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【短期連載】スバル 水平対向エンジン60周年に寄せて 第4回

サーキット、ラリー、新型車……さまざまなクルマの写真を撮り続けるカメラマンがスバル車を選んだ理由

今じゃ国産ステーションワゴンは絶滅危惧種だけど、ステーションワゴン専用車種のスバル「レヴォーグ」は初代登場から今年で12年。これからも走り続けます!

60周年記念イベントを販売店で開催

 スバルは、水平対向エンジンの誕生60周年を記念して、8月22日~23日、29日~30日に「SUBARU BOXER 60th 記念祭 第2弾」を各地の販売店で開催する。

 第2弾では、5月に開催された第1弾に引き続き、エンジンの歴史や開発思想、技術的特徴を紹介したヒストリーパネル展や、歴代エンジンサウンドの試聴、エンジン模型の展示といったさまざまなコンテンツが楽しめる。

水平対向エンジン60周年フェアの第2弾を8月22日~23日、29日~30日の2週にわたって開催する

 また、店頭ではマイスバル会員向けに、「SUBARU BOXER 60th オリジナルうちわ」(3種のうち1種)をプレゼント。暑い夏を少し涼しくするファン垂涎のアイテムについて、詳細は店舗スタッフに問い合わせいただきたい。

オリジナルチャーム付きのうちわを1つプレゼント!

 ほかにも、店頭での試乗でプレゼントがもらえるなど、お楽しみコンテンツが盛りだくさんの展示会となるので、詳しくはSUBARU BOXER 60th記念祭の特設サイトをチェックしてほしい。

店頭で試乗すると、60周年を記念したオリジナルデザインのブリキ缶&エンジンラバーコースターセットをプレゼント。ラバーコースターは第1弾で行なわれた“推しBOXER”で人気を集めたTOP3のエンジンをデザイン!

SUBARU BOXER 60th記念祭 特設サイトを見る

 今回の短期連載では、スバルの水平対向エンジンが誕生60周年の節目を迎えるにあたり、各方面からのメッセージを再び3回にわけてお届けする。第4回はクルマの写真を撮り続けているカメラマンで、自身もスバルオーナーである高橋学氏が、愛車との思い出や印象を紹介する。

気付くとレヴォーグ歴は12年超えに

 初代レヴォーグの登場から今年で12年。発売前の事前予約を経てレヴォーグを購入した筆者も、途中で2代目となる現行型に乗り換えながらレヴォーグ歴は12年となり、13年目に突入しています。今、国産メーカーのラインアップを見るとステーションワゴンは絶滅危惧種となりつつありますが、思い起こせばかつて商用ライトバンの乗用バージョンとして見られることが多かった昭和のステーションワゴンのイメージを一新したのは、1989年(平成元年)に登場した「レガシィ ツーリングワゴン」でした。このGTの名を冠したスポーティなステーションワゴンの登場に触発されるように、他社からもこのカテゴリーのクルマが続々と登場し、ステーションワゴン専門の雑誌が創刊されるなど一大ブームが起きましたが、それも今ではもう昔話。一部のメーカーは撤退し、一部のクルマは肥大化を繰り返し、結局このブームはあっさり終わってしまいました。

 そんな中、粛々とステーションワゴン専用の名前を冠し、存在し続けている稀有なモデルがレヴォーグです。カメラマンという仕事柄、大きな荷物を積み込んでアチコチへ移動する必要がある筆者にとって、余裕を持って機材を積める荷室はクルマ選びの大切な要件です。それでいて、長距離移動をストレスなくこなすための快適さと動力性能を備えていること。そして、目的地での駐車場の確保が容易なこと。ロケで古いビジネスホテルなどを利用する際にはまだまだ高さ制限のあるタワーパーキングも残っているので、全高1550mm以下という数値は、今でも筆者のクルマ選びの条件の1つとなっています。そんなわがままを満たす数少ないクルマがレヴォーグなのです。

余裕を持って機材を積める荷室と長距離移動をストレスなくこなす快適な運転フィーリングの両立はレヴォーグの大きな持ち味です。夜間の積み込みなどに便利なリアハッチライトなどステーションワゴンならではのオプションの充実ぶりはレオーネ、レガシィ、レヴォーグとステーションワゴンを作り続けてきたスバルならでは
高さ制限のある古いタワーパーキングでもほぼ入庫可能なレヴォーグは出先での駐車場にも困ることはありません

 もちろん、趣味のクルマであれば何かを我慢しても自分の“大好き”を優先した方が幸せだと思います。運転する楽しさにあふれたスポーツカーしかり。巨大な荷室を持ったワンボックスしかり。街中での移動も楽で静かなコンパクトEVなどもなかなか魅力的です。それらを日々使い分けられる複数台所有のカーライフにも憧れはありますが、残念ながら筆者の経済事情ではちょっとハードルが高すぎます。それゆえ、2013年の東京モーターショーで新しいステーションワゴン、レヴォーグが発表されたときには希望の光が見えたようでした。

コンパクトなステーションワゴンがどんどん消滅し、背の高いSUVが台頭してくる中で2013年に発表されたレヴォーグ。初登場の舞台にはものすごい数の報道陣が集まりました

 発売決定の知らせに合わせて注文したレヴォーグは、仕事の足として不満はなく、ファミリーカーとしても家族が快適に過ごせる室内空間を備えていたので、幸いなことにこの1台で何も我慢することなくカーライフを楽しめました。この初代レヴォーグはステーションワゴンの基本性能の高さはもちろん、当時最新のアイサイトが搭載されていて、快適かつ非常に楽なクルマでした。

 そして地味ながらとても気に入っていたのが右左折時にAピラーが視界の邪魔にならないことでした。キャビンの安全性のために太く、そして空力のために傾斜がきつくなっていくAピラーによって死角が広がっていくクルマが増えていく中、レヴォーグの視界はとても優秀でした。実はこの美点が継承されていることが確認できたので何の躊躇もなく2代目となる現行型にも乗り換えることができたのです。時代とともに安全のため電子デバイスがどんどん増えていくのはレヴォーグも例外ではありませんが、それでも死角が少なく自分の目で周囲の状況が確認しやすい運転環境はとても大切だと思います。

右左折時やタイトコーナーなどでドライバーの視界を遮るAピラーだが、絶妙な位置と傾斜角度、後方に下げられたミラーにより死角少ないのは初代から続くレヴォーグの美点

 さて、レオーネ、レガシィ、そしてレヴォーグと続くスバルの歴代ステーションワゴンの走りを支えてきたのが水平対向エンジンです。この、言わずと知れたスバルのアイデンティティたるパワーユニットを初めて搭載したスバル1000の登場は1966年。今年で60年だそうです。その6年後の1972年にはレヴォーグの祖先とも言えるレオーネ4WDエステートバンが発売されます。今に続く水平対向エンジン+4WDの登場です。同じように1960年代に登場し、今なお続いているものにTV番組のウルトラシリーズがあります。1966年は初代ウルトラマン、1972年はウルトラマンエースが放送されていたころです。最新のウルトラマンを今楽しんでいるのは、かつて初代ウルトラマンやエースを楽しんだ世代のお孫さんあたりでしょうか。そのくらい昔の話です。アニメで言えば科学忍者隊ガッチャマンやマジンガーZが放送開始された年でもあります。年月の流れは早いものです。

 脱線しましたが話を水平対向エンジンの話に戻します。レヴォーグに乗っていると、このエンジンの最大のメリットはやはり走りへの貢献だと感じます。運転技術に関しては平均的な一般ドライバーくらいだとは思う筆者でも感じられるのは、旋回時の圧倒的なオン・ザ・レール感覚です。自動車の撮影はワインディングロードで行なわれることも多いのですが、現場に向かう道でいつもいつもそう感じます。もちろんサスペンションや4WDの制御など、その要因は多岐にわたると思いますが、1台で3万点とも言われる自動車のパーツの中ではとても重い部類のエンジンの搭載位置が、ハンドリングに与える影響を無視できるはずはありません。例えばママチャリだって前カゴの高い位置に重い荷物を積めばフラフラと運転しにくいのですから、エンジン自体の背が低く、低い位置に搭載できる水平対向エンジンの採用がクルマの運動性能に有利なことは感覚的にも納得できます。ラリーの取材であったり、新型車の撮影であったり仕事柄さまざまな現場に向かいますが、雨天の未舗装ヌルヌル路面でも、砂利でも、雪でも、これまでスタックする不安に駆られたことは一度もありません。そんな走破力も重量バランスと4WDの制御の恩恵なのだと思います。その反面、ガンガン走れてしまうゆえに危険な路面の状態に鈍感になりかねないので、悪条件のときほど気持ちを引き締めるようにはしています。

自動車の撮影をすることが多い筆者の現場はワインディングロードも多く、そこまでの移動の足として日々快適に運転しています

 とにかく移動は楽にしたいし、いざ故障してしまうと仕事に支障の出る筆者にとって、サービス網の充実した国産メーカーのステーションワゴンは日々の撮影の強い味方です。クロカン4WDでなければ入れないようなところを避ければ、グラベルでもガンガン入っていけるし、渋滞してもアイサイトXでラクチンです。最近登場したレイバックのS:HEVモデルは全高1550mmを実現しながら最低地上高180mmを確保しているので、向上した燃費も含め気になるところですが、まだまだ今乗ってるモデル(CB18型搭載モデル)と付き合っていこうと思っています。初代は22万kmで乗り換えてしまいましたが、現行モデルはもっともっとたくさん走りたいのです。撮りたい風景や行きたい場所はまだまだありますし、これからも新しい発見はあるでしょう。公共交通機関が動いていない深夜や早朝、クルマ以外ではアクセスしにくい場所、いつでもどこにでもアプローチできるのは自動車最大のメリットであり、その場所に立たなければ何も始まらないのが宿命のカメラマンにとってなくてはならない機材の一部とも言えるのです。

2025年に現行型に乗り換えました。寂しさと嬉しさが同居する納車日はこれまでのVM型と新しいVN型がそろう唯一の日ですので、記念写真を1枚

 今回は登場60年ということで水平対向エンジンについて触れてみましたが、実はこのエンジンに関してもう1つ思うところがあります。それはスバルという会社の頑固さです。走りの面で大きなメリットを生む水平対向エンジンは、クルマのパッケージや燃費など、すべての面でメリットだらけのエンジンではなさそうです。それでも走りにこだわり、頑なにその技術を磨き続ける姿勢は、多くの国産メーカーが撤退させてしまったステーションワゴンを今なお進化させ続けている姿勢にも通じているように感じています。

 ちなみにスバルの現行ステーションワゴンと言えばレヴォーグやレイバックが思い浮かびますが、個人的にはインプレッサはかなりのダークホースだと思っています。全長4.5mを切るコンパクトなモデルですが後席も荷室も十分に確保しており、レヴォーグでは標準装備のロール式トノカバーやオプションのリアハッチライトなどが、インプレッサにもすべてオプションで用意されていて、ステーションワゴンらしい使い勝手を実現しているのです。実質的にはショートワゴンと呼ぶにふさわしいクルマです。この地味ながら道具としての実用性を大切にしたオーソドックスなモデルの存在は、はやりのSUVや話題性に富むEVの影に隠れがちですが、個人的には頑固なスバルの一面が垣間見える秀逸なモデルであるとも感じています。

 いずれにしても、1つの技術を60年にも渡り磨き続けていくのは並大抵のことではありません。その結晶たるレヴォーグをガンガン使い倒しながら、これからもスバル車のある生活を楽しんでいこうと思っています。販売店の方には申し訳ありませんが簡単に買い替えはしませんよ。目指せ30万kmですから。

仕事の帰り道、あえて高速道路を避け一般道をのんびり走って帰ることがあります。初めての土地の見たことのない風景やおいしいご飯に出会えるのはクルマならではの楽しみの1つです。これからもレヴォーグとともにのんびり走っていこうと思います