ダンロップ、史上最速をうたうスポーツラジアル「DIREZZA ZII」説明&試乗会(前編)
サーキットラップタイムの向上にこだわって開発

DIREZZA ZII

2012年3月15日開催



 ダンロップ(住友ゴム工業)が3月より発売を開始したスポーツラジアルタイヤ「DIREZZA ZII(ディレッツァ ズィーツー)」。これまで同社のフラッグシップスポーツタイヤであった「DIREZZA SPORT Z1 STAR SPEC(ディレッツァ スポーツ ズィーワン スタースペック)」の後継タイヤである。

 そのZIIの説明&試乗会が3月15日に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された。同時に低燃費タイヤ「エナセーブ PREMIUM」の説明&一般公道試乗会も開かれたが、まずは注目のスポーツタイヤであるZIIからお届けする。

DIREZZA ZIIのトレッドパターン

 ZIIの特徴は、開発コンセプトに「サーキットでのLAPタイム短縮を実現する、DIREZZA史上最速のストリートラジアル。」とうたわれているとおり、徹底的にラップタイム短縮を目指してデザインされていること。その成果としては、1周目ラップ、最速ラップ、平均ラップのいずれも短縮したとし、Z1 STAR SPECに比べラップタイムを1.3%短縮できるとする。

開発コンセプト1周目ラップ、最速ラップ、平均ラップのいずれも短縮

 そのために投入されたテクノロジーは、タイヤの接地面にあたるランド比を2.5%アップ。センターの2本のストレートグルーブを広げ、その外側にあったグルーブを撤去。セカンドグルーブとショルダーブロックを一体化することで、高剛性な接地部を実現している。

 その結果Z1 STAR SPECに比べ接地面積が大きくなり、グリップが向上。接地形状も縦に長くなっているため、コーナリングの安定性も高いと言う。この高剛性パターンはタイヤライフにもよい影響が出ており、ZIIは高剛性パターンのため、摩耗が均一で、温度上昇もより均一なものとなっている。

ランド比を2.5%向上させた高剛性パターンを採用。セカンドブロックとショルダーブロックが一体化している接地面積比較発熱比較。サーキット走行後の摩耗状態も優れていると言う

 内部構造とプロファイル(タイヤ形状)も、その高剛性パターンを活かすため変更。トレッド面を支えるブレーカーを新材料の硬いゴムで挟み込んだハードトッピングゴム、トレッド部分の内部剛性をアップ。プロファイルには、最新低燃費タイヤエナセーブ PREMIUMから採用された大きな円を描く真円プロファイルを投入。この真円プロファイルは、過重をかけたときに均一にたわむことで高い操縦安定性、コントロール性を実現するものだ。

 開発陣によるとこの真円プロファイルの効果は絶大で、「狙った性能を容易に出せた」とのこと。ダンロップの最新技術の1つとなっていくのだろう。

ハードトッピングゴムと真円プロファイルを採用。とくに真円プロファイルの効果は絶大だと言うタイヤ荷重とタイヤのたわみがリニアに変化するため、コントロール性に優れるとする

 ランド比を上げれば、グリップが上がるのはよいとして、問題は排水路となるグルーブが減ることはウエット性能の悪化につながることだ。これに関しては、Z1 STAR SPEC同等のウエットブレーキ性能を実現。ZIIでは2本のストレートグルーブを広げたことで排水量をアップしたほか、Z1 STAR SPECに比べパターンのエッジ成分が増えており、これもウエット性能の向上(低下したウエット性能を補った)につながったと言う。

 開発陣は、「久々にサーキットタイムを向上するという目的のためにタイヤを作り込んでいくのは楽しい作業だった」と言い、低燃費タイヤの開発とは違うモチベーションで取り組みになっていたようだ。サイズラインアップは、275/35 R19 96W~175/60 R14 79Hの31サイズ。3月から7月にかけて順次発売され、その詳細については関連記事を参照してほしい。

Z1 STAR SPECとZIIとの性能比較チャート。ウエットブレーキ性能はそのままに、すべての面で向上している。開発過程では、ドライのグリップに徹底的にこだわったと言うサイズ一覧

 モータージャーナリストの岡本幸一郎氏による試乗記は、後編でお届けする。

(編集部:谷川 潔)
2012年 3月 30日