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インテル、ADAS向け最新SoC「Atom A3900シリーズ」発表
CPUとGPUの強化で性能が最大で2.9倍に
2016年10月25日 22:00
- 2016年10月25日(現地時間)発表
半導体メーカーのインテルは10月25日(現地時間)、同社の最新SoC(System On a Chip)となる「Atom A3900シリーズ」「Atom E3900シリーズ」を発表した。
開発コードネーム「Apollo Lake(アポロレイク)」で知られる同製品は、インテルの最新プロセスルールである14nmプロセスルールで製造され、14nmプロセスルール用に新規設計されたGoldmont(ゴールドモント)と呼ばれる新設計CPUをクアッドコア構成で搭載。PC向けのSoC(Coreプロセッサ)に搭載されている強力な第9世代インテル GPUを採用するなど、組み込み向けとしてはかなり強力なSoCになっている。
Atom A3900は自動車向けに開発され、IVI(車載情報システム)、デジタルメーター、ADAS(先進安全運転機能)向けなどに対応する製品としてリリースされる。Atom E3900は組み込み向けとして市場投入され、産業用のPC、IPカメラ、ロボットなど向けのSoCとして採用されることを想定している。
新しいCPU/GPUの採用で性能が最大2.9倍になるA3900&E3900シリーズ
今回、インテルが発表したAtom A3900とAtom E3900は、インテル内部の開発コードネームでApollo Lake(アポロレイク)で呼ばれてきた製品。Apollo LakeはノートPCやデスクトップPCにも採用されている強力なSoCで、インテルの最新製造技術となる14nmプロセスルールを利用して製造され、前世代と比較して、CPU(一般的な演算を行なうプロセッサ)とGPU(グラフィックス周りを処理するプロセッサ)の性能が、それぞれ大幅に強化されていることが特徴だ。
CPUはインテルが新規に開発したGoldmont(ゴールドモント)と呼ばれるCPUが採用されている。Goldmontは前世代の製品で採用されていたCPUと比較して内部構造が見直されており、命令実行時の効率が改善されている。これにより、同じ消費電力で前世代よりも高性能になって、インテルによれば、Atom E3900の性能は前世代となるE3800と比べて最大1.7倍に達するという。
GPUは、インテルがPC向けのプロセッサであるCoreプロセッサで採用しているインテル GMAの最新世代となる第9世代の製品が採用されている。従来製品に採用されていた第8世代と比べると演算に利用できるエンジン数が増えており、その分で高い性能を発揮する。インテルではAtom E3900は前世代となるAtom E3800と比較して、最大で2.9倍の性能を発揮するとしている。
自動車向けのAtom A3900は、ティアワン部品メーカーのDelphiや中国の自動車メーカーFAWが採用
新たに発表された2種類のSoCで、自動車向けのAtom A3900では、IVI、デジタルコックピット、さらにADAS(先進安全運転システム)などがアプリケーションとして利用することを想定しており、強力なCPUとGPUの処理能力を利用してADASの機能を実装することが可能になる。
これまでインテルはADASやその延長線上にある自動運転向けのSoCをリリースしてこなかったが、本製品はインテルとして初めてADAS向けを謳った製品となる。顧客への出荷は2017年第1四半期が予定されている。インテルはすでに世界で49の自動車メーカーに半導体を納入しており、今後は新製品の投入でさらなるデザインウイン(採用例)の獲得を目指す。
なお、仕様は後述するAtom E3900と基本的には同じだが、稼働温度などに関しては車載グレードになるとインテルでは説明している。自動車関連ではティアワンの部品メーカーDelphi、中国の自動車メーカーであるFAW(中国第一汽車)などが採用を計画していることを明らかにしている。
Atom E3900は組み込み向けの製品となる。基本的なスペックは下記のとおりで、5つのSKUが用意されている。
インテルによれば、Atom E3900シリーズは産業用のPC、ロボット、IPカメラなどがアプリケーションとして想定されているとのことだ。