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【ITS東京2013】行政や自治体など「官」主体の取り組みを紹介
累計3700万台を数えるVICSには次世代技術の足音も
(2013/10/18 19:30)
10月14日、20回目を迎える「ITS世界会議東京2013」が開幕した。会期は18日まで。この会議はITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)を利用して、「安全・安心」「環境・効率」「快適・利便」といった世界共通の交通に関する課題の解決を模索するもの。
メイン会場となる東京ビッグサイトでは、産官学の出展ブースによる展示会が開催されている。ここではその展示内容から行政、インフラ系のブースを紹介していこう。
総務省
総務省を中心としたブースでは「より高度な通信を目指す」「命を守る」「便利に移動する」をテーマに、企業の取り組みなどを紹介。ジオラマを使ってITSの仕組みを紹介したり、実際のデバイスの展示や実演が行われていた。
警察庁
情報通信技術などを活用して、安全、快適、そして環境に優しい交通社会を実現する新交通管理システム(UTMS:Universal Traffic Management Systems)を紹介。ブースに置かれた3画面のシミュレーターでは、安全運転支援システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)などを体験できた。
自治体
国内の各自治体が独自に取り組んできた成果を発表するこちらのブース。なかでも目を惹いたのが長崎県の取り組み。同県西部に位置する五島列島を「エコアイランド」と位置づけ、長崎EV&ITS(エビッツ)プロジェクトを推進している。このプロジェクトでは、レンタカーを中心にEV、およびPHVを大量導入すると同時に、島内各所に充電スポットやITSスポットを整備。充電中にDSRC車載器を利用して観光などの情報を取得し、簡単な操作でカーナビに目的地設定することを可能とした。一方で地元住民が情報提供できるシステムも開発中で、インフラ整備という地域への負担だけでなく、メリットも得られるような仕組みが考えられている。
また、本会議の開催地となった東京都も独自のブースを用意。「CityPlanning」など3つのテーマで取り組みを紹介していた。
道路交通情報通信システムセンター(VICS)
VICSによる情報提供の現状紹介がメインコンテンツ。将来的には各都道府県の警察などが管理している道路カメラを使った渋滞情報の認識、そのデータをベースとした情報提供なども予定している。これは道路上に設置された光ビーコンで配信される「レベル2」と呼ばれる簡易画像によるもので、現状では方向別のおおまかな状況しか分からないが、実現すればレーン毎の混雑状況まで把握できるようになる。また、タクシー&バスを使ったプローブ情報の収集、提供も実証実験中という。
NEXCO東日本
快適な高速道路をテーマに交通管理や災害復旧、道路メインテナンスの高度化などを紹介するNEXCO東日本(東日本高速道路)ブース。目を惹いたのは「緊急ヘリ撮影システム」と「全自動ロボット型空中俯瞰撮影システム」。前者はデジタルカメラを使って撮影と位置計測を同時に行うシステムで、動画ではなく連続した点として状況を観測できることがポイント。必要な部分だけを抜き出せるなど作業性が高く、緊急時のメリットになる。
後者は「自律型4軸ヘリコプター」を使用する技術。最近ではホビー用として同様の形状を持つ製品も市販されているが、こちらはGPSや気圧センサーを備えた本格派。バッテリー1本で約20分の飛行と約15ha分の撮影、スキャンを行い、オルソ画像の生成も可能。目視では発見が難しい橋梁の老朽化、日常的な点検が困難な場所などでの活用が想定されている。