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スズキ、新開発の3気筒1.0リッター直噴ターボエンジン搭載の新型「バレーノ」
K10C型“ブースタージェット”エンジンは111PS/160Nmを発生。全車1.0t以下
(2016/3/9 10:30)
- 2016年3月9日 発売(XTは5月13日に発売)
- 141万4800円~161万7840円
スズキは3月9日、小型乗用車の新規車種「バレーノ(BALENO)」を発売した。価格は141万4800円~161万7840円。ターボエンジン搭載の「XT」は5月13日の発売となる。
モデル | エンジン | 駆動方式 | 変速機 | 価格 | エコカー減税(取得税/重量税) |
---|---|---|---|---|---|
XG | 直列4気筒DOHC 1.2リッター | 2WD(FF) | CVT | 1,414,800円 | 60%/50% |
XT | 直列3気筒DOHC 1.0リッター直噴ターボ | 6速AT | 1,617,840円 | ― |
イタリア語で「閃光」という意味を持つ車名が与えられたバレーノは、2015年3月の第85回ジュネーブ国際モーターショーで「スズキが考える理想のコンパクトカー」として紹介された「iK-2」をベースに市販化されたコンパクトハッチバックモデル。インドの「マルチ・スズキ・インディア」のマネサール工場で生産されて世界各地に輸出されるグローバル戦略車となっており、インド市場では2015年10月から先行して販売が開始されている。日本では輸入後、静岡県内にある湖西工場で完成検査が行なわれてデリバリーされる。
新開発されたBセグメント用プラットフォームを採用し、ボディサイズは3995×1745×1470mm(全長×全幅×全高)でホイールベースは2520mm。全幅が1.7mを上まわることで3ナンバー登録となるが、全長は5ナンバーサイズ上限の4.7mから700mm以上短い4.0m以下としており、半面で新プラットフォームによるロングホイールベースとの組み合わせで、市街地などでも使いやすいコンパクトさとゆとりあるキャビン、320L(VDA法)のラゲッジスペース容量を兼ね備えるパッケージングを実現している。
外観デザインは「Liquid Flow(リキッドフロー)」をテーマに、面表現によって光と影の豊かなハーモニー、繊細なラインで神経が行き届いた緊張感で優雅さを演出。また、力強くエレガントなスタイリングで「凝縮したエネルギーを前に解き放つ」というイメージも表現している。
また、デザイン性も重視しながら空力性能にも注力し、フロント側ではAピラー形状とフロントウィンドウの傾斜角度、リアではルーフエンドスポイラーの装着とリアコンビネーションランプの形状、アンダーフロアではエンジンアンダーカバーで床下を整流し、タイヤハウスに走行風が入り込みにくいようにするといった数々の工夫が施されている。
ボディカラーはイメージカラーとして設定する「プレミアムシルバーメタリック3」のほか、5月下旬に追加予定となっている「オータムオレンジパールメタリック」「レイブルーパールメタリック」などを含めた全7色。
このほかに外観の装備では、XTにLEDポジショニングランプを備えるディスチャージヘッドライト、面発光タイプのLEDリアコンビネーションランプを標準装備。ホイールはXGが15インチのフルホイールキャップ、XTが16インチアルミホイールとなる。
エンジンはイグニスなどにも採用されている自然吸気の直列4気筒DOHC 1.2リッター「K12C」型のほか、新開発された直列3気筒DOHC 1.0リッター直噴ターボ「K10C」型をラインアップ。K12Cは副変速機構付CVT、K10Cは6速ATをトランスミッションとして組み合わせ、駆動方式は全車2WD(FF)となる。
“ブースタージェットエンジン”との名前を与えられたK10Cは、6つの噴射口を横一列に並べて構成する「6穴式サイドインジェクション」により緻密で安定した燃料噴射を行なうマルチホールインジェクター、過給圧を的確にコントロールするウエストゲートバルブノーマルオープン制御で最大トルクを1500-4000rpmで発生するターボ技術などにより、1.0リッターという小排気量ながら最高出力82kW(111PS)/5500rpm、最大トルク160Nm(16.3kgm)/1500-4000rpmを発生。バレーノから初採用された軽量化と高剛性を両立するBセグメント用の新開発プラットフォームやグラム単位まで徹底した軽量設計、空力CAEを駆使して追究した空力性能などにより、JC08モード燃費は車両重量910kgのXGで24.6km/L、車両重量950kgのXTで20.0km/Lを達成している。
新開発プラットフォームに合わせて設計されたというサスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式、リアにトーションビーム式を採用。サスペンションでも軽量化を推し進めているほか、サスペンションフレームと車体メンバーの締結箇所を増やしてサスペンション剛性を高め、フロント側にベアリングとハブを一体化させたハブユニットを採用して軽量化と高剛性化の向上、転がり抵抗の低減などを図っている。また、前後サスペンションにスタビライザーを与え、応答性の高いハンドリング性能と快適なロングドライブを提供するしなやかな足まわりの実現を目指して開発が行なわれた。
インテリアデザインでも外観と同じリキッドフローのキーワードをテーマとして踏襲。インストルメントパネルの上面を低く抑え、両サイドに流れていくような抑揚のあるラインでワイド感を演出。イルミネーション類はブルー発光としたほか、内装色にはブラックを設定して引き締まった緊張感を表現する。シート表皮には流れる動きを感じさせるバイアス柄を使い、光沢糸を織り込んで光による奥行き感の演出も行なう。このほか、加飾パネルにはクロームメッキやピアノブラック塗装、シルバーカラーなどを設定して上質感を与えている。
シート表皮にはファブリックを標準設定するほか、XTにはセットオプションとして、本革シートとフロントマルチリフレクターハロゲンフォグランプ、マルチインフォメーションディスプレイ(カラー)、ステアリングオーディオスイッチ、助手席シートヒーター、フロントセンターアームレスト、センターコンソールボックス、センターコンソールトレー(リア)を11万160円高で用意している。
このほかに装備では、新型「エスクード」でも採用するミリ波レーダーを利用した衝突被害軽減システム「レーダーブレーキサポートII(RBSII)」を全車で標準装備。衝突が避けられないとシステムが判断したときに強いブレーキを働かせて衝突の未然回避や被害軽減を図る「自動ブレーキ機能」のほか、危険が迫っている場合に警告する「前方衝突警報機能」と「前方衝突警報ブレーキ機能」、衝突を回避しようとドライバーがブレーキ操作したときにブレーキアシストによって制動力を高める「前方衝突被害軽減ブレーキアシスト機能」で安全性を高める。また、RBSIIのミリ波レーダーで先行車との速度差や車間距離などを検知し、約40km/h~約100km/hの設定速度内で追従走行を行なう「アダプティブクルーズコントロール(ACC)」も全車で採用している。