2016 ニューヨークショー

【インタビュー】トヨタ「プリウス プライム」の豊島主査に聞く

派生モデルではないプラグインハイブリッドモデルを確立

2016年3月23日(現地時間) 発表

ワールドプレミアされた「プリウス プライム」。国内でのネーミングは従来通り「プリウス PHV」として登場する。リアハッチをトヨタ車初となるCFRP製にするなど、PHVモデル以外にもトピックが多い

 ニューヨーク国際自動車ショーで初公開されたトヨタ自動車の「プリウス プライム」。日本や欧州では「プリウス PHV」と呼ばれるプラグインハイブリッドモデルで、米国市場ではこのネーミングが使われるという。

 4代目となったプリウスは、2015年のフランクフルトモーターショーでショーデビューを飾っていて、日本国内では2015年12月に発売されたばかり。毎月2万台ほどの登録が行なわれていて、バックオーダーも多く抱えている。それだけ販売好調なのだが、早くも派生モデルとなるPHVのプロトタイプが公開された。

大型モニターを採用したインテリア。プリウス プライム専用のデザインとなっている

 プリウス プライムは、ベースとなったハイブリッドモデルのプリウスに対して、専用の前後デザイン、大型モニターを採用したインテリア、CFRP製のリアハッチなど多くのトピックを持っている。

 この魅力的なPHVモデルの特徴を開発責任者の豊島浩二氏に聞いた。

──プリウス プライムというネーミングでPHVが初公開されましたが、プリウスシリーズは、これで完結でしょうか?

今回発表されたプリウス プライムを含め、4代目プリウスの開発責任者を務めた豊島浩二氏

豊島氏:そうですね。4代目プリウスとしては、ハイブリッドとプラグインハイブリッドの2モデルになります。

──プラグインハイブリッドモデルは先代で初めてラインアップされて今回も導入されたのですが、PHVモデルを積極的に発売していくということですか?

豊島氏:先代で初めてPHVモデルを販売したのですが、電気で走れる航続可能距離が26.4kmでした。これは当時の使用状況などをリサーチした結果で、ちょうどよかったと思います。ですが、日本を中心にですがお客様の声を聞いてみて、ハイブリッドモデルとの価格差に対するバリューがないということが分かりました。

 プリウス プライムで、外観をガラッと変えて航続可能距離も大幅に伸ばしたのは、実際に使ってもらったユーザーの要望も取り入れているからです。ハイブリッドモデルの派生ではなく、しっかりとPHVはこういうモデルであるということを示したいと思っています。そのためのスペックであり、内外装や装備になっています。

フロントまわりのヘッドライトをはじめ専用デザインを採用している
11.6インチのモニターを装備したインフォテイメントシステム。ナビゲーションの他にも車両の制御を確認できる
バッテリーがトランク下に積まれているので、フロアは上げ底になっている

──プリウス プライムは、先代よりも大幅に航続可能距離を伸ばしましたが、ハイブリッドシステムはどのようにしていますか?

バッテリー容量や制御を見直すことで、EV走行時の航続可能距離は60km以上まで増えた
車両後方の右側に給電口が設けられている

豊島氏:基本的に(ハイブリッドモデルと)同じもので進化をさせています。このPHVモデルではジェネレーターとして使っていたモーターをクラッチで接続することによって走行用モーターとして利用して、ダブルのモーターで動かしているのが特徴です。バッテリーはリチウムイオン電池を含めて、すべて作り替えています。

 航続可能距離の60kmは、国内だと長すぎるのかもしれませんが、グローバルのアメリカや中国、その他の地域でPHVを伸ばしていくには必要だと考えています。また、各国のレギュレーションから見ても60kmというのがベターということで設定しました。EV走行での最高時速が135km/hになっているのも今回からで、グローバルでの適応を考えての結果です。

 EVではなくPHVを選択した理由は、われわれの環境に対しての考え方は、多様なエネルギーに答えていくというのが第1段階です。かつ、お客様の不安を無くしたいからプラグインハイブリッドを選んでいます。

トヨタ プラグインハイブリッドシステム 概要

──プリウスは、TNGA(Toyota New Global Architecture)の初採用モデルでもあり、今後のトヨタ車の指針になるクルマだと思います。TNGAは、プラグインハイブリッドモデルに採用することも考えていたのでしょうか?

豊島氏:そうですね。PHVの開発と同時にTNGAの煮詰めも行なっていたので、同時に開発しているといっていいでしょう。新たなグローバルプラットフォームになるTNGAは、プラグインハイブリッドモデルが使うことも前提になっています。そういう意味では、ウワモノを変えたPHVモデルが出てきても不思議ではないです。

アメリカ仕様のモデルは「プリウス プライム」というネーミングになる

──最後に、ニューヨーク国際自動車ショーをデビューの場として決めた理由はありますか?

豊島氏:原油安でアメリカでは大排気量のクルマが見直されているということですが、プリウス プライムのメインはアメリカだと考えています。なので場所とタイミングからニューヨークを選びました。


 先代ではハイブリッドモデルのプリウスから派生したのがプリウス PHVだった。だが、このモデルからはしっかりとPHVとしての立ち位置を確立することを狙っている。そのために、モーターや制御方法、バッテリーを大幅に見直して航続可能距離を60km以上まで伸ばした。

 加えて、エクステリアは専用の前衛的なデザインを用いて、インテリアも大型のモニターを採用するなどスペシャルな装備が目白押しだ。ハイブリッドモデルの派生とならない、個性や魅力が多く取り入れられたのが、プリウス プライムの特徴になる。

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。