは純正装着タイヤでも楽しめそうだ。
サーキットテストを終えて一般道を走り出すと、やはり前後20kgf/mmのスプリングらしさが理解できる。印象としては、いかにもチューニングカー的乗り味。試しにEDFC5を作動させずに走れば、ダンパーを緩めていればいつまでも動きが収束せず、固めれば突き上げが強いなど、腰痛持ちにはチト厳しい現実が待っていた。
けれども、EDFC5を使ってセッティングを続けていくと、前後20kgf/mmのスプリングとは思えないしなやかさが出てくるからおもしろい。EDFC5の段数は96段中のフロント75、リア90というのがいまの好みのセットなのだが、本来であれば揺れが収まらないくらいダンパーを緩めた状態だというのに、ジャークやGが入れば即座に減衰力を高めてくれるため、いつまでも揺らぐようなこともなく、突き上げもそこそこに収めてくれるポイントがあったのだ。
もちろん、スプリングレートが高いため伸びのストロークが減り、ストリートだとタイヤが路面に追従し切らない場合もある。また、ハードなサスペンションと純正各種ブッシュ、そしてタイヤのケース剛性とのバランスなどもやや崩れ気味にも感じる。ストリートをターゲットにしたい場合、そしてバネ&ダンパー以外純正のままいきたいというユーザーには、やはり「FLEX Z」がおすすめであることに変わりはない。単筒式がエライとか、複筒式がダメなんていう話じゃないのである。
EDFC5の力を使ったとしても、最終的にはベースとなるサスペンション選びがとても重要になってくる。ただ、EDFC5はマッチしないステージに行った時に、最低限の快適性は確保してくれるようにも感じるし、逆にソフトな足であったとしてもある程度スポーツ走行を受け入れてくれるようにもなる。セッティング幅をかなり拡大してくれる製品であることが伝わってきたし、ステアリング操舵角まで変化するほどの動きはこれまでにないおもしろいチューニングパーツといえる。アクティブダンパーというものをまだ体験したことがない方々にはぜひともトライしてみて欲しい。











