イベントレポート
【東京モーターショー 2019】三菱ふそう、燃料電池トラック「Vision F-CELL」や今後の自動運転技術についての説明会
ダイムラー・トラック全体で2019年度末までに30万台以上をコネクテッド化
2019年10月31日 08:00
- 2019年10月23日 開幕
- 2019年10月25日 プレビューデー
- 2019年10月25日~11月4日 一般公開日
10月23日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第46回 東京モーターショー 2019」が開幕した。10月25日はプレビューデー、10月25日~11月4日が一般公開日となる。
三菱ふそうは10月23日、報道関係者を集めて現在の三菱ふそうの状況を説明するとともに、東京モーターショーで初公開した燃料電池を使う小型トラックコンセプト「Vision F-CELL」や、SAE レベル2相当の運転支援技術を搭載した大型トラック「スーパーグレート」2019年モデルなどの説明を行なった。
ミッションは革新的なトラックを届けること
三菱ふそうトラック・バス 代表取締役社長のハートムット・シック氏はまず、三菱ふそうが属するダイムラー・トラック・ファミリーで目指すものとして、「トラックの圧倒的なリーダーになるのがビジョン、革新的なトラックを届けるのがミッション」とした。
そして「グローバルなプラットフォームで傘下のブランドと協力し、規模の経済を最適化してさらに開発のスピードを加速。最高で最新、最強の商品を他社に先駆けてお客さまに届けることができる」と、ダイムラー・トラック・ファミリーの一員であることの優位性を示した。
その上で「東京モーターショーではいくつか、このわれわれの優位性をご覧いただけると思う」とし、燃料電池を使った小型トラックコンセプトとなるVision F-CELLは「バッテリーの技術の限界を超え、Eモビリティを次の段階に進める取り組みになる」とした。
ダイムラー・トラック・アジアでは今後、2020年~2021年に合計で14億ユーロを開発に投資。そのうちの5億ユーロをレベル4の自動運転技術に充てると明かし、「今後10年以内に自動運転トラックをお客さまに届ける予定」と述べた。
また、シック氏はコネクテッド技術がダイムラーグループ共通のハードウェアをもとに作られて全世界で情報を収集するとし、契約台数として三菱ふそうの「トラックコネクト」が2018年末で5000台だったものが、2019年末には約3倍の1万4500台に上ると説明。グローバルなダイムラー・トラック全体では30万台以上の車両が2019年度末までにコネクテッド化するとした。
国内の販売拠点にも触れて「50億を投じ、国内販売拠点の改修、改築、移転を行なう」と述べ、プロジェクトの名前は「ミライ」だとした。
長い航続距離と燃料補給時間の短縮が燃料電池のメリット
続いて、三菱ふそうトラック・バス 取締役副社長・開発本部長のアイドガン・チャクマズ氏が、スーパーグレートやVision F-CELLなどについて説明を行なった。
大型トラックのスーパーグレート 2019年モデルでは、日本初というSAE レベル2相当の運転支援技術を搭載。交通標識を認識してメーター上に表示する「トラフィック・サイン・レコグニション(TSR)」、アクセル、ブレーキ、ステアリングを制御する「アクティブ・ドライブ・アシスト」、カメラとレーダーによって歩行者との衝突回避をサポートする「アクティブ・ブレーキ・アシスト5(ABA5)」を備え、アクティブ・ブレーキ・アシストはこれまでのABA4から進んだABA5であることも強調した。
そのほかの機能では、パワートレーンのコントロールで予測制御を行なって燃費が1%改善することや、ヘッドライトのハイビームとロービームを自動的に切り替える機能も採用して、「走行に集中できる」と評価した。
今後の運転支援については、常時運転者が待機する必要があるレベル3をスキップ。さらに上のレベル4を目指すことを改めて強調。「レベル3は意味がない。コンポーネントで3と4はほぼ同じで、より意味があるのはレベル4にいくことだ」とした。
燃料電池を使うVision F-CELLについては「次世代はわれわれから見ると燃料電池だと思っている」として、既存のディーゼル車との対比させながら、航続距離が同等であるとの説明を行なった。
チャクマズ氏はVision F-CELLが電気小型トラックの「eCANTER」をベースとしていて、同じ「eドライブライン」を使っていると説明。都市内の配送で効率的に利用するのが電気小型トラックのeCANTER、長い航続距離と燃料補給時間の短縮がFCVのVision F-CELLという棲み分けを示し、両者はマーケットのニーズに合わせて並行して使える技術だとした。
「ミライ」プロジェクトに50億を投資
また、三菱ふそうトラック・バス 取締役副社長兼国内販売・カスタマーサービス本部長の林春樹氏は、主に販売拠点への投資について説明した。現在、三菱ふそうではミライと名付けたプロジェクトにより、ハードとソフトの両面から投資を行なっている。
林氏は「地域ごとにお客さまのニーズに合わせ、より快適なサービスを提供する必要がある。こうしたわれわれの思いを実現するために、高品位なサービスを提供できる設備や施設の改装、改良を推進している」と説明し、2019年から6年間かけて毎年選定する拠点の改装、再建、移転の3つを実施。2019年は総額50億円を投資して9支店を優先的に改修し、年内に3つの拠点が完成する予定だとした。
さらに外国人技能実習生を他社に先駆けて受け入れ、305人が実習中。林氏は「三菱ふそうは40か国の国籍を持つ社員が在籍。国籍にとらわれず受け入れる土台がある」とアピールする。
林氏は改装して11月~12月にオープンする苫小牧、郡山、姫路の3支店を例に挙げ「外観はブランドイメージを統一。オフィスはより効率的な配置を行ない、お客さまの待合室は待っている時間でも作業中のクルマを確認できる」「作業工程に見合ったツールの配置や天井の高さの確保、車両が出入りするルートの改善など、たくさん盛り込んだ。働き方に大きく影響して職場の改善になる」と説明した。
また、eCANTERを今後は全国展開するにあたり、拠点への急速充電設備の設置だけでなく、点検や整備の手法について研修を強化していくと言う。
林氏は「ハード・ソフトの両面で計画的な投資を継続することで、すぐそこに来ている未来に備えたいと思っている。未来はぜひ、三菱ふそうの販売・サービスマンに頼っていただきたい」と語った。