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新型「アクセラ」の新HMI「マツダコネクト」を試してみた

スマ-トフォンと連携するマツダのインフォメーションシステム

 マツダが11月から発売する新型「アクセラ」に搭載する新HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)「Heads-Up Cockpit(ヘッズアップ コクピット)」。アクセラではベーシックグレードとなる「15C」以外に標準装備されるほか、今後リリースされる新型車にも順次採用されるとのことで、マツダ車のHMIとして軸になっていく装備といえる。

 そこに採用されているのが「マツダコネクト」だ。これは同社によれば「スマートフォンなどの通信技術を自動車に適した形で提供する新世代カーコネクティビティシステムで、自動車用Webコンテンツのクラウド・プラットフォームであるAha by HARMANと世界で初めてグローバルな利用契約を結び、Ahaの全参入市場で同サービスを利用できるようにした」もの。平たく言えば日本だけでなく世界各国で販売されるアクセラにも同様のシステムが搭載され、同じAhaのサービスを利用できるようになるということ。もっとぶっちゃけて言えばガラパゴスじゃなくてグローバルに展開しますよ~、ってことになる。

試用したのは新型「アクセラ」のハイブリッドモデル

 それだけに注目度の高い装備ではあるものの試用できる機会がなく、なかなかリポートをお届けすることができなかったが、ようやく短時間ながら使うことができた。とはいえ、一番気になるであろうカーナビ面においては残念ながら実際にルートを探索して一般道を走行するレベルまでは至らず。また、開発者へのインタビューなども行えていないため、あくまでイントロダクション的な内容と捉えてほしい。試用したのは、新型「アクセラ」のハイブリッドモデルとなる。

ハードウエア

 システムは核となる「コネクティビティマスタユニット」を中心にGPSアンテナ、USBポートなどのハブユニット、チューナーアンプユニット、Bluetooth、ディスプレイ、コマンダーといった部分が基本となる。加えてオプションとしてCD/DVDユニット、TVチューナー、BOSEシステム、SDカードナビ(ナビプログラム)が用意されており、必要に応じてチョイスすることで好みの環境を作り上げることができるワケだ。

インパネは「走行情報」と「快適・利便情報」を明確に分けたレイアウト
アクティブ・ドライビング・ディスプレイ
情報量をあえて少なくして視認性を向上。表示もクッキリしてとても見やすい

 コネクティビティマスタユニットはARMアーキテクチャのCPUを採用しており、ソフトウェアのアップデートにも対応。2DIN一体型に機能を集約した汎用ナビと異なり、機能の追加や変更が可能になっている。クルマ一体型のシステムはその構造上、買い換えができないだけに、こうした配慮は重要なポイントだ。後はどのくらいの頻度で更新や追加をかけてくれるかという部分が問題になってくるけれど、特定の車種だけではなくマツダ車全体に搭載されることを考えれば、十分に期待してもよいのではないだろうか。蛇足的に付け加えればPCユーザー的視点から見ると、数年後にコネクタコンパチの新型コネクティビティマスタユニット登場! なんてことになると面白い。差し替えるだけで地図描画が2倍速く! とかね。実用的なメリットはほとんどないけれど……。

 与太話はさておき。このシステムで実際にユーザーとの接点になるのが、ダッシュボード上に設置された7インチWVGAセンターディスプレイと、メーターフード上のアクティブ・ドライビング・ディスプレイ(いわゆるヘッドアップディスプレイ)、それにセンターコンソールに配置されたコマンダーコントロールだ。

 視距離や読みやすい文字サイズなども考慮して決定したという7インチWVGAセンターディスプレイは、カーナビでは標準的な解像度とサイズを持つ。タッチパネルにも対応しているため停車時のみとなるけれど画面上のボタンに直接触れてもOK。本体はぱっと見、取り外しができそうなデザインに見えるものの、実際は固定されているため倒したり収納したりするのは不可能だ。表示品質はノングレアタイプのため映り込みが少なく、またダッシュボードの上に位置するためとても見やすい。視野角もとくに気になることはなかった。ただ、試乗時は雨天だったため問題はなかったけれど、シェード的なギミックがないため直射日光が当たるようなシチュエーションだと少しキツイかも。これは今後の試乗で確認したい。

 アクティブ・ドライビング・ディスプレイは小型で、表示内容も走行情報に絞ったもの。具体的には車速、ナビのターンバイターン、Active Safetyのステータスと警告といったものでシンプルだ。ただ、標準装着されるだけあって表示はクッキリ鮮明、視線移動が少なくなるため安全面でも優れた装備といえる。

 コマンダーコントロールはロータリーダイヤルとジョイスティックを統合したもの。回転、上下左右の移動ともちょっと重めで節度感があり、高級感のあるフィーリング。これとは別に独立した「戻る」ボタン、ダイヤル式のボリュームが用意されているのも便利だ。

シフトレバー後方に配置されるコマンダーコントロール
オプションの地デジチューナー、CD/DVDを装着するとUSB、SDスロットはコンソールボックスの中に

ナビゲーション

 GPSアンテナなどハードウェアを標準搭載してソフトウェアはオプションで追加する、とこれまでにないアプローチとなるナビゲーション。それほど多くの時間をかけて試すことができなかったのでざっと使ってみた印象だけ書くと、マニュアルを見なくても使える手軽さがあり機能面と速度面はまずまず、ただし国産ナビに慣れているとちょっとクセもある、って感じだ。

メインメニュー左から4番目がナビゲーション
通常画面ではメニューは非表示。地図は「3D」表示
左隅のボタンを押すと下段にナビゲーションメニューが表示される
目的地検索のメニュー。ごく標準的な内容だ
「羽田空港」で「施設検索」。50音のパレットは左から並ぶタイプ
施設名入力語は「カテゴリ」や「地域設定」で絞り込む
「地域設定」はこの4種類から選択
「市町村」は都道府県だけでなく市町村まで選択することが必要
「地域設定」は「周辺」でも100km以上カバーするようだ
「カテゴリ」を設定しない検索結果
電話番号検索からルート探索までの例
データが収録されていればもちろんピンポイント
ここでなにも操作しないとカウントダウンがはじまり「開始」横の数字が0になると自動的にルート案内を開始
「ルートオプション」から細かな設定の変更ができる
「ルート情報」表示
複数ルート探索は「時間優先」「距離優先」「エコ」「幹線優先」の4ルート。この時は少し待ち時間がある
いわゆる全ルート表示を行う「地図帳」表示
各ルートの詳細情報表示
「未舗装道路」なんて項目があるあたりはグローバルモデルっぽい感じ
迂回ルートの設定も可能
ナビメニューの左から2番目「i」のアイコンから表示できる情報メニュー。「天気予報」「燃料価格」は今後実装される予定
「現在地は?」メニュー選択時の表示
「GPS情報」表示
「バージョン情報」表示
「交通情報」から選択できるサブメニュー
VICS FMチューナーが標準なのでVICS情報の表示が可能
VICS渋滞統計予測データと思われる渋滞予測を搭載。任意の時間、場所の渋滞予測を見ることが可能
ナビメニューの左から4番目は「周辺施設」検索
メニューの基本構造は目的地検索と同じ
「カテゴリ」は細かく分類されている
名称入力画面。漢字、カナ変換が可能
名称入力画面。漢字、カナ変換が可能
名称を入力すると当然施設名にその文字が入っている施設のみがリストアップされる
2D表示の100mスケール
200mスケール
画面下のスケールは200mとなっているが、縮尺的には500mスケールと思われる
1kmスケール
2kmスケール
5kmスケール
10kmスケール
20kmスケール
50kmスケール
100kmスケール
200kmスケール
ナビメニューの一番右にある「設定」メニュー
VICS表示の設定
地図表示設定
地図表示設定
案内関連の設定項目

アプリケーション、コミュニケーション、セッティングなど

 マツダコネクトは車両統合型システムだけに機能は豊富。ナビ機能以外も装備する。

メインメニュー、一番左はアプリケーション
クルマ関連のメニューが集約されている
i-DMのスコア推移。CX-5などではメーター内で今回とアベレージが見られるだけだが、こちらは「今回」のスコア推移を見ることが可能
各操作の傾向を見ることもできる
ハイブリッド車ではお馴染みのエネルギーフロー表示
メインメニュー、左から2番目はエンターテインメント
エンターテインメントメニューを押すとソース選択画面に
Ahaラジオを選ぶと事前にプリセットしておいたチャンネル一覧から選択可能
Ahaラジオのプレイ画面
メインメニュー中央はコミュニケーション
電話やメールなどの操作が行える
SMS表示。TTSによる読み上げ機能も搭載
メインメニュー、一番右がセッティング。クルマやマツダコネクトの設定を行える
アクティブ・ドライビング・ディスプレイの設定。ドライバーの体型にあわせて細かく高さ調整が行える
7インチWVGAセンターディスプレイの表示設定
安全装備メニュー
音質調整メニュー
時計はGPS同期が可能
車両設定メニュー
BluetoothだけでなくWi-Fiメニューも。こちらは将来的な追加要素らしい
システムメニュー

(安田 剛)