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伊ランボルギーニ、ラインアップ初の4輪ステアリングを導入した新型「アヴェンタドール S」

フロントのダウンフォースを130%増やして新開発サスペンションを採用

2016年12月19日(現地時間)発表

 伊アウトモビリ・ランボルギーニは12月19日(現地時間)、新型「アヴェンタドール S」を発表した。

 空力性能にこだわった新しいエクステリアデザインが与えられたアヴェンタドール Sでは、サイド部分に従来からあるアヴェンタドールならではの特徴を残しつつ、フロント、リアの一部を改良。

 フロントノーズをさらに攻撃的な印象に変化させ、フロントスプリッターの長さを延長。空気の流れを変えることによって空力効率、エンジン&ラジエーター冷却などの面を向上させた。また、フロントバンパー側面にある2つのエアダクトがフロントタイヤからの空力干渉を抑え、リアラジエーターに続く空気の流れを最適化する。

 リアではブラックのディフューザー(希望に応じてカーボンファイバーに変更可能)に垂直フィンを設定。気流の効果を増幅させるとともに圧力の回復を利用して空気抵抗を削減し、ダウンフォースを発生させる。可動式のアクティブリアウイングは、車両の速度や「ドライブ・セレクトモード」に応じて3つの位置のいずれかに設定可能。改良された車両全体のバランスを最適化し、シャーシ下に新設された「ボーテックス・ジェネレーター」(気流を最大化してブレーキ冷却を補助)と連動する設計となっている。

 このデザイン一新で空力性能が大幅に向上し、現行アヴェンタドールと比べてフロントのダウンフォースが130%増加。ウイングが最適な位置にある状態ではダウンフォースの全体効率が50%増え、低抗力での全体効率は400%以上増加しているという。

車両前後のデザインを変更して空力性能を大幅に変更したアヴェンタドール S

 新開発されたサスペンションでは、ランボルギーニのシリーズ生産車として初めて新しい4輪ステアリングシステムを導入。低速走行中はフロントタイヤの舵角と逆方向にリアタイヤが動いてホイールベースを短縮する効果を生み、最小回転半径をコンパクトにして使い勝手を高めるほか、俊敏な走りを実現。逆に高速走行時にはフロントタイヤと同じようにリアタイヤが動き、ホイールベースを拡大するような効果で車体を安定させる。

 4輪ステアリングシステムの導入に合わせて、サスペンションのプッシュロッドと「ランボルギーニ 磁気粘性サスペンション(LMS)」に修正を実施。新しいサスペンションではキャスターとシステムへの負荷を削減するため、上下アームとホイールキャリアを装備するなど、LMS用に形状を最適化している。また、車体制御を最適化する「新リアルタイム可変ダンピングシステム」、車体バランスの向上に貢献するという新リアスプリングなども採用した。

 このほか、車体の安定性を高める4輪ステアリングシステムを採用したことから、フルタイム4WDではリアアクスルのトルク配分を増加させるチューニングを実施。スロットルオフでの前輪トルク配分を減らして積極的にオーバーステア挙動にすることも可能として、スポーティさと安全なドライブを両立させている。

 パワートレーンには、最高出力544kW(740HP)/8400rpm、最大トルク690Nm/5500rpmを発生する自然吸気のV型12気筒6.5リッターエンジンを採用し、シーケンシャルトランスミッションの7速ISRと組み合わせ、駆動方式にフルタイム4WDを採用することで0-100km/h加速2.9秒、最高速350km/h以上を達成した。

 このほか、トラクション、ステアリング、サスペンションの挙動を変化させるドライビングモードは、既存の「ストラーダ」「スポルト」「コルサ」に加え、4つめのモードとなる「エゴ」を追加。ほか3つの設定をベースとしながら、トラクション、ステアリング、サスペンションの挙動をドライバーの好みによってカスタマイズできるモードとなっている。