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鈴鹿サーキット南東の「中勢バイパス」開通、F1日本GP開催時の混雑緩和へ
開通記念イベントでは鈴鹿市の公道をレーシングカーが走った!
(2014/3/24 19:38)
鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)の南東で建設が進んでいた「中勢(ちゅうせい)バイパス」の鈴鹿(稲生)工区が3月23日に開通した。今回開通した区間は、鈴鹿サーキットから国道23号へ通じるサーキット道路と、並行して走る県道41号亀山鈴鹿線を結ぶ1.8km。これによりF1日本グランプリなどビッグレースの開催時に渋滞が発生するサーキット道路の混雑緩和が期待される。開通に先立ち、3月21日に開通記念イベントが開催され、スーパーフォーミュラマシン(SF14)や鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦するマシン(CBR1000RR)のデモ走行などが行われた。
中勢バイパスは国道23号の鈴鹿市北玉垣と松阪市小津を結ぶ延長33.8kmのバイパス道路だ。1983年に都市計画が決定し、1993年に鈴鹿(御園)工区が開通。その後、徐々に開通区間を増やし、現在約60%が開通している。
今回開通した鈴鹿(稲生)工区は鈴鹿サーキットから国道23号に向かうサーキット道路、白子駅から鈴鹿サーキット方面に向かう県道41号亀山鈴鹿線、この並行して走る2本の道路を結ぶ1.8kmの区間だ。将来的には県道41号亀山鈴鹿線を突っ切り、国道23号の北玉垣の交差点まで延長されることになっている。
サーキット道路は鈴鹿サーキットと周辺交通の大動脈である国道23号を結ぶ道路で、レース終了後は激しく渋滞する。一方の県道41号亀山鈴鹿線は、F1日本グランプリの開催時には白子駅とサーキットを結ぶシャトルバスが通る道路で、サーキット道路と比べればそれほど渋滞しない路線だ。2013年のF1日本グランプリで、シャトルバスは県道41号亀山鈴鹿線から開通前の中勢バイパスを抜けるルートで運行していた。
サーキット道路と中勢バイパスは立体交差で交わるので、レース終了後に国道23号方面に向かう車両はスムーズに中勢バイパスへ流入することができそうだ。その点ではサーキット周辺の渋滞緩和につながるだろう。しかし、その先の県道41号亀山鈴鹿線とはT字路で結ばれるので、右折車が渋滞する可能性は高い。さらに県道41号亀山鈴鹿線はそれほど輸送量がこなせる路線ではないので、従来より渋滞が増えることが予想される。
将来、中勢バイパスが国道23号の北玉垣交差点まで直結すれば、劇的な渋滞解消が期待できるが、現段階では渋滞の分散にとどまりそうだ。ちなみに中勢バイパスと国道23号の北玉垣交差点を結ぶ鈴鹿(安塚)工区(2.85km)は用地買収も完了していないとのことで、開通には数年を要すると思われる。
3月23日の開通に先立ち、3月21日には開通記念イベントが開催された。イベントの冒頭に末松則子鈴鹿市長、島田佳和衆議院議員が挨拶。島田佳和議員は、今回の開通は安倍政権になってから予定を前倒しして開通を実現させたことを強調した。
強風の影響で鈴鹿高専のエコカー走行、ソーラーカー走行は中止となり展示のみとなった。続く創徳中学校の合唱部によるコーラスは、突然降り出した雨で一時中断を余儀なくされたが天候の回復を待って再開。同じく創徳中学校の吹奏楽部による演奏も強風と寒さの中で行われた。さらに地元の鈴鹿太鼓の演奏も披露された。
トークショーでは、元F1ドライバーで鈴鹿と・き・め・きモータースポーツ大使を務める中嶋悟氏と元プロ車いすランナーの伊藤智也氏、末松則子鈴鹿市長が対談した。
ステージの横にはエコカー、ソーラーカー、8耐マシン、スーパーフォーミュラマシンが並べられ、その横のテントでは地元の名産品などが販売された。寒風に見舞われたこともあり、温かいお茶とコーヒーの試飲には集まった多くの参加者が列をなしていた。
テントの先には陸上自衛隊久居駐屯地からLAV(Light Armoured Vehicle)など3台の車両が展示され、多くの参加者が写真を撮っていた。ファミリーウォークも開催され、完成したばかりのバイパスは1日限りの歩行者天国。参加者は思い思いに新しいアスファルトの道を歩いていた。
今回のイベントでもっとも注目されたのは、スーパーフォーミュラに参戦するREAL RACINGのマシンと、鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦するTSRのマシンの走行だ。
REAL RACINGが持ち込んだのは、4月に鈴鹿サーキットで開幕するスーパーフォーミュラで使用する最新マシンSF14。前日に行われた富士スピードウェイのテスト後に鈴鹿に持ち込んだとのこと。この最新マシンを塚越広大選手がドライブ。TSRのCBR1000RRは秋吉耕佑選手がライディングした。
日本のモータースポーツの聖地であり、モータースポーツ都市宣言を行っている鈴鹿市でも、公道をレーシングカーが走行するのは初めてとのことで注目が集まった。
走行は完成したばかりのバイパスを1往復半。イベント会場からサーキット道路へ向かって最初に秋吉選手のCBR1000RRが走行。続いて塚越選手のSF14が走行した。Uターンして秋吉選手、塚越選手の順で戻り、再び秋吉選手、塚越選手の順でサーキット道路方向へ走り去った。集まった参加者は、サーキットと違いガードレール越しの至近距離で公道を走るマシンの迫力に歓声を上げていた。
【お詫びと訂正】記事初出時、デモ走行レーシングバイクの製品名に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。