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スズキ「アルト」で、東洋ゴムの空気のいらないタイヤ「noair(ノアイア)」に乗ってみた

小型EV「Fomm」での同乗走行も

2017年9月8日 発表

東洋ゴムが発表した空気のいらないタイヤ「noair(ノアイア)」。「アルト」などに装着した試乗会の模様を映像でお届けする

 東洋ゴム工業は9月8日、空気充填不要の近未来型エアレスコンセプトタイヤ「noair(ノアイア)」を発表した。概要や、発表会の模様はすでにお届けしているが、本記事では主に試乗会映像で紹介していく。

東洋ゴム、空気のいらないタイヤ「noair(ノアイア)」発表会

 ノアイアの特徴は、タイヤとして空気を用いないことから原理上パンクせず、また、X字状のスポーク構造を採用することで燃費性能に優れた低転がり抵抗を実現しつつ、ウェットグリップ性能の向上も図られていることにある。一方、現在の空気入りタイヤと比べ若干重くなっているほか、X字状のスポーク構造の剛性が高いためか乗り心地ではゴツゴツした感じが残っており、それは車内騒音としても認識できるレベルにあるという。

X字状のスポーク構造を採用して剛性を向上。120km/hの走行が可能という

 実際の試乗映像を見てもらえれば分かるが、タイなど新興国向けに開発した小型EV(電気自動車)「Fomm」ではそのゴツゴツした感じが伝わってきている。一方、スズキ「アルト」では車内の防振・防音がFommと比べてしっかりしているため、その辺りは改善されている。

2018年にタイでの発売を予定しているEV「Fomm」。新興国の市場に合わせ、浮上走行可能な性能を備える

 グリップ力に関しては、この試乗会では最高速が40km/hに抑えられていたため評価の難しいところ。ただ、40km/hからの単制動ではしっかりしたグリップ力と剛性を感じることができ、空気入りタイヤと比べても遜色ないグリップ力を発揮していた。

 とくにタイヤの剛性感については、しっかりしたタイヤであることを感じる一面、その剛性感ゆえにゴツゴツした乗り心地になっている部分があるものと思われる。これらは、全周で100本設置されているX字状のスポーク構造のピッチをより細かくすれば改善するが、そうするとタイヤのトレッド面の支持剛性が下がるという問題もあり、現状はそのバランスを取った状態とのこと。X字状のスポーク構造はウレタン系素材で作られており、その素材進化でも解決する余地はあるとのことだ。

 ノアイアに開発すべき項目は数多いものの、パンクしないというメリット、燃費性能に優れるというメリットをうまく活かすことで、従来の空気入りタイヤとは異なる市場が広がっているように思えた。乗り心地については、自動車メーカーと一緒に開発していくことで解決する部分もあり、今後の開発に期待したい。