イベントレポート
【東京モーターショー 2019】ブリヂストン、ゴムと樹脂を分子レベルで結びつける次世代ポリマー「SUSYM(サシム)」公開
天然ゴム比で5倍の耐亀裂性、2.5倍の耐摩耗性。ひっぱり強度は1.5倍以上
2019年10月24日 17:14
- 2019年10月23日 開幕
- 2019年10月25日 プレビューデー
- 2019年10月25日~11月4日 一般公開日
10月23日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第46回東京モーターショー2019」が開幕した。10月25日はプレビューデー、10月25日~11月4日が一般公開日となる。
東京ビッグサイト 南展示棟4階(S4402)にブースを構えるブリヂストンはプレスカンファレンスを行ない、ゴムと樹脂を分子レベルで結びつけるポリマー「SUSYM(サシム)」を発表した。天然ゴムと比べて5倍の耐亀裂性、2.5倍の耐摩耗性、ひっぱり強度は1.5倍以上あるとし、硬度も連続的に変化させて成形でき、さらに色も自由に着色できるという特徴がある。
プレスカンファレンスではブリヂストン 執行役員 先端技術担当の田村康之氏が登壇して、ブリヂストンが足袋の会社からスタートして足袋とゴムを組み合わせて地下足袋を開発した歴史に触れ、「まさにイノベーション」「イノベーションというのはブリヂストンのDNA」と紹介した。
田村氏は「SUSYMはこれまでの素材の性能をはるかに超え、ユニークな特性があることが分かってきた。しかし、現時点ではその可能性は未知。どんな分野でどんな活用ができるのかを皆さまと一緒に考え、ともに新しい価値を想像していきたいと考えている」と呼びかけた。
続いてブリヂストン 先端技術担当フェローの会田昭二郎氏がSUSYMのシートを持って登壇。「なんの変哲もないゴムシートのように見えるのですが、違います。これがすごい」「まさにゴムと樹脂を分子レベルで結合することに成功しました。この技術はブリヂストンしか持ってない」と訴えた。
ブースの画面では釘で突き刺しても穴が開かない様子を紹介する一方で、穴を開けたSUSYMに熱を加えて補修した場合、もとのように引っ張っても切れない状態に戻る特性も紹介された。
さらに、会田氏は竹細工をモチーフにしたタイヤを紹介し「SUSYMの機能を使ったタイヤを作ってみました。あらゆる部材にSUSYMを使っています。柔らかいところには柔らかいSUSYM、硬いところには硬いSUSYM。それらは連続的にシームレスにつながっている」と説明した。
会田氏は最後に「SUSYMはまったく新しい素材だと考えており、価値があると考えています。もちろんタイヤに使っていきたいと思うが、タイヤだけではもったいないという思いが強い」「今後はSUSYMという素材を使って社会全体を支えていきたい。その方法はわれわれだけでは考えられない。皆さんと一緒に作っていきたい」と呼びかけた。
なお、ブースではSUSYMで作ったタイヤをケースに収めるかたちで展示しているが、説明員がSUSYMの素材を持っており、実際に触れて確かめることもできるようになっている。
月面タイヤやワイヤレス給電タイヤなども展示
ブースではSUSYMのほか、月面タイヤ、ワイヤレス給電対応タイヤ、市販タイヤの一部を展示している。
月面タイヤは、月での有人探査活動に必要なモビリティ「有人与圧ローバ」に装着するタイヤを想定したもの。ワイヤレス給電対応タイヤは道路からワイヤレス給電を受けるため、ベルトに金属を使わない構造にしたものとなる。
市販タイヤでは「レグノ GR-XII」「ブリザック VRX2」「ポテンザ S007A」と、タイヤの転がり抵抗を軽減する技術を盛り込んだ「エンライトン」を展示する。
そのほか、「ブリヂストン・ワールドソーラーチャレンジ」の2017年のレースに参戦した工学院大学のソーラーカーも展示されている。