自動車技術展 人とくるまのテクノロジー展 2015(自動車技術会主催)が神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開幕した。会期は5月20日~22日までで入場は無料(登録制)。自動車のエンジニアのための技術展示会で、自動車メーカーをはじめ、部品、検査、研究開発支援などの企業が出展、最新の技術が披露された。
自動車のエンジニアのための展示会という趣で、完成車よりもむしろパーツや計測機器、開発環境などが主役。自動車に関連するありとあらゆるものが展示されている。本稿では会場で見つけたパーツ、計測器などを写真で紹介する。
リョービは同社が開発支援しているアルミダイキャストの展示を行った。ホンダ「S660」のフレームの一部の開発にも同社が関わっている シボレー「コルベット」のトンネルトップもリョービの技術が使われている ボディーのさまざまな場所でリョービのアルミダイキャストが採用されていることをアピールした NTNはフリクションが減少したベアリングを展示。ハンドルで回すことでフリクションが少なくなっていることを実感できる 最近多くなったタイミングチェーン方式のエンジン。チェーン式だとフリクションが気になるところだが、フリクションが少なくなるNTNのチェーンガイドの採用で燃費が1%向上するという 日産「エクストレイル」など2.0~3.5リッタークラスのクルマに搭載されるジヤトコのCVT。可変幅が大きく燃費向上に役立つという 軽自動車やコンパクトカー向けのジヤトコ製CVT。小型軽量化が特徴 ジヤトコブースではCVTの仕組みが分かる模型も展示。変速を試せる 矢崎総業はコネクターなどのメーカー。EV用充電ソケットを展示 矢崎総業の新製品「Eコネクタ」。LEDのラインで光の色を可変できる。トヨタの新型「アルファード」などに搭載されているもの。会場は明るいので分かりにくいが、室内灯の色を連続的に変化させることができる 車載機器を多く手がけている三菱電機のブースでは、メーターパネルやHUD(ヘッドアップディスプレイ)を展示 DIATONE(ダイヤトーン)ブランドのカーオーディオのデモコーナーもあった デンソーは車載機器のほか、スマートフォンのリモコンとして「くるくるピー(KKP)」を展示した。スマートフォンの対応アプリを操作するリモコンで、展示されたのはステアリングホイールに装着するコンパクトタイプのもの。展示品は動作するが製品イメージとなっていて、今後さまざまなバリエーションを予定しているという デンソーといえば社名の由来でもあるクルマの電装部品メーカー。各方式のエンジンの制御システムを展示。これはディーゼルエンジンのもの デンソーブースでは衝突被害軽減ブレーキ関連のセンサーも展示された 住友化学グループでは車載製品を展示。こちらはトヨタ「プリウスα」に採用されるハーネス類など プリウスαにはバッテリー関連のハーネスも供給している。デモモデルのタイヤはダンロップ(住友ゴム工業)だ ハーネスに用いる電線でも軽量なアルミ電線が登場している。同様の定格で銅線とアルミ線を持ち比べでき、アルミの軽さを体感できる 三菱ケミカルホールディングスグループは炭素繊維を用いた製品などを展示。ボディーパネルはもちろん、アルミと複合のホイールも登場している 急激に採用が増えているLEDヘッドライト。小糸製作所は発表済みのLEDヘッドライトユニットを展示、バリエーションもさまざま 小糸製作所のLEDヘッドライトと点灯ユニットの変遷を展示 アイシンはドラム一体式電動パーキングブレーキを展示。コストの面で軽自動車での採用が難しかった電動パーキングブレーキの普及に弾みをつける製品として期待されている。電動となることで力の弱い人でも確実にパーキングブレーキをかけることができる。ホンダ「N-BOX スラッシュ」に採用 アイシンといえばAT。写真はレクサス「RX350」に採用されるFF用8速AT トヨタ「クラウン ハイブリッド」などに搭載されるFR用2モーターハイブリッドトランスミッション ヴァレオはワイパーのゴム全体にある穴からウオッシャーを吹き出す「アクアワイパー」を展示。安全運転支援のためのカメラ部分を特にきれいにするようなチューニングも可能という。すでにメルセデス・ベンツ「Sクラス」に採用されている ヴァレオが展示した48V駆動の電動スーパーチャージャーは、高電圧化した車両に対応。高電圧化によってレスポンスが向上し、より緻密に過給制御が可能となる 電子部品の見直しにより、高効率化したヴァレオのオルタネーター。発電効率を上げることでエンジンパワーのロスを減らすことができ、結果的に燃費性能を上げることができる カメラによるサイドミラーは、まもなく欧州で法規的に認められる見込み。ミラーがなくなるため出っ張りを小さくできるほか、撮影範囲を自由に可変できるなどミラーの電子化はメリットが多いという サイドミラーとしての映像が車内に表示されたところ。視線移動が少なくなる TRWオートモーティブジャパンはブレーキなど同社のパーツを紹介。中央に展示されたBMW「3シリーズ グランツーリスモ」のホイールがカットしてあり、同社のブレーキキャリパーを採用していることが展示された ZFジャパンは足まわり部品を展示。リーフ式サスペンションだが、グラスファイバー素材を採用し、金属によるリーフスプリングよりも軽量化されているという バス向けのリアサスペンションにモーターを組み込んだもの。インホイールモーターだが通常のホイールを装着でき、バス会社のメンテナンスコストを増やさずにインホイールモーターのバスが実現できると期待されている ZFといえばトランスミッションも有名。FFまたは4輪駆動車向けの9速ATを展示する 日本発条ブースではシートを提案。近年は自動車車内でもUSB充電ポートが求められるため、フロントシートの肩部にUSBポートを設けたシートを参考出品。採用車種の登場に期待がかかる トヨタ紡織はシートを展示。左はレクサス「RC F」で、右はBMW「i8」で採用されているもの。自由に座り心地を試すことができた トヨタ紡織の「アルファード」用シート。リクライニングも試すことができた 英国パビリオンとしてイギリスのメーカーが多数集結。レースエンジンで有名なコスワースは、先進製造センターを設立してエンジンブロックの製造などを行っている 英国パビリオンのAdvanced Innovative Engineeringは、バンケル型のロータリーエンジンを出展した。これはEV用でエンジンで発電すると思われる 自動運転の開発などを行っているZMPは各種センサー等を搭載したRoboCarを展示した エー・アンド・デイは自動車用計測機器システムを展示。各種測定器をマウントを介してフォルクスワーゲン「ゴルフ」に取り付けているところ 計測機器では工業用内視鏡もいくつか見ることができた。カールストルツは医療機器として内視鏡を製品化しているが、工業用も充実。パイプの溶接具合を検査するなど製造現場での活用や、通常は見えないエンジンの冷却水路を確認するなどのメンテナンス需要もあるという フォトロンはハイスピードカメラを展示。例えば安全性試験の衝突映像の撮影等に使用する。毎秒4000フレーム撮影の新製品「FASTCAM miniAX」を展示 毎秒12000フレーム撮影可能な「FASTCAM SA-Z」