トヨタ、新企業目標「グローバルビジョン」を発表
2015年までに強い経営基盤づくりを目指す

2011年3月9日発表



 トヨタ自動車は3月9日、同社の目標を社内外で共有するため、世界各地のメンバーで策定した「トヨタ グローバルビジョン」を発表した。

 同ビジョンでは、“トヨタウェイ”の原点たる「改善」によって、「安全性」「環境性」「社会貢献」「未来のモビリティ社会創出」「品質」を高めていくことを目標としている。

 そのために、「同社創業以来の理念・価値観」を「木の根」に、「よりよいクルマづくりと社会貢献」という「木の果実」と、「安定した経営基盤」という「木の幹」を形作る「ビジョン経営」を打ち出した。

2015年までの中期目標を提示
 これに伴い、2015年までの中期目標として「環境車」と「新興国」のキーワードを設定し、加えて新規事業と収益基盤のビジョンを示した。

 これによると環境車は、2015年までに約10車種の新型ハイブリッド車(HV)を投入するとともに、プラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などの次世代車の開発と市場投入を図る。さらに、ガソリンエンジンの高効率化も進める。

 新興国については、現在、グローバル販売比率において新興国が40%、日米欧が60%となっているところを、新興国の比率を2015年までに50%に引き上げる。

 これに伴う供給戦略として、日本ではHVはじめ先進技術、高付加価値商品を中心に生産し、欧米では既存工場の効率化を図る。新興国については投資の時期と規模を検討する。

 また新規事業として、「スマートコミュニティサービス」を打ち出した。これはクルマと家、情報をつないで、「クルマの新しい付加価値」を作り出すもの。グローバル展開も進め、グローバルIT企業との連携も盛り込んでいる。

 収益基盤は、1ドル85円、販売台数750万台の「厳しい経営環境」においても、「連結営業利益率5%、1兆円程度の営業利益」と「単独営業利益の黒字化」を早期に達成することを目指す。

組織をスリム化し、判断をスピードアップ
 グローバルビジョンの実現に向け、同社は4月1日から役員体制を変更、経営判断のスピードアップと、その判断のチェック体制の構築を図る。

 具体的には取締役を27名から11名に、役員総数を77名から60名に削減する。また、地域本部長を原則現地に配置し、現地駐在役員を13名から15名に増員し、日本にある部署を現地に移管することで、海外事業体が現地での決定ができる仕組みを構築する。

 一方、北米、欧州、アジアに地域アドバイザリーボードを設置し、国際経済学者で環境問題を研究する慶應大学の和気洋子教授を社外取締役に迎えることで、社外の声を得て、経営判断をチェックする体制を整える。

 また、より現場に密着した「常務理事」を新設する。

 これに伴い組織を再編、組織数を243部から235部に削減する。一方で、エンジンの先行開発と制御技術開発のための部署を第2開発本部に新設する。

(編集部:田中真一郎)
2011年 3月 9日