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今年最後のビッグレース「富士スプリントカップ 2013」リポート

SUPER GT、スーパーフォーミュラともに初優勝が続出

2013年11月23日、24日開催

 11月23日、24日、「JAFグランプリ SUPER GT&スーパーフォーミュラ“富士スプリントカップ 2013”」が、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。GT300クラス第1レースは3号車 S Road NDDP GT-R(佐々木大樹)がGT300で初優勝、GT500クラス第1レースは17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)が今季初優勝、スーパーフォーミュラは39号車 P.MU/CERUMO・INGING(国本雄資)がスーパーフォーミュラ初優勝、GT300クラス第2レースは2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)が今季初優勝、GT500クラス第2レースは6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)が優勝した。

 今年最後のビッグレースである富士スプリントカップ 2013は、好天に恵まれた富士スピードウェイで行われた。23日(土曜日)はSUPER GTのGT300クラス第1レース、GT500クラス第1レース、24日(日曜日)はスーパーフォーミュラ、GT300クラス第2レース、GT500クラス第2レースがそれぞれ100km(22周)のスプリントレースで争われた。

GT300クラス第2レースでマクラーレンが今季初優勝

GT300クラス第1レース

 ポールポジションを獲得した3号車 S Road NDDP GT-R(佐々木大樹)がスタートに失敗。3番手スタートの35号車 NISMO ATHLETE GT-R GT3(アレックス・バンカム)がトップに立った。4番手スタートの55号車 ARTA CR-Z GT(小林崇志)と16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀)も好スタートを切ったが、16号車 無限 CR-Z GTは1コーナーでややオーバーラン、2番手スタートの11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)が3位に付けた。3号車 S Road NDDP GT-R(佐々木大樹)は1コーナーへは4位で進入するがこちらもオーバーランし7位まで後退した。

スタート直後の1コーナー、35号車がトップ、55号車と16号車が2位を争い、3号車を4位に後退した
上位勢はアウトにふくらんだ
11号車はガラ空きになったインをすり抜け3位までポジションを回復
16号車、3号車はややオーバーラン、それぞれ順位を落とした

 スタートで大きく順位を落とした3号車 S Road NDDP GT-R(佐々木大樹)だったが、2周目に5位、5周目に4位とポジションを回復。11周目には55号車 ARTA CR-Z GT(小林崇志)を抜き3位に浮上した。その後も快進撃を続け2位の11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)とテール・トゥ・ノーズの争いに持ち込んだ。

2周目は35号車、55号車、11号車の順で1コーナーを通過
16号車と4号車を抜き5位に浮上した
3位の55号車に迫る3号車
2位の11号車の背後に3号車が肉薄

 3号車 S Road NDDP GT-R(佐々木大樹)は16周目に2位の座を奪い取ると、直後にトップを独走していた35号車 NISMO ATHLETE GT-R GT3(アレックス・バンカム)のタイヤがバーストしスローダウン。労せずしてトップに立った。

11号車を抜き2位に浮上した直後……
トップ独走の35号車にタイヤバースト。3号車がトップに立った

 その後は食い下がる11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)を振り切りトップでチェッカーを受け、スタートの失敗を自ら帳消しにする快走で優勝した。佐々木大樹はSUPER GT初優勝。2位は11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)、3位は55号車 ARTA CR-Z GT(小林崇志)となった。

優勝した3号車 S Road NDDP GT-R(佐々木大樹)
2位は11号車 GAINER DIXCEL SLS(ビヨン・ビルドハイム)
3位は55号車 ARTA CR-Z GT(小林崇志)

GT500クラス第1レース

 GT500クラスもスタートでポールポジションの18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴)が出遅れ4位に後退した。トップに立ったのは3番手スタートの38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)。2番手スタートの100号車 RAYBRIG HSV-010(小暮卓史)、4番手スタートの36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ジェームス・ロシター)が続いた。

スタート直後。トップは38号車、100号車、36号車が続き、17号車は7位に後退した

 5番手スタートの17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)はスタートでは7位に後退したが、序盤から快走を見せた。2周目に6位、5周目に5位にポジションを回復。8周目には36号車 PETRONAS TOM'S SC430(ジェームス・ロシター)を抜き4位、12周目には18号車 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴)を抜き3位に浮上。勢いは止まらず15周目に100号車 RAYBRIG HSV-010(小暮卓史)、17周目に38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)もパスしトップに躍り出た。

23号車を抜き6位に浮上した17号車
23号車も抜き5位
2位の100号車の背後に17号車が迫る
100号車を抜き2位に浮上した17号車は38号車を追った
38号車も攻略し17号車がトップに立った

 17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)はそのままトップの座を譲ることなくチェッカーを受け今季初優勝。ドライバーズチャンピオン争いでは僅差の2位に終わったが、最後のレースでうっぷんを晴らした。2位にはシリーズチャンピオンの38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)、3位は100号車 RAYBRIG HSV-010(小暮卓史)が表彰台の最後の席を獲得した。

優勝した17号車 KEIHIN HSV-010(塚越広大)
2位は38号車 ZENT CERUMO SC430(立川祐路)
3位は3位は100号車 RAYBRIG HSV-010(小暮卓史)

スーパーフォーミュラ

 日曜日も快晴となりスーパーフォーミュラの決勝が行われた。ポールポジションからスタートした39号車 P.MU/CERUMO・INGING(国本雄資)がトップをキープ。5番手スタートの20号車 Lenovo TEAM IMPUL(松田次生)がスタートダッシュを決め2位にジャンプアップ、2番手スタートの8号車 KYGNUS SUNOCO Team LeMans(ロイック・デュバル)がこれに続いた。

スタートで39号車がトップをキープ。後方でNAKAJIMA RACINGの2台がチーム同士で接触した

 2周目の1コーナーで8号車 KYGNUS SUNOCO Team LeMans(ロイック・デュバル)が20号車 Lenovo TEAM IMPUL(松田次生)を抜き2位にポジションを回復、トップを追う展開となった。

2周目の1コーナーで8号車が20号車を抜き2位に浮上
3周目の1コーナー。39号車が逃げ8号車が追走。序盤は差が縮まった
39号車は8号車を突き放しゴールを目指す。8号車、20号車、36号車が続いた

 トップ争いは1秒以下まで縮まったが、終始安定した走りを見せた39号車 P.MU/CERUMO・INGING(国本雄資)が突き放しトップをキープ。そのままチェッカーを受けスーパーフォーミュラで初優勝を飾った。2位には8号車 KYGNUS SUNOCO Team LeMans(ロイック・デュバル)、3位には20号車 Lenovo TEAM IMPUL(松田次生)がそのままの順位でゴールした。

優勝した39号車 P.MU/CERUMO・INGING(国本雄資)
2位は8号車 KYGNUS SUNOCO Team LeMans(ロイック・デュバル
3位は20号車 Lenovo TEAM IMPUL(松田次生)

GT300クラス第2レース

 予選で圧倒的な速さを見せポールポジションを獲得した3号車 S Road NDDP GT-R(星野一樹)だったが、スタートで明らかなフライング。他車を置き去りにして見かけ上のトップに立った。事実上のトップは2番手スタートの55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一)。7番手スタートの2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)がロケットスタートを決め一気に3位(事実上の2位)にジャンプアップ、35号車 NISMO ATHLETE GT-R GT3(ルーカス・オルドネス)がこれに続いた。

フライングで3号車が飛び出した
事実上のトップは55号車。2号車、35号車が続いた

 その後方はシリーズチャンピオンを争った16号車 無限 CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)が5位、4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)が6位、11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)が7位と強豪がひしめき合う展開となった。

16号車、4号車、11号車が5~7位で続いた

 3号車 S Road NDDP GT-R(星野一樹)は4周目にドライブスルーペナルティで戦列を去り、55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一)、2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)、35号車 NISMO ATHLETE GT-R GT3(ルーカス・オルドネス)がトップ集団を形成した。今シーズンにマクラーレンMP4-12Cを投入したものの、期待外れで低迷が続いた2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)がこの日は快走を続け、7周目にトップに浮上。抜かれた55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一)は次の周に35号車 NISMO ATHLETE GT-R GT3(ルーカス・オルドネス)にも抜かれ3位に後退した。

55号車、2号車、35号車によるトップ争い
2号車が55号車を抜きトップへ

 後方では4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)が徐々に順位を上げ5周目に4位まで浮上した。11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)も追走するように順位を上げ6周目に5位へ浮上、13周目には4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)も抜き4位にポジションアップ。他車を上回るラップタイムを刻み上位を追走した。

4号車は徐々にポジションアップ
11号車も4号車を追走した

 前日のGT300クラス第1レースでトップを快走しながらタイヤバーストで後退した35号車 NISMO ATHLETE GT-R GT3は、この日も14周目にタイヤトラブルに見舞われピットイン。一旦2位となった55号車 ARTA CR-Z GT(高木真一)も17周目に11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)、19周目には4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)に抜かれ4位へ後退。レース終盤は11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)がトップの2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)に迫り緊迫の争いへと展開した。

2号車と11号車が最後までバトルを続けた

 ベテラン同士の目が離せないバトルは、2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)が逃げ切り今季初優勝。紫電では強豪チームと言われ続けたが、マシンをマクラーレンMP4-12Cにスイッチした今シーズンは公式戦でポイントが獲得できないほど低迷。シーズン最後に涙の初優勝を飾った。2位には11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)、3位には4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)が入った。11号車 GAINER DIXCEL SLSはは前日のGT300クラス第1レースでも2位を獲得したため総合優勝を獲得した。

優勝した2号車 エヴァRT初号機アップルMP4-12C(加藤寛規)
2位は11号車 GAINER DIXCEL SLS(平中克幸)
3位は4号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)

GT500クラス第2レース

 ここまでSUPER GTの3レースはポールポジションがすべてスタートに失敗していたが、最後となるGT500クラス第2レースでは、ポールスタートの6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)がトップをキープ。3番手スタートの36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)が2位にポジションアップ、7番手スタートの12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が3位へジャンプアップ。2番手スタートの38号車 ZENT CERUMO SC430(平手晃平)はスタートで出遅れ5位に後退した。

6号車がトップをキープ。36号車、12号車が続いた
2周目は6号車、36号車、12号車、100号車、38号車の順

 レース序盤からトップ2台が後続を引き離しマッチレースを展開。後方では激しく順位を入れ替えるシーンが見られたが、トップ2台は終始1秒以内の神経戦を継続した。

7周目にはトップ2台が後続を引き離しマッチレースとなった
レース終盤までトップ2台の攻防が続いた

 終盤、6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)がタイヤカスをピックアップし、その差はさらに縮まり、残り4周の1コーナーでは36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)がインに飛び込むが順位は変わらず。最終ラップの最終コーナーからの立ち上がりまで緊張感のあるバトルを続けたが、0.2秒差で6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)が逃げ切りチェッカーを受けた。

 初優勝が続いた今年の富士スプリントカップだったが、最後はシリーズ最終戦(ツインリンクもてぎ)で優勝した6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)が連勝で幕を閉じた。2位は36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)、3位は12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)。第1レースとの合計で争う総合優勝は第1レースで優勝、第2レースで6位となった17号車 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大)が獲得した。

優勝した6号車 ENEOS SUSTINA SC430(大嶋和也)
2位は36号車 PETRONAS TOM'S SC430(中嶋一貴)
3位は12号車 カルソニックIMPUL GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)

(奥川浩彦)