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TOYOTA GAZOO Racing Factory Marketing Director 友山茂樹氏にWRC日本開催について聞く

2016年12月13日(現地時間) 発表

「ヤリスWRC」と、TOYOTA GAZOO Racing Factory Marketing Director 友山茂樹氏

 2004年~2008年、そして2010年に、WRC(世界ラリー選手権)は北海道で開催されていた。2008年9月創刊のCar Watchでも、2008年11月開催の「第14戦パイオニア・カロッツェリア ラリージャパン」と、2010年9月開催の「第10戦ラリージャパン」を誌面でお届けしている。

 2017年にトヨタ自動車がTOYOTA GAZOO RacingとしてWRCに復帰することで期待されるのは、日本での開催が今後実施されるのか否かについて。2017年のカレンダーはすでに決定ずみのため、日本開催はないが、2018年以降の開催については期待の高まるところだろう。

 その辺りの可能性について、TOYOTA GAZOO Racing Factory副本部長であり、Marketing Directorも務める友山茂樹氏に、「WRC日本開催の可能性はありますか?」と聞いてみた。

 帰ってきた答えは、「うーん、できれば日本の真ん中でやりたいね」とのこと。

 もちろん、トヨタとしての思いだけでWRC日本開催が実現するわけはなく、日本におけるWRCの盛り上がりや、WRC日本開催の舞台となる地元の理解に加え、海外からの選手・スタッフ、クルマの輸送をどうするのか、観戦客の宿泊施設や会場への導線をどうするのかといったハード面やソフト面の問題がある。

 友山氏は、日本の真ん中という意味には、日本のどこからでも行きやすいという思いがあると言い、WRCの日本ラウンドを開催するにあたって、まずは集客が伴う必要があると考えているようだ。

 その第1候補となるのが、愛知県新城市で行なわれている新城ラリーだろう。2016年には新東名高速道 新城IC(インターチェンジ)も開通し、クルマでのアクセスが劇的に改善し、海外からの受け入れもセントレア(中部国際空港)や名古屋港が近いことから期待できる。ただ、問題は宿泊施設で、訪日旅行客、つまりインバウンドが増えたことで日本の宿泊需要は逼迫しており、東京、大阪、京都、名古屋のいわゆるゴールデンルートは厳しい状況にある。

 一方、そのインバウンドの伸張で、国内の訪日旅行客の受け入れ体制は宿泊施設を除けば充実する傾向にあり、中京、北陸地区は政府の定めた広域観光周遊ルート「昇龍道」として、各種案内が充実している。とくに龍は中国で縁起がよいことから人気の観光ルートとなっている。

 北海道ではさまざまな理由からWRC開催を続けることができなくなったが、その1つに挙げられていたのが財政面の問題。縮小する国内人口を考えると、アジアからの観戦客を取り込まない限り、WRCの日本開催を実現することは難しいだろう。

 新城市が舞台になるのか、それともほかの都市が舞台になるのか分からないが、1人のラリーファンとしてはWRCの日本開催を望みたいところ。そのためには、まずは日本でWRC人気が盛り上がることが必要だし、トヨタが早く1勝を挙げることだろう(もちろん、それは簡単なことではない)。

 WRC日本開催が実現すれば、日本はF1、WEC(世界耐久選手権)、WTCC(世界ツーリングカー選手権)、MotoGPと、著名な世界戦のモータースポーツが開催される国となる。いずれも開催日が秋に偏っており、F1のアジア開催と合わせて、海外からモータースポーツ観戦を楽しむ旅行者が増加中だ。2020年に向けての政府のインバウンド施策にうまく乗る形で、WRC日本開催を望みたいし、F1日本開催のように地元に根付いた開催となることを期待したい。

「できれば日本の真ん中でやりたいね」と語ってくれた友山氏

 2017年のWRCは年間13戦が予定されており、第1戦モンテカルロは2017年1月19日~22日に開催される。