写真で見る スバル「BRZ RA」


 久方ぶりのFRスポーツカー、そしてトヨタ自動車との共同開発モデルということもあって注目を集めているスバル(富士重工業)の「BRZ」。コンセプトモデルの発表、開発中モデルのレビュー、モーターショーやオートサロンでの展示と断片的に情報が公開されるものの、なかなか発売に至らずヤキモキしていたファンは少なくないハズだ。

 だが、ついに発売日が3月28日に決定。メカニズムなどについては「写真で見る 『BRZ』」やレビューなどでお届けしているとおり。となれば、気になるのはグレードと装備、そして価格だろう。

 グレードは全部で3タイプが用意される。競技やドレスアップのベースモデルに最適な「RA」(6速MT:2,058,000円)、RAに快適性をプラスしたミドルモデルとなる「R」(6速MT:2,478,000円、6速AT:2,546,250円)、快適性に加え走りの装備も充実した最上級モデル「S」(6速MT:2,793,000円、6速AT:2,871,750円)。エンジンやボディー、パワートレインなど基幹部分は共通となるため、違いは装備内容のみということになる。

 本記事では、廉価版グレード「RA」を紹介していく。「R」および「S」グレードについては、別途お届けする予定だ。

BRZ RA

ホイールが「鉄チン」(スチールホイール)だったり、ドアミラーやドアハンドルがブラック(素地)だったりはするものの、意外なほどにベーシックグレードにありがちな安っぽさがない。これはこれで「十分アリ」な感じだ

 最廉価グレードながらカラードバンパーを装備し、2,058,000円のプライスとなるのが、このRAグレード。トランスミッションは6MTのみが設定される。

 ミドルグレードと位置づけられるR(6速MT)との価格差は420,000円。その違いはエアコン、アルミホイール、電動格納式カラードドアミラー、大型マフラーカッター、UV機能付濃色ガラス、スピーカー(2個)、助手席ウォークインスライド、アウトサイドドアハンドル(カラード→ブラック)、インナードアハンドル(メッキ→ブラック)、ドアトリムの赤ステッチ、脱着式前席カップホルダー、DC12V電源ソケット(2→1)、サンバイザーのバニティミラー、トランクのトリム/ルームランプ/マット、フロアサイレンサー、インテークマニホールドカバーが未装着となる。

 「エアコンが付かないのは痛いな~」なんて思うかもしれないが、オプション設定されているので大丈夫だ。それ以外はほとんどが装飾的なパーツなので、あとからどうにでもなりそうな感じだ。

 ただ、オプション設定の有無まで考慮すると、トルセンLSDをはじめ、フロント16インチブレーキ、リアベンチレーテッドディスクブレーキなど、Sで標準、Rでオプションとなる装備が未設定となってしまう。走りを重視するとなると気になる部分かもしれない。

 もうひとつ、ボディーカラーも制限が加えられる部分。BRZには全7色が用意されているが、RAで選べるのは「サテン・ホワイトパール」「クリスタルブラック・シリカ」「WRブルー・マイカ」の3色のみ。ちょっと寂しい気もするが、ユーザー人気の高いカラーは抑えられているので、それほどデメリットにはならないハズだ。

 逆にベースグレードとは思えない部分も多々ある。HIDヘッドランプやリモコンドアロック、EBD付ABS、VSC(ビークルスタビリティコントロール)、デュアル&サイド&カーテンエアバッグといったあたりは標準装備。電動格納こそないもののドアミラーだって電動調整式なのだ。世間的には、かつて発売されていた「AE86」(5代目カローラレビン/スプリンタートレノ)に比べて高い高いと囃し立てられているものの、当時のモデルにはそんな装備はなかったわけだから、決してただ「高い」のではないことが分かる。

 といっても、最上級モデルとなるSともなれば300万円に迫る280万円前後と、やはり高価であることに変わりはない。そこで注目が集まっているのが、このRAなのだ。純粋な競技用途でなければエアコンの追加は必須となるかもしれないが、前述のように基本装備が充実しているため、あとは自分の好きなデザインやブランドのタイヤ&ホイールを装着すれば十分といえそう。ナビやオーディオは上位グレードでもスピーカーが付くだけだから、どちらにせよ費用はかかる。好きなスピーカーを選んで配線を引き直すなんてことをするなら、まったくコストは変わらないワケだ。

 ちなみに車重は1,190kgとR(1,210kg)、S(1,230kg)よりはちょっとばかり軽い。エアコンを付けてしまうと変わらなくなってしまう可能性もあるけれど、走りを重視するなら嬉しいポイントといえるかも。当然燃費もJC08モードで13.4km/LとR(13.0km/L)やS(12.4km/L)よりよい数値となっている。

 個人的にはHIDやキーレス、サイドエアバッグなどを省いてさらなる低価格化を目指して欲しかった気もするけれど、安全性の確保はもちろんバリエーションを減らすことで低価格化を実現している部分もあるだろうから、一概には言えないところ。それでも、このRAがお買い得感の高いグレードであること間違いない。レガシィやインプレッサと比べれば確実に少量生産となるBRZに、こんなグレードが用意されているあたり、メーカーの本気度がうかがえるといってもよいのではないだろうか。

ヘッドライトは標準でオートレベライザー付きHID! LEDポジションランプまで付いてくる豪華版だ。ただし、フォグランプはオプション設定もナシ。もっともこれはRグレードも同じロワー部がディフューザー形状のリアバンパー。ちゃんとボディー同色タイプだ
ドアハンドルはブラックというか無塗装。ボディーカラーがホワイトだから少し目立つけど、性能には無関係な部分だから気にしなければOKドアミラーも無塗装。電動格納式ではないけれど調整は電動。たたみたければ自分の手を使えばよいのだ
ほかのグレードには装着される、スバルとトヨタのダブルブランドのインテークマニホールドカバーがない仕様。エンジンに手を入れる時はどうせ外すので、こっちのほうがメンドウがなくてイイかも!? バッテリーも軽量化のためか、コストダウンためか分からないがサイズダウンしているいまや珍しい「鉄チン」ホイールだが、なぜかセンターキャップを装備。タイヤは新車装着用として採用例が多いヨコハマ「dB E70」の205/55 R16。タイヤはRグレードと一緒マフラーはシンプルなルックスのデュアルテールタイプ。違いはマフラーカッターの有無だけだし、きっと交換しちゃう、よね?
ダーク系のカラーでコーディネートされ落ち着いた印象のインパネまわり。ワイド2DINスペースが用意されているから、気に入ったカーナビを装着すれば必要にして十分メーターパネルは全グレード共通。外気温や瞬間燃費の表示が可能なインフォメーションメーターも標準装備だステアリングは本革巻ではないものの、グリップ部にパンチング加工が施されているので握り易く操作感も上々
トランスミッションは6速MTのみ。ノブ&ブーツは本革巻ではないけれど、カンタンに交換できる部分だし、ねトラクションとブレーキを制御し車両の挙動を安定させるVSC(ビークルスタビリティコントロール。スバル的にはVDC:ビークルダイナミクスコントロール)も標準なのだエアコンはオプションとなっており、標準ではヒーターのみ。エアコン装着時は温度ダイヤルの中央にACスイッチが付く
イグニッションは一般的なキーをひねるタイプ。だが、イルミネーション付きと微妙に豪華ステアリングコラム右奥にはメーターの照度調節ダイヤル。その横には電磁ロック式トランクのオープナー。こちらも豪勢な感じA(アクセル)B(ブレーキ)C(クラッチ)ペダルは標準的な形状
シート表皮は毛足の短いトリコットで肌触りがとてもよい。形状的にもホールド性に優れているためスポーティな着座感が得られるパワーウインドー、パワードアロック、リモコン調整式ドアミラーと豪華装備満載だ半面、ドアハンドルやグリップ部には装飾がなく地味目
サイドシルガードも樹脂製でシンプルリアシートもいたってシンプル。もっとも、平らなシートバックやミニマムなレッグスペースなど、あくまで非常用といった位置づけなのでこれで十分だちょっとビックリするのがラゲッジ。撮影用に内張を外したのでなく標準でこの状態。軽量化にはよいかもしれないけれど、荷物を積むならボードのようなものを用意する必要がありそうだ


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(安田 剛)
2012年 2月 7日