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ブリヂストン、無償提供の免震設計支援ソフト「LAP2+t」をバージョン2に進化
構造計算一貫ソフト「Super Build/SS3」と連携。化工品部門の事業発表会で発表
(2014/5/23 00:00)
ブリヂストンは5月22日、同社のWebサイトで無償提供している免震部材選定配置計画設計支援システム「LAP2+t」をバージョンアップさせ、「LAP2+t.Ver.2(ラップスクエアープラスティーバージョンツー)」として6月から配信すると発表した。
ブリヂストンでは1983年に天然ゴム系積層ゴムによる免震ゴムを商品化。2013年5月にも新製品として中低層建物向けの「X0.4R」、高層建物向けの「eRB」をリリースするなど積極的に事業展開を続けているほか、建物や家財・人命を守る免震ゴムについての周知活動を行っており、LAP2+tの無償提供や今回の新バージョン公開もその一環となっている。
LAP2+tのVer.2は、建築設計に必要な構造計算一貫ソフトウェアとして最も普及しているという「Super Build/SS3」を提供するユニオンシステムと共同で開発。Super Build/SS3とのデータ互換性を強化しており、これまで不可能だったSuper Build/SS3からのデータ取り込みを実現している。これにより、設計者の入力ミスや作業負荷を大幅に軽減。初めて免震建物設計を手がける設計者でも容易に免震部材の配置検討ができるようになり、免震建物の普及に貢献できるとしている。
ブリヂストンの基幹事業は自動車やバイクをはじめとするタイヤ事業になるが、近年では自転車、スポーツ用品、屋根材などを製造・販売する多角化事業も推し進めている。2013年12月末の連結売上高の3兆5680億円のうち15%を多角化事業が占め、この15%のうち約半分は、免震ゴムなど一般消費者が購入する機会があまりない「化工品」となっており、LAP2+t.Ver.2の発表はこの化工品部門の事業発表会のなかで行われた。事業発表会では免震ゴム以外にもブリヂストンが手がけるさまざまな分野の事業について解説が行われた。
ゴムクローラ事業
化工品部門で一番タイヤに近いイメージの製品はゴムクローラ。ショベルカーなどの建設用重機で使われている鋼鉄製の無限軌道帯(キャタピラ)をゴム製に置き換えたもので、日本では農機具のコンバインで一般的に使われているほか、騒音や振動が少なく、路面にも優しいといった理由などからミニショベルなどにも採用されている。また、ゴムクローラ自体が1968年にブリヂストンが世界で初めて製品化したもので、現在でもグローバルシェア約30%でトップメーカーとなっているという。
ベルト事業
ここでのベルトとは、建設現場や鉱山、発電所などで資材や原料などを搬送するベルトコンベアで使われるコンベヤベルトのこと。解説を担当した森田氏は「自動車に対するタイヤのように、ベルトコンベアのベルトを作っている」とイメージを紹介。表面的な部分では自動車ユーザーにはあまり関係ないといった雰囲気だが、ゴムの内部に強度を高めるためスチールコードなどを備え、用途に応じてゴムに配合する素材や表面形状を変化させるといった面はタイヤに通じる部分とも感じる。
防振ゴム事業
クルマにはタイヤ以外でもブッシュ類や緩衝材として多数のゴム製品が使われていて目にする機会も多いが、今回の発表会では軽量化やコストダウンなどに貢献する樹脂製パーツについて紹介。事例として樹脂製のエンジントルクロッドが取り上げられ、クルマのエンジンのように重く高熱を発する部分もあるものに樹脂製品が採用されるというだけでも少し驚きだが、最新の開発現場では軽量化と強度アップを両立させるため、樹脂に配合して強度を高める繊維の配向を部位ごとに変化させていたり、射出成形時の冷え方の差をなくすために冷却配管を最適化するといった試みは、タイヤ開発でのノウハウが生きていると感じるブリヂストンならではの部分だろう。