東京モーターショー2015
日産、EVベースの「ニッサン IDS コンセプト」で自動運転をアピール
2016年の「パイロットドライブ1.0」に続き、高速道路での合流や車線変更が可能になる「パイロットドライブ2.0」も投入
(2015/10/29 21:13)
- 2015年10月30日~11月8日一般公開
日産自動車は、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催されている「第44回東京モーターショー2015」の会場で、電気自動車(EV)ベースの自動運転車「ニッサン IDS コンセプト」を世界初公開した。
会場でプレゼンテーションを行った日産自動車 社長兼CEO カルロス・ゴーン氏は、エクストレイルやジュークといった同社のSUVがセグメントをけん引していると語るとともに、「シリーズハイブリッドEVシステムを搭載した『Nissan Gripz Concept(ニッサン グリップス コンセプト)』は、日産が切り開こうとしている新たなクロスオーバー・セグメントの境地を予感させるとともに、この成長著しいセグメントで当社が自己満足に陥ることなくさらにまい進していく証でもある。このセグメントはとてつもないチャンスを秘めており、日産は今後も素晴らしいクロスオーバーを提供し続けていくことで、このチャンスものにしていく」と、SUVモデルに注力することを紹介。
また、日産ではアラウンドビュー・モニターやスマートルームミラーといった世界初の先進安全装備の採用に加え、自動ブレーキ搭載を積極的に行っていることから、「日産は技術の専門家集団。そしてルノー・日産アライアンスの力をバックに、さらに勢いよく前進する。今後採用していく数々の技術は、クルマとドライバーの関係だけでなく将来のモビリティに革命をもたらす」と述べた後、自動運転車「ニッサン IDS コンセプト」が公開された。
日産は持続可能なモビリティ社会の実現に向け、CO2排出量をゼロにする「ゼロ・エミッション」、日産車が関わる交通事故の死亡・重傷者数をゼロにする「ゼロ・フェイタリティ」の2つを企業ビジョンを掲げている。その企業ビジョンを具現化するのがEVであり、交通事故低減を可能とする自動運転車になる。同社はこの自動運転コンセプトを「ニッサン インテリジェント ドライビング」と命名し、自動運転技術搭載車を段階的に投入していくことが明らかにされている。
今回の「ニッサン IDS コンセプト」は60kWhのバッテリーを搭載するEVで、「ニッサン インテリジェント ドライビング」の先駆けに位置付けられる。「パイロットドライブ」と呼ぶ同社の自動運転技術をはじめ、「セーフティ・シールド」「コネクティビティ」といったさまざまな技術が盛り込まれており、「『ニッサン インテリジェント ドライビング』はドライバーの『認知』『判断』『操作』をサポートすることによって現在発生している交通事故の約9割の原因となる人的ミスを補い、より安全で効率的、そして楽しいドライビングを実現する」(カルロス・ゴーンCEO)という。
この「ニッサン IDS コンセプト」では2つのドライブモードの選択が可能になっている。1つは「パイロットドライブモード」で、これはクルマが注意深く状況を把握・判断し、乗員や歩行者の安全を守りながら自動運転を行うというもの。ストップ&ゴーが多い渋滞時にはクルマに操作を任せることで、「ドライバーはその時間を使ってメールを確認したり、テレビ会議に参加したり、リラックスすることが可能になる」と、その特長について語る。そしてもう1つはクルマの操作をドライバーが行う「マニュアルドライブモード」で、自らが運転を行うものの車両側がアシストするモードとなっている。
また、「ニッサン インテリジェント ドライビング」については「周囲の障害物やクルマの状況を認識し、その情報に基づいて判断を行うとともに、他のコネクテッド・カーや歩行者とコミュニケーションを図ることができる。さらにドライバーの行動や好みを学習し、ドライバーが意図したとおりの動きをすることが可能」とその特徴点を述べるとともに、「当社は2020年までに高速道路と市街地を走行できる自動運転車を商品化するが、それに先駆け『ニッサン インテリジェント ドライビング』の数々の技術を順次新型車に搭載していく。2016年には混雑した高速道路上において、単独レーンでの安全な自動走行を実現するトラフィック・ジャム・パイロットを採用した『パイロットドライブ 1.0』を投入。それに続き、高速道路における合流や車線変更が可能になる、より高度なシステムである『パイロットドライブ 2.0』を投入する」と宣言。合わせて「ニッサン インテリジェント ドライビング」搭載車は世界に先駆けて日本で投入され、その後中国、欧州、米国での販売を行うことが明らかにされている。
これに加え、今回の東京モーターショーでは一充電あたりの航続距離が280kmを実現したEV「リーフ」も発表され、こちらは11月より受注を開始、12月に発売を開始することをアナウンスするとともに、カルロス・ゴーンCEOは「EV技術は引き続き日産の商品開発の中心。また、EVは自動運転車の開発でも重要な役割を果たしていく。EV技術は非常に細かなレベルで車両をコントロールすることが可能で、『ニッサン インテリジェント ドライビング』の実力をフルに発揮させるうえで、ち密に制御することができるEV技術はとても重要になる。EV技術と自動運転技術を組み合わせることで、当社はゼロエミッション(走行中のCO2を含む排気ガスゼロ)、ゼロ・フェイタリティ(日産車が関わる交通事故の死亡・重傷者数ゼロ)の時代に向かって前進していく」と力強く宣言した。
なお、この「ニッサン IDS コンセプト」のコクピットは併設イベント「SMART MOBILITY CITY 2015」の会場でも展示されていて、コクピットがトランスフォームするようすを見ることが可能になっている。興味のある方は西展示棟3・4ホールも覗いてみていただきたい。
●自動運転用LIDARや変形コクピットなどが展示される「SMART MOBILITY CITY 2015」
http://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/2015tokyo/20151029_728073.html
軽EVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」
日産ブースでは、そのほかにも軽EVコンセプトカー「TEATRO for DAYZ」やスポーツクロスオーバーのシリーズハイブリッドEV「グリップス コンセプト」などとともに、一充電あたりの航続距離を伸ばした「リーフ」や、参考出品車なども展示している。